25年のキャリアを誇る車中泊旅行家がまとめた、四国の東の玄関・鳴門市にある、「大塚国際美術館」のくたびれない周り方と駐車場&車中泊ガイドです。
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この記事は、1999年から車中泊に関連する書籍を既に10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「車中泊旅行家・稲垣朝則」が、独自の取材に基づき、全国各地の「クルマ旅にお勧めしたい観光地」を、「車中泊旅行者目線」からご紹介しています。

~ここから本編が始まります。~
「大塚国際美術館」見学の秘訣は、「定時ガイド」の利用

大塚国際美術館 DATA
大塚国際美術館
〒772-0053
徳島県鳴門市鳴門町 鳴門公園内
088-687-3737
おとな3300円
9時30分~17時
※入館券の販売は16時まで
月曜定休
専用駐車場
普通車450台
料金:無料
随時無料シャトルバス運行
※最終入庫時間は15時50分
「大塚国際美術館」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2025.02.08
「鳴門」での現地調査は2025年2月が最新です。
大塚国際美術館 目次
大塚国際美術館のロケーション

「鳴門の見どころ」を紹介している”すべて”と云っても過言ではないガイドブックやウェブサイトに登場する、「大塚国際美術館(マップ⑫)」は、同じく鳴門の人気観光スポット「鳴門公園」にある「渦の道(マップ⑥)」から、わずか約1.2キロのところにある。
クルマがなくても歩ける距離なので、もし「大塚国際美術館」がフードマーケットやアウトレットパークであったなら、おそらく「鳴門公園」を訪れる人の大半が、そのまま気軽に足を運ぶと思う(笑)。
だが、なにせ高尚とも思える「美術館」だけに、実態を知らない人からは、おそらく敬遠されているのだろう。
だがそれが、”食わず嫌い”ならず”知らず嫌い”であることは確かだ。
なぜなら、「大塚国際美術館」から出てきた人たちの表情を見れば、「今日はいいものが観れたなぁ」と思っているのが、ひしひしと伝わってくる(笑)。
ということで、まずはその”誤解”を解いていくことから始めよう。
大塚国際美術館の概要と設立の経緯

ネット上に数多ある紹介サイトを見ると、
「大塚国際美術館」は、「大塚グループ」が創設した、日本最大級の常設展示スペースを誇る「陶板名画美術館」。
と記されており、

そのあと続いてレオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」だの、モネの「睡蓮」だの、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」だのと、人気のある展示作品にふれているわけだが、その前に筆者が疑問に感じたのは、以下の3点だ。
❶「大塚グループ」って何の会社?
❷なにゆえ、徳島県の鳴門に?
❸「陶板名画美術館」ってどういうもの? 展示している作品は本物?偽物?
そこが解らないと前に進めないのは、「相棒」の「杉下右京」と変わらない(笑)。
❶「大塚グループ」って何の会社?

まず「大塚グループ」とは、「大塚家具」ではなく、あのボンカレーでお馴染みの「大塚製薬」のこと。
美術品なので、なんとなく家具と関係があるのかと思ってしまったが、ピークだった2007年に約728億円の年商を上げていたとはいえ、昭和世代には懐かしい「オロナミンC」から、「ポカリスエット」や「カロリーメイト」などの大ヒット商品を持つ「大塚製薬」との年商規模は桁違いだ。
❷なにゆえ、徳島県の鳴門に?
鳴門市はその「大塚製薬」創業の地で、関連工場や企業・施設が多数存在する企業城下町として、ともに発展してきた経緯を持っている。
そのため『ふるさとに何か恩返しがしたい』という強い想いのもとに、「大塚グループ創立75周年記念事業」として、「大塚国際美術館」が設立された。

ただ鳴門市を選んだ背景には、「大鳴門橋」「明石海峡大橋」の建設が決まり、「阿波踊り」以外にコレといった集客能力のない徳島県に、人の流れをせき止める”ダム”の役割を果たせる施設を、両橋が完成する前に設けたいとの考えもあったようだ。
そしてその策は、見事に当たった。
❸「陶板名画美術館」ってどういうもの? 展示している作品は本物?偽物?

「大塚国際美術館」が一般的な美術館と違うのは、単純に名画を収集して展示するのではなく、『自社の特殊技術を使って文化的に貢献する』というコンセプトに基づいていること。

具体的には、厳選された古代壁画から、世界26ヶ国・190あまりの美術館が所蔵する至宝の西洋名画にいたる約1000点を、「大塚オーミ陶業株式会社」の特殊技術によって、オリジナル作品と同じ大きさの陶板に複製して展示する「陶板名画美術館」となっている。

その最大のメリットは、オリジナル作品は近年の環境汚染や地震、火災などからの退色劣化を免れないが、陶板名画は2000年以上にわたってそのままの色と姿で残るため、文化財の記録保存に大いに貢献できる点にあるという。

この特徴を生かし、「大塚国際美術館」では写真撮影が一定条件下で許可されているほか、直接手を触れることもできるし、モネの「睡蓮」にいたっては、なんと屋外に展示されている。

さらに、今は現存しないレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」や、戦火で失われたゴッホの「ひまわり」、さらに戦災等で各地に分散されているエル・グレコの「大祭壇衝立」を復元するなどの試みも行われている。
そして肝心の、ここまで紹介してきた数々の絵画が、本物か偽物かという話だが、
世界的な大企業が手掛ける以上、これらの作品が無許可の”贋作”であるわけはなく、すべて所有者の許可を得て、正式な契約を交わしたうえで制作されている。

ただ「本物」かと聞かれれば、この「落穂拾い」がミレー自筆の絵ではないという点からすると、そうは云い切れまい。
実は筆者は30年近く前に、パリの「オルセー美術館」でミレー自筆の「落穂拾い」を見ている。
その時は照明の加減もあったのだろうが、絵自体が非常に暗く見えたことを鮮明に記憶していた。
しかしこの「大塚国際美術館」の「落穂拾い」は、明らかにクリアで色彩そのものも明るく思える。
おそらく「大塚国際美術館」の「落穂拾い」は、ミレーがキャンバスに描いた当時の色合いを再現しているのだろう。
そして描いたミレー本人に、経年劣化で色褪せた自筆の「落穂拾い」と、ミレーの目に映っていた色彩が再現された陶板の「落穂拾い」の、どちらをギャラリーに見てもらいたいかを確認できれば、答えは聞くまでもなく決まっているはずだ。
ということは、資産価値ではなく鑑賞することにおいては、もはや「本物・偽物」の議論に意味はないということ。
「大塚国際美術館」は見学者だけでなく絵の作者と所有者にとっても、存在価値があることは明白だ。
大塚国際美術館のくたびれない周り方

さて。
ここでたった1回しか「大塚国際美術館」を訪れていない筆者が、これだけ有名な絵画の写真を、漏らすことなく撮影できたワケを明かそう(笑)。

それは作品の見どころやポイントを詳しく解説してくれる、美術ボランティアによる無料の「定時ガイド」を利用したからだ。
所要時間は60分なので、駆け足ではあるものの、絵の在処を探す手間がないので、非常に効率よく名画に出会えるし、作品にまつわるトリビアも聞けるのでお勧めだ。
ガイドのコースと時間等の詳細は、以下の公式サイトでご覧いただける。
また旅行者にお勧めなのは、下記の作品をB3から上層階へと歴史順に見ながら進める「時短コース」で、館内にあるマップ&ガイドにルートが掲載されている。
見逃したくない主な展示物
地下3F
システィーナ・ホール、スクロヴェーニ礼拝堂、フェルメールの部屋、聖マルタン聖堂壁画、聖ニコラオス・オルファノス聖堂、聖テオドール聖堂、貝殻ヴィーナスの家、エル・グレコの部屋、ポンペイの「秘儀の間」など
地下2F
モネの大睡蓮、バロック系統展示(レンブラント「夜警」など)、ルネサンス系統展示(ダ・ヴィンチ「モナリザ」「最後の晩餐」(修復前と修復後)・ボッティチェッリ「ヴィーナスの誕生」など)
地下1F
ゴヤの家、バロック系統展示、近代系統展示(ゴッホ「ひまわり」・エドヴァルド・ムンク「叫び」・ウジェーヌ・ドラクロワ「民衆を導く自由の女神」・ジャン=フランソワ・ミレー「落穂拾い」など)
1F
現代系統展示(パブロ・ピカソ「ゲルニカ」など)
なお、定時ガイドとタイミングが合わない場合は床を見よう。

とりあえずその通りに歩けば、迷子にはならずに済む(笑)。

ところで。
「大塚国際美術館」のフロア表示にはトリックのような謎がある。
チケット売り場があるのは地上階なので、普通はそこが1階でエスカレーターで上がった「システィーナ・ホール」は2階になると思うのだが、実はそこがB3、すなわち「大塚国際美術館」では”地下3階”と表示されている。

出典:大塚国際美術館
その理由は、敷地が「瀬戸内海国立公園内」にあるため、景観維持と自然公園法により、建物の高さを13メートル以内にしなければならないという法律にあった。
そのため、いったん山を削り取り、地下5階分の構造物を造ったうえで、それをまた埋め戻すという信じがたい方策が取られ、現在のフロアリングになっている。
構想から使用許可・完成まで10年の歳月をかけ、この「いじめ」かと思うような苦難を乗り越え、建築費や各絵画の使用料(著作権料)などを含めて、総工費400億円を投じた「大塚国際美術館」の誕生物語は、ぜひとも「プロジェクトX」で取り上げて欲しいものだ(笑)。
大塚国際美術館の駐車場

驚いたことに、「大塚国際美術館」の敷地内には、来場者用の駐車場がない。
そのためマイカーで訪れた見学客は、500メートルほど離れたこちらの専用駐車場P1にクルマを停め、そこからシャトルバスで「大塚国際美術館」までを往復する。

料金はいずれも無料だが、そう聞くとちょっと面倒臭さそうに思える。
しかし、シャトルバスは随時運行しており、待ち時間はほとんどない。
ただこれまでの話で分かるように「大塚国際美術館」は見学に時間がかかるので、満車になると簡単には空きが出ない。
そのためGWなどは、9時30分でもう満車になるという話も出ている。

そこでP2とP3の駐車場も紹介しておこう。
P2
無料、200台
「大塚国際美術館」まで徒歩10分、シャトルバス有り
8時30分~17時30分(最終入庫時間15時50分)
P3
無料、150台
「大塚国際美術館」まで徒歩5分、シャトルバス無し
8時30分~17時30分(最終入庫時間15時50分)
大塚製薬の福利厚生施設「潮騒荘」の手前の小道を左折してスグ。
大塚国際美術館周辺の車中泊スポット

これは「鳴門公園」とまったく同じになるが、「大塚国際美術館」のP1駐車場からいちばん近いのは、1.6キロほどのところに位置する「千鳥ヶ浜」の前に用意された無料の「網干駐車場(休憩所)」だ。
またそこから6キロほどのところにある、日帰り温泉「鳴門天然温泉 あらたえの湯」にも、合格点がつけられるRVパークがあり、いずれも下記の記事に詳細を記している。

いっぽう道の駅では、約14キロ離れた「道の駅くるくるなると」が最寄りになる。
ここは新しくて規模も大きいが、人気が高く営業時間中は終始混雑している。
「大塚国際美術館」を本腰入れて見ようと思えば、2日かがりになってもおかしくはない。その意味からすると、ここへ車中泊で行くのはいい方法だと思う。
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