この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
但馬の「兵庫県立兎和野高原野外教育センター」は、大人1泊500円の高規格オートキャンプ場
兵庫県立兎和野高原野外教育センター
キャンプ場の概要
都民はもちろん、府民でさえもが腰を抜かすほど素晴らしい、北海道感覚の高規格オートキャンプ場が、但馬の山中に潜んでいるのをご存知だろうか。
個別シンクに芝生乗り入れOK、しかも電源まで完備したこのキャンプサイトが無名に近い存在なのは、ひとえに「兵庫県立兎和野高原野外教育センター」という「キャンプ場」がつかないダサすぎる名前のおかげだ(笑)。
ゆえに検索では表に出ることがない。
そう思うと、役所のネット音痴も悪いことばかりではなかった。
ついでに云うと、先ほどの「大人1泊500円」の中には、なんと入浴料金も含まれる(ただし2020年現在は、団体の大浴場利用がある場合のみ)。
写真の上に見える赤い屋根の研修施設に大浴場がある。
兵庫県立兎和野高原野外教育センター オフィシャルサイト
ファミリーキャンパーなら、ここまでの情報で大満足だと思う。
だが道の駅で無料の車中泊ができる旅人には、自炊ができるメリットを最大限に活かせる情報を付加しておきたい。
兵庫県立兎和野高原野外教育センター
キャンプ場の魅力は「但馬牛」
それは高級食材「但馬ビーフ」を自ら料理できることだ。
但馬牛
長命多産で山野草を好み、昔から「山で育て、草で飼う」といわれてきた但馬牛は、小型で丈夫な役牛として、狭い農地の多い但馬地方で重宝されてきた。
食用化されたのは明治以降で、霜降りで柔らかい但馬牛は外国人の多い神戸で評判となる。
その肉質と強い遺伝力にいち早く着目したのが松阪と近江だ。
今では、ブランド牛は例外なく但馬牛の血を引いているという。
ところで、肉を美味しく調理する秘訣は、料理に適した「クッカー」を選ぶことにある。
写真はスキレットと呼ばれる鋳鉄のフライパンで、アメリカ・ロッジ社が作ったギターバージョンの限定アイテム。
ダッチオーブンにも使われる鋳鉄は、自身が蓄えた熱で肉をじわりと焼くことができるスグレモノだ。
調理は最初に外側を焼き上げ、あとは弱火にしてスキレットの熱で中に火を通していく。
いっぽう中高年には、野菜もたくさん食べられる「すき焼き」のほうがいいかもしれない。
「すき焼き」にするなら、鍋よりも岩津ねぎのような但馬特産の野菜や酒にこだわるほうが面白い。
なお、すき焼きに「しらたき(糸こんにゃく)」を入れると肉が固くなるというのはデマ。隣合わせでも全然大丈夫だ。
最後は、ファミリーにお勧めのビーフシチュー。
使うお肉は、財布に優しい「切り落とし」でOK。これなら育ち盛りの息子が2.3人いてもなんとかなる(笑)。
中には多少筋張った部位が混じっているかもしれないが、鉄製の鍋で煮込めば柔らかくなる。
ちなみに写真は、イオンで買ったル・クルーゼもどきのキャセロール。なんでも本物にこだわっていたら、プロだって赤字になる(大笑)。
それでも煮込んでいるうちに鉄分が溶け出すので、市販のルーでもまろやかな味わいにかわる。