車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家が、長野オリンピックで日の丸飛行隊が大きく羽ばたいた、白馬ジャンプ競技場の見どころとトリビアを紹介しています。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊旅行ガイド
この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
~ここから本編が始まります。~
白馬ジャンプ競技場は、”平成の「日の丸飛行隊」”が感動を呼んだ、後世に語り継がれるべきレガシー
白馬ジャンプ競技場 DATA
白馬ジャンプ競技場
〒399-9301
長野県北安曇郡白馬村大字北城3609
☎0261-72-7611
見学
おとな460円
「白馬村オリンピック記念館」入館料込み
営業時間
4月中旬~11月末
8時30分~16時30分(受付最終16時10分)
12月下旬~3月末
9時~15時30分(受付最終15時10分)
無料駐車場あり
白馬ジャンプ競技場の筆者の歴訪記録
※記録が残る2001年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2001.05.03
2002.02.11
2010.07.19
2015.03.09
2021.03.09
2024.07.25
「白馬ジャンプ競技場」での現地調査は2024年7月が直近になります。
白馬ジャンプ競技場【目次】

長野オリンピックの栄光
八方尾根の麓にノーマルヒルとラージヒルの2つジャンプ台が並んで見える「白馬ジャンプ競技場」は、いわずと知れた長野オリンピック・男子ジャンプチームの栄光の舞台だ。
長野オリンピック(第18回冬季オリンピック)は、1998年2月7日から2月22日まで、長野市とその周辺を会場にして開催された、20世紀最後の冬季オリンピックで、日本代表は冬季五輪史上初の二桁となる合計10個(金5・銀1・銅4)のメダルを獲得して地元を大いに沸かせた。
とりわけ「笠谷」「今野」「青地」の3人で表彰台を独占した「札幌オリンピック」の活躍以降となった、”日の丸飛行隊”こと日本ジャンプ陣の活躍は顕著で、金2個、銀1個、銅1個のメダルを、このジャンプ台で勝ち取っている。
●ノーマルヒル個人
「船木和喜」銀メダル
●ラージヒル個人
「船木和喜」金メダル
「原田雅彦」銅メダル
●ラージヒル団体
「岡部孝信」「斉藤浩哉」「原田雅彦」「船木和喜」金メダル
またこの優勝によって、”悪夢”といわれたリレハンメル・オリンピックの呪縛から、愛すべき男「原田雅彦」は開放された。
栄光を支えた知られざる秘話
「白馬ジャンプ競技場」の建物の中には、当時の記録を飾る「白馬村オリンピック記念館」がある。
長野オリンピックをLIVEで見ていた筆者は、我が子にもそうしたように、いつか孫を連れてこの地を訪れ、当時の感動を伝えたいと思っていた。
2021年5月
そう思っていたら、まさに神様が見ていたかのようなタイミングで、長野オリンピック・ジャンプ団体金メダルの秘話を描いた映画が上映されることになった。
映画のタイトルは、「ヒノマルソウル〜舞台裏の英雄たち〜」で、栄光の裏側を支えた25人のテストジャンパーたちの活躍を描く、実話を基にした感動のヒューマンドラマだ。
ストーリーは以下の通り(TBSチャンネルより転用)
長野オリンピック・ラージヒル団体で日本初の金メダルを狙うスキージャンプチーム。そこに、エース原田のジャンプを複雑な想いで見つめる男、元日本代表・西方仁也(田中圭)がいた。
前回大会・リレハンメルオリンピックで、西方は原田とともに代表選手として出場するも、結果は銀メダル。4年後の雪辱を誓い練習に打ち込んだが、代表を落選。失意の中、テストジャンパーとしてオリンピックへの参加を依頼され、屈辱を感じながらも裏方に甘んじる。
そして迎えた本番。団体戦の1本目のジャンプで、日本はまさかの4位に後退。しかも猛吹雪により競技が中断。メダルの可能性が消えかけた時、審判員たちから提示されたのは「テストジャンパー25人全員が無事に飛べたら競技を再開する」という前代未聞の条件だった…。
命の危険も伴う悪天候の中、金メダルへのかすかな希望は西方たち25人のテストジャンパーに託された。
2024年8月
結果を求められるどの世界にも、”舞台裏”は存在すると思うが、こういう話を知れば、その「結果」の重みも受け止め方も変わってくる。

出典:デイリースポーツ
なぜ選手は勝てば開口一番に、支えてくれた周りの人に感謝の言葉を発するのか、なぜ負ければ涙を流して謝るのか…
ややもすればSNSで誹謗中傷が飛び交う時代になった今こそ、人はこういう話に触れる必要があると思うのだが。
白馬ジャンプ競技場の見どころ
「白馬ジャンプ競技場」では、試合開催日とリフトが運休する4月上旬~中旬、11月中旬~下旬を除いて、一般客もリフトとエレベータでスタートタワーに登ることができる。
写真はラージヒルで選手が滑り出すスタート付近から写したものだが、ジャンプ以前に、ここから滑り降りる勇気があるだけでもたいしたもの。
手すりを離すことさえできない高所恐怖症の筆者には、その心境を想像することすら無理だ(笑)。
ただ、「白馬ジャンプ競技場」は年々老朽化が目立つようになっていた。
しかし構造上莫大な費用がかかることから改修がままならず、長きにわたりFIS公認ジャンプ台の更新ができず、スキージャンプ・ワールドカップの開催地からも外されてしまっていた。
だが、国際スキー連盟(FIS)の大会開催基準を満たすため、2017年の国体を前に、スポーツ振興くじ(toto)の助成金を活用して施設の改修工事が行われた。
ここから先は余談だが…
もし筆者が「白馬村」の村長なら、「白馬ジャンプ競技場」の真横に規模の大きなイベント会場と道の駅を作るべく、移転リニューアルを画策する。
以下の記事に記しているように、年間観光客数から試算しても、今の「白馬村」なら100台が収まる駐車場を構えても、問題なく埋まるだろう。
やり方次第では、それで競技場の施設管理費も賄うことができるかもしれない。