この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
安心なのは「道の駅 湯西川」だが、利便性がいいのは「龍王峡の無料駐車場」。ただし傾斜が気になる。
名前は全国区でロケーションもそこそこなのに、日中は人影まばらで、大型ホテルの廃墟も目立つ…
もうそろそろ温泉街の近くにRVパークを併設する道の駅を作り、キャンピングカー旅行者の取り込みを考えても良さそうなものだが、未だそういう計画は聞こえてこない(笑)。それが鬼怒川温泉街だ。
我々からすれば「宝の持ち腐れ」としか思えないのだが、界隈に車中泊のできる場所がまったくないわけではない。
そこで近年の車中泊で重要視されている「安心・安全」の順に、鬼怒川周辺の車中泊スポットを紹介していこう。
鬼怒川温泉オートキャンプ場
まずは「当たり障りのない」オートキャンプ場から(笑)。
本来クルマ旅というのは、車中泊地には短時間しか滞在しないのが普通で、友人と一緒に行動する時か、北海道のように無料もしくは1000円以下でないかぎり、コストのかかるオートキャンプ場は利用しづらい。
ただ日光と奥日光をアクティブに観光した後、「休息日」を設けてゆっくり寛ぎたい人には、開放感があって場内に温泉施設と電源設備がある、この「鬼怒川温泉オートキャンプ場」は悪くない選択だと思う。
オートキャンプ
1区画 4,000円
AC電源 1,000円
管理費 500円/1人(小学生以上)
温泉浴場「上滝乃湯」
大人500円
10時~20時30分(受付最終20時)・第1・第3水曜定休
鬼怒川温泉オートキャンプ場 オフィシャルサイト
道の駅 湯西川
龍王峡 無料駐車場
鬼怒川温泉の名勝「龍王峡」の入口には、野岩鉄道の「龍王峡駅」前と、その隣に市営駐車場の看板がつけられた「ドライブイン」の2つの大きな無料駐車場がある。
いずれも公衆トイレが隣接していて、車中泊には「もってこい」の環境なのだが、ゲレンデの駐車場並みの傾斜があるため、筆者の基準では「不好適」の部類に仕分けされる(笑)。
ただ「道の駅 湯西川」での車中泊に支障が生じ、緊急事態で龍王峡の「ドライブイン」を利用した際に、その欠点を帳消しにするメリットがあることに気がついた。
「ドライブイン」にある食事処「五子(ごこ)」では、おかみさんが生簀の中の鮎か岩魚を「瞬殺」して、塩焼きにしてくれる。
その手際の良さは、まさに名人級。上高地の嘉門次小屋でも、チーフが務まるに違いない(笑)。
そこから遠火の強火で焼くことおよそ15分。その仕上げの丁寧さには感服した。閉店は17時と早めだが、その頃のほうが空いてていい。もちろん食事も可能だ。
こちらが駐車場。たしかに傾斜は気になるが、向きを縦に合わせられれば寝れないことはない。
24時間開放されている野外トイレは、上の写真奥の右手に隠れている。
便座は和式だが、キレイに手入れされていて不快感はない。
鬼怒川レジャー公園
テニスコートとゲートボール場がある大きな市民公園で、公園のすぐ西側に栃木県警察官の官舎がある(笑)。
トイレはテニスコートの手前にある。なお2017年に訪ねた時は、和式の便座だった。
ここでは実際に車中泊をしたことはないが、ネットに車中泊をしたという人のレポートがあがっているので、駐車場もトイレも24時間利用できるのだろう。
「鬼怒川公園岩風呂」と「川治温泉・薬師の湯」の無料駐車場
このほかでは、「鬼怒川公園岩風呂」と「川治温泉・薬師の湯」に隣接する無料駐車場で、昔は車中泊をする人がいた。
この記事を書いている2020年9月現在でも、車中泊が禁止になったという話は聞かないので、季節によってはそこで寝る人がいないわけではないだろう。
ただ「道の駅 湯西川」ができて以降、あえてその2つの共同温泉で車中泊をする人は少なくなっているようだ。
10年前に比べれば、車中泊スポットの数も、車中泊の旅人に対する人の目も大きく変わってきている。
その中で、凡人が温泉の利用客用に用意された駐車場に長居をするのは勇気がいる(笑)。それよりは上記に紹介した車中泊スポットで、別の満足を得る方法を見出すのが「おとな」というものだ。