この記事は車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、日本全国で1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、「車中泊ならではの歴史旅」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
関ヶ原古戦場に誕生した、待望の本格的な歴史ミュージアム
岐阜関ケ原古戦場記念館【目次】
関ヶ原の合戦は、「結果」よりも「経緯」のほうが興味深い。
石田三成率いる西軍約8万と、徳川家康率いる東軍約7万、合わせておよそ15万人とも云われる軍勢が、一堂に会して繰り広げられた日本史上最大の激戦…
日本人の大人で、多かれ少なかれ「関ヶ原の合戦」を知らない人はいないと思うのだが、この大きな戦は結果よりも、むしろそこに至るまでの経緯のほうが興味深い。
たとえば…
「天下分け目の決戦」と呼ばれているのに、なぜ「豊臣」VS「徳川」ではないのか… ちなみにこの戦の西軍の大将は毛利輝元で、石田三成ではない。
たとえば…
関ヶ原に集結した東軍は、家康直属の本隊約3万と、豊臣恩顧の福島正則・黒田長政ら約4万の合計7万余りとされているが、なぜ豊臣恩顧の武将の多くが、西軍ではなく東軍についたのか…
それを理解する一番いい方法は、「大河ドラマ」を見ることだ(笑)。
近年では2014年に放送された岡田准一主演の「軍師官兵衛」がお勧めだが、実は2023年には松潤演じる「どうする家康」が放送される。
「どうする家康」でも、おそらく天下取りに向かう中で、その疑問に関連する話がたくさん出てくるはずだ。
なお気の短い人には、こちらのサイトでその答えをご覧いただける(笑)。
かつての関ヶ原古戦場
15万人もの軍勢が戦った場所だけに、「ココだ!」というわけにはいかないのだろうが、それにしても「本当にここが関ヶ原なのか?」という想いが拭えないほど、何もなかった(笑)。
筆者の記憶では、笹尾山に残る石田三成の本陣跡に来ると、スピーカーから定期的に大音量で「関ヶ原合戦のあらまし」が流されていただけ(笑)。
周りを探せばこういう場所もあるのだが、大半の人は笹尾山の砦を見だだけで、関ヶ原から立ち去っていたと思う。
そして笹尾山は2022年の現在も、以前とほとんど変わらない…
そりゃ史跡だから、勝手には大きく変えられない(笑)。
だが岐阜県も関ヶ原町も、「このままでいい」とは思っていなかった。
そこで2014年に、この徳川家康の最後の陣地跡を利用した、大掛かりなプロジェクトを立ち上げる。
岐阜関ケ原古戦場記念館の見どころ
「関ケ原古戦場グランドデザイン」と題されたそのプロジェクトは、「関ケ原町歴史民俗資料館」をビジターセンターとしてリニューアルすることを柱に、一帯を県内有数の観光拠点にすることを目指して策定が繰り返され、ビジターセンターの正式名称を「岐阜関ケ原古戦場記念館」に変更して、ようやく2020年のオープンに漕ぎつけている。
オープンは当初2020年7月17日の予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大のため延期され、同年10月21日(関ヶ原の合戦が行われた慶長5年9月15日は西暦の1600年10月21日に該当する)に開館、翌10月22日より一般公開された。
さて。
「岐阜関ケ原古戦場記念館」の見どころは、なんといっても1階に映像展示(グラウンド・ビジョン及びシアター)だ。
若者は最新技術を駆使した遊園地ばりの演出に気が取られるかもしれないが、この映像の一番素晴らしい点は、短時間に要点が伝わるように絞り込まれたコンテンツにあると思う。
床に埋め込まれたモニターに映し出されるグランドビジョンでは、合戦に至るまでの両軍の動きが紹介され、メインのシアターでは関ヶ原の合戦のハイライトとも呼べる、西軍の小早川秀秋の裏切り、大谷吉継の奮闘と討ち死、そして最後に窮地を脱する島津の退き口にスポットを当てた映像が、ドラマチックに仕上げてある。
ただしここは事前予約者(前日15時まで受付)の入場が優先されるので、できれば予約して行かれることをお勧めする。(予約先:0584-47-6070)
予約はホームページからでも可能だ。
もちろん予約枠の空き状況によっては、当日の入場枠で見学できるが、希望通りの上映時間に観られるとは限らない。
当日枠で見学する場合は、チケット売り場でその旨を伝え、上のピンクの整理札を手に入れよう。
上映時間まで間がある人には、隣接する売店がお勧めだ。
ここには「超」がつくほどマニアックな歴史グッズが数多く並んでいる。
このクリアファイルの中には、関ヶ原の合戦に直接関係のない武将もいるが、歴女・歴男くんは無視することのできないアイテムでは(笑)。
続いては2階の展示室だが、ここでは関ケ原の戦いの発端から終結までを実物資料等を交えて紹介している。
ただ撮影禁止なので画像はない。
そして最後は5階。
360度全面ガラス張りの展望室からは、現在の関ケ原が一望できる。
これで500円は正直かなりのお得感。
もしかしたら、まだ「お試しセール中」かもしれない(笑)。
普通で考えれば800円から1000円あたりが妥当と思える内容だった。
〒503-1501
岐阜県不破郡関ケ原町関ケ原894-55
TEL:0584-47-6070
入館料/おとな500円
開館時間/9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日/毎週月曜日(祝日の場合は翌日)、12/29~1/3
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「岐阜関ケ原古戦場記念館」と古戦場跡めぐりを含めても、普通は3時間ほどあれば関ヶ原での用は終わる。
そこで残る時間をどう過ごすかだが、コンテンツとしては以下の2つが挙げられる。
名城めぐり
関ヶ原の近くには、一度は訪ねてみたい名城が目白押しだが、滋賀県方面ではやはり、国宝指定されている彦根城がその筆頭に挙がるだろう。
彦根城は井伊家の居城だが、彦根の藩祖となった井伊直政は、関ヶ原の合戦の火ぶたを切った家康子飼いの武将で、この合戦で受けた鉄砲傷が悪化したため、1602年(慶長7年)に、佐和山城にて死去している。
佐和山城が石田三成の居城であったことを含めると、関ヶ原とのゆかりがある彦根は抱き合わせて周るにはイイところだと思う(笑)。
なお彦根城周辺の車中泊スポットとしては、「道の駅 近江母の郷」が挙げられる。
またここからは、あの安土城も遠くない。
いっぽうもっと近くで、関ヶ原の合戦とゆかりのあるお城と云えば「大垣城」だ。
全国的にも珍しい4層の天守閣を持つ「大垣城」は、関ヶ原の合戦で石田三成が本拠地にしていた名城で、松尾芭蕉の「奥の細道」の結びの地としても知られている。
なお大垣城を見た後は、近くにある温泉が隣接する「道の駅 池田温泉」での車中泊がお勧めだ。
そこからは伊吹山ドライブウェイも近いので、いい季節には翌日の朝からドライブに出かけるのもいいだろう。