「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、10年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価。車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる「各温泉地の魅力」を、主観を交えてご紹介します。
作家の藤本義一が命名した開放感あふれる露天風呂
南紀勝浦温泉 ホテル中の島は、2019年4月に高級旅館の「碧あおき島の宿 熊野別邸 中の島」としてリニューアルオープンし、ホテルも経営母体も刷新された。
「紀州潮聞之湯」は以前のまま入湯できるが、ホームページには「日帰り入浴はできません」と明記されている。
ということなので、以下は「日帰り入浴ができた時代の昔話」になる。
入湯レポート
紀州潮聞之湯(きしゅうちょうもんのゆ)は、中の島の中に6本の源泉を保有する「ホテル中の島」の温泉浴場のひとつで、眼の前に波が押し寄せる太平洋へ、天然の硫黄泉を惜しむことなくかけ流している。
壮大なロケーションと豊富な湯量を誇る南紀勝浦温泉がゆえの贅沢の極だ。
ただし、この超開放感あふれる露天風呂は「男性専用」。
客室から丸見えなので致し方ないと思うが、女性用の展望露天風呂は、いわば2Fにあたる位置に用意されている。
広い露天風呂は写真の洞窟風呂にも通じており、様々なロケーションで楽しめる。場所によって温度が変わるので、好みの温度の場所を探すといい。
さらに男湯は、露天風呂と写真の屋内大浴場が通路で結ばれており、裸のままで行き来できる。
日帰り客にも開放されているので、寒い時期はこちらで十分温まってから露天風呂へ向かおう。
この温泉が1000円で味わえるだけでも嬉しいのだが、ホテル中の島は「那智勝浦 湯めぐり手形」に参加しており、それを1300円で購入すれば、ホテル浦島の忘帰洞を含む他の契約施設の2軒にも入湯できるから驚きだ。
おまけに、湯めぐり手形は予め用意して行かなくても、ホテルの売店で購入すればその場で使える。
ちなみに漁港から中之島へは無料の渡船を利用する。乗船時間は5分ほどで、船は頻繁に往復しており、車中泊ができる勝浦漁港緑地公園から発着地の観光桟橋までは歩いて行ける。
入浴料:大人1000円・小人500円
●営業期間:通年
●営業時間:14時~20時
●定休日:不定休
現在の宿泊費はひとり35,000円以上するらしく、もう宝くじでも当たらない限り、紀州潮聞之湯に入湯する日は来ないだろう。
たまには、中高年で良かったこともあるものだ。こうなる前に、たぶん5回は行った思う(笑)。