「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、10年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価。車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる「各温泉地の魅力」を、主観を交えてご紹介します。
諏訪湖の畔にある「片倉館」は、国指定の重要文化財「千人風呂」を持つ、レトロな洋風温泉館
片倉館と千人風呂のエピソード【目次】
片倉館建設のきっかけ
1928年(昭和3年)に竣工された「片倉館」は、片倉財閥の創業50周年の記念事業として、地域住民に厚生と社交の場を提供することを目的に建てられた。
建設のきっかけは二代目社長の片倉兼太郎が、欧米の視察旅行で学んだ先進諸国の進んだ文化福祉施設にあり、帰国後、片倉財閥関係者のみならず、一般市民も利用できる待望のクアハウスが誕生した。
片倉財閥は、世界遺産「富岡製糸場」の立役者
シルクエンペラーと称された「片倉財閥」は、絹製品が日本における輸出総額の約4割を占めていた、大正から昭和の初期に成長を遂げた、日本最大の製糸会社「片倉製糸紡績株式会社(現・片倉工業株式会社)」を母体としている。
そして「片倉工業」は、2014年に世界文化遺産に認定された、「富岡製糸場」の最後の民間オーナーだ。
「富岡製糸場」は、日本の製糸業の衰退とともに1987年(昭和62年)に操業を停止したが、その後も建物と機械は片倉工業株式会社によって大切に保管され、しいてはそれが世界遺産登録の大きな下支えにつながった。
その「片倉マインド」が、この「片倉館」にも受け継がれている。
千人風呂
さて。「片倉館」の代名詞である「千人風呂」と名付けられた大理石造りの浴槽は、実際に100人ほどが一度に入浴できるほどの広さを持つ。
深さ1.1メートルの底には玉砂利が敷き詰められ、足裏から心地よい刺激を受けながらの湯浴みとなる。
また、ステンドグラスや周囲の彫刻、装飾にも目を向けたい。
自然の中の天然温泉とは全く異質の「贅沢感」がここには在る。
片倉館 オフィシャルサイト
施設概要
●電話:0266-52-0604
●入浴料:大人750円
●営業時間:10時~19時30分(閉館20時)
●定休日:第2・4火曜
●泉質:弱アルカリ性単純温泉
●お湯:循環
●お風呂:男女別内風呂
●休憩スペース:2階(無料)
●飲食施設:あり
●駐車場:あり(無料)
●鍵付きロッカー:あり(無料)
●シャンプー・石鹸等:あり(無料)
●ドライヤー:あり(無料)