車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、軽井沢の見どころと車中泊に関する記述です。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊旅行ガイド
この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
~ここから本編が始まります。~
車中泊旅行者にお勧めなのは「中軽井沢」。星野エリアは車中泊旅行者のニーズに合致する!
軽井沢の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2010.07.18
2012.08.16
2012.11.11
2013.11.25
2015.04.09
2021.05.15
2022.11.27
2024.07.22
※軽井沢での現地調査は2024年7月が直近です。
軽井沢 車中泊旅行ガイド【目次】
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軽井沢の概要と歴史
江戸時代の軽井沢は、中山道の宿場町として活況を呈し、今なお若者で賑わう「旧軽銀座」は、その当時のメイン・ストリートをルーツにしている。
明治に入ると外国人が別荘を構えたり、頻繁に足を運ぶようになったため、この通りには早くから洋風文化が定着した。
その背景としては、碓氷新道(旧国道18号線)が完成し、横川(群馬県)~軽井沢間の鉄道が開業したことで、東京から軽井沢へのアクセスが大きく改善されたことが挙げられる。
第一次世界大戦、第ニ次世界大戦の影響による紆余曲折はあったものの…
高度経済成長期にあたる1971年(昭和46年)に、碓氷バイパス(現在の国道18号)が建設され、1993年(平成5年)に上信越自動車道が開通したことで、マイカーによるアクセスが大幅に向上する。
さらに1997年(平成9年)の北陸新幹線開通で、軽井沢は年間約850万人が訪れる、長野県随一の観光地へと変貌を遂げた。
そうなると、避暑地・別荘地という誰もが憧れるセレブな環境にあり、垢抜けしたハイセンスな町というイメージに包まれた軽井沢を、旅行誌やファッション雑誌が放っておくはずがない(笑)。
それから20年以上の歳月が流れた現在は、店舗もずいぶん入れ替わっているのだろうが、いずれにしても還暦を過ぎた筆者には、もはやこの通りは眩しすぎて歩く気にはならない(笑)。
おまけにここでは、クルマは邪魔になるだけだ。
ただ「旧軽銀座」を山の手に向かって進んでいくと、店の数が徐々に減り、軽井沢の歴史を守る老舗旅館や松尾芭蕉の句碑など、往時を偲ばせる景観が現れる。
本来の旧軽井沢は、実はここから先に在ると云っていい。
軽井沢の名を、当時の在日外国人や政財界に知らしめたカナダ人の宣教師ショーは、この「つるや」の主人・佐藤仲右衛門の斡旋によって、旧軽井沢の大塚山に軽井沢初の別荘を建設し、保養地・避暑地としての軽井沢の歴史を切り開いた。
軽井沢の見どころ
軽井沢の見どころは、歴史が感じられるところと、自然が感じられるところに大別されるが、歴史という点では、やはり旧軽井沢は外せない。
軽井沢ショー記念礼拝堂
前述した「軽井沢の恩父」ことカナダ人宣教師、アレキサンダー・クロフト・ショーによって創設された軽井沢最初の教会で、もちろん胸像はショー本人。
建物の原形ができたのは1895年(明治28年)で、1922年(大正11年)に現在の礼拝堂が完成したという。
こちらはショーが建てた軽井沢の別荘第一号。当初は民家を移築改造したものだったそうで、礼拝堂ができるまで、ここが祈りの場として使われていた。
ショーの死後、この別荘は日本基督教団軽井沢教会の敷地内に移築保存されていたが、1986年(昭和61年)に再び「ショー記念礼拝堂」の裏に移築復元され、現在は「ショーハウス記念館」と呼ばれている。
ちなみに「軽井沢ショー記念礼拝堂」は年間を通じて開放されており、訪れる誰もが祈りを捧げることができる。
とはいえ、キリスト教の信者でなければ、”是が非でも訪れるべし”というところではないと思う。
もし「旧軽銀座」を歩くのなら、「軽井沢ショー記念礼拝堂」を休憩地を兼ねた”折り返しポイント”にするといい。
軽井沢の歴史が感じられる、筆者お勧めの施設は、もっと奥のクルマで行きやすいところにある。
旧三笠ホテル
1906年(明治39年)に開業し、政財界の社交場として「軽井沢の鹿鳴館」と称された「旧三笠ホテル」は、設計・施工を日本人が手がけた、木造で純西洋風の歴史的建造物だ。
ホテルとしての営業は、1970年(昭和45年)に幕を下ろしたが、その10年後に国指定の重要文化財となり、現在でも軽井沢を代表する観光名所となっている。
当時の金額を現在のレートに換算すると、1泊20万円以上したというだけあって、アンティークな調度品が並ぶ室内には、色褪せることのない高級感が漂っている。
また軽井沢駅から遠いため、当時は馬車による送迎が行われていたというが、旧軽井沢の市街地とホテルを結ぶ道は「三笠通り」と名付けられ、「新・日本街路樹100景」に選出されている。
なお、かつて三笠ホテルで振る舞われていたカレーは、軽井沢三笠珈琲店(旧軽井沢三笠茶屋)にて再現されており、今でも食べることができる。
※2022年12月現在、「旧三笠ホテル」は耐震補強を含む大規模保存修理工事中で、工事後の再開館は2025年(令和7年)夏頃の予定となっている。
さて。
旧三笠ホテルを観た後は、「軽井沢星野エリア」がある中軽井沢でゆっくりするのがお勧めだ。
マップを見ればわかるように、旧軽井沢から中軽井沢へは国道18号を通ると近い。
しかし休日は渋滞が激しく、特に銀座付近を抜けるのに苦労する。
そこで有料になるが、あえて遠回りのルートを紹介しよう。
「白糸ハイランドウェイ」は約10キロの森の道で、途中には美しい白糸の滝がある。
白糸の滝
「白糸の滝」は、高さ3メートルほどの岩肌から、絹糸の如く繊細な水が、約70メートルにもわたって流れ落ちる穏やかな滝で、「本家」と呼んでいいのかは分からないが、富士山の中腹にある「白糸の滝」に勝るとも劣らない優雅さだ。
しかも両者は同じように、伏流水が岩肌から湧き出してくる潜流瀑(せんりゅうばく)で、滝壺は雨が降っても濁らない。
ちなみにこの神秘に満ちた滝の水は、中軽井沢を流れる湯川となり、最終的には日本一長い信濃川(長野県での呼び名は千曲川)に合流していく。
なお、クルマは道路沿いに設けられた無料の駐車場に駐められる。
駐車場から滝までは、アップダウンがほとんどない遊歩道を歩いて3分ほど。
これは滝が好きな中高年には、本当にありがたい(笑)。
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軽井沢星野エリア
「軽井沢星野エリア」は、今や北海道のトマムや沖縄の竹富島にもリゾート施設を抱える「星野リゾート」の社長が、”実家”である「星野温泉」を再構築して創りあげた、まさに理想郷と呼ぶべき寛ぎの場だ。
もちろん有名なのは、名宿で名高い「星のや」だが、車中泊の旅人にとって注目すべき点は、「軽井沢星野エリア」は気軽に日帰り旅を楽しめる施設を、森の中に点在させていることにある。
具体的には源泉かけ流しの日帰り温泉「星野温泉 トンボの湯」、野鳥や野生のムササビを観察できる「ピッキオ」、そしてカフェやレストラン、雑貨店などからなる「ハルニレテラス」が挙げられる。
その「軽井沢星野エリア」の”中核”と呼べる施設が、湯川沿いにウッドデッキで9棟の建物が連なる「ハルニレテラス」だ。
ここでは食事を含めて、誰もがゆったりと時間を過ごすことができる。
そして「ハルニレテラス」に行くなら、空いている朝がいい。
この後に”車中泊スポット”として紹介している「湯川ふるさと公園」は、「ハルニレテラス」からわずか2.5キロほどしか離れていない。
筆者は経済力ではセレブにまったく敵わないが、「ベッド」を持参しているので、同じように時間を過ごすことだけはできる。
それは新幹線でやってくる、日帰り旅行客との決定的な違いだろう。
軽井沢の車中泊事情&車中泊スポット
軽井沢を1泊2日で観光する際のベスト車中泊スポットは、かつては中軽井沢の「軽井沢星野エリア」に近い「湯川ふるさと公園」の無料駐車場と云われてきたが、2024年7月時点では、そこから4キロほど離れた町営の「新軽井沢駐車場」に代わっている。
ただ避暑地でもある軽井沢では、旅のペースを落として半日を観光、半日はキャンプサイトでのんびり過ごすというプランも悪くない。
しかし軽井沢のオートキャンプ場を検索すると、出てくるのは群馬県の北軽井沢エリアにある施設ばかり(笑)…
もっとも30分ほど走れば、このような北海道を彷彿させる自然豊かなサイトで寛ぐことができるので、けして悪くはないと思うが、どこもお値段はそれなりだ。
その中で「穴場」と云えそうなのが、この「-be-北軽井沢キャンプフィールド」。
しばらく休眠していたキャンプ場だが、管理者が代わり2022年10月に再オープンを果たしている。
冬期はクローズされるが、トイレはきれいで、炊事棟でお湯が使えるにもかかわらず、良心的なプライスなのが嬉しい。
また中軽井沢駅から徒歩15分という好立地に、車中泊ができる「湯川キャンプ場」があるようだ。
料金は大人1人2000円+車1台500円。トイレは洋式の簡易水洗とのこと。
ホームページはなく、フェイスブックにも肝心な情報は記載されていないので、詳細は電話で確認を。
逆に云えば、だからみんな知らないのかも!(爆)。
湯川キャンプ場 ☎0267-45-5997
なお、軽井沢の町に近い道の駅としては、「軽井沢星野エリア」から約22キロ、クルマで30分ほどのところにある、長野県東御市の「道の駅 雷電くるみの里」が挙げられるが、駐車場全体に傾斜があって車中泊に適しているとは云い難い。
それよりは約26キロ、クルマで40分ほど離れた同じ東御市の温泉が隣接している「道の駅 みまき」のほうがいい。
また佐久方面にも「道の駅 ほっとぱ~く・浅科」と、「道の駅ヘルシーテラス佐久南」の2つがある。
ただ、いずれも軽井沢から20キロ以上離れており、「前泊」「後泊」には使えても、1泊2日で軽井沢を観光するには不便すぎる。
いっぽう群馬方面では、「軽井沢駅」から約14キロ、クルマで20分ほどのところにある、碓氷峠の森公園交流館「峠の湯」をお勧めする。
車中泊で行く軽井沢
※こちらには、群馬県の北軽井沢の記事も収録しています。