車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家が、ビーナスラインとその周辺にある11件の車中泊スポットをご紹介。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊スポットガイド
この記事は車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
~ここから本編が始まります。~
ビーナスラインの車中泊スポットは、無料から1万円超えまでまさに”千差万別”。
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ビーナスラインとは…
蓼科から白樺湖、霧ヶ峰、さらに美ヶ原へと続く絶景の山岳回廊
初めての方は、ビーナスラインの詳細を以下のページにまとめているので、あわせてどうぞ。この記事はその「続き」になる。
筆者のビーナスライン歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2008.05.04
2010.05.15
2010.07.20
2011.02.13
2012.09.15
2015.04.25
2016.07.18
2019.07.31
2020.08.11
2021.03.11
2021.06.24
2022.06.21
2024.07.21
「ビーナスライン」の現地調査は2024年7月が直近になります。
ビーナスラインの車中泊事情
道中にリゾート施設やハイキングコースが点在しているビーナスラインを満喫するには、できれば途中に車中泊をはさむのが理想だと思う。
だが、近年のビーナスラインの車中泊事情は、あまり良好とは云えなかった。
最大の理由は、「長期滞在」や「キャンプ行為」を繰り返す輩たちと、「ビジネスホテル」を利用するのと同じように、ただ眠ることだけを目的に「道の駅」や「観光駐車場」を利用しながら旅をしている”人畜無害な車中泊旅行者”を、”十把一絡げ”に除外しようとしていることにあった。
ビーナスラインの沿線では、美ヶ原高原に加えて、2020年に蓼科湖畔に道の駅が新設されたが、両者とも特にキャンピングカーの車中泊に対しては神経を尖らせており、「禁止」と明記はされていないものの、ホームページには誤解を招くような注意書きが記されていた。
しかしここへ来て2つの「道の駅」は態度を軟化し、禁止項目から「車中泊」という表現を削除して、全国各地の人気観光地にある道の駅と同じ対応になっている。
ただそのあたりの話は、”もうウンザリ”という人もある思うので、興味があればこの先は別記事でご覧いただくとしよう(笑)。
本論はここからになる。
確かに夏は、標高の高いビーナスラインのどこかで車中泊がしたい気持ちは分かる。
ビーナスラインの車中泊スポット
ビーナスラインの車中泊スポットには、道の駅・ドライブイン・トイレのある無料駐車場・キャンプ場・RVパークがある。
道の駅
なんだかんだ云ってはいるが、「旅の宿」として”ビジネスホテル”的に利用するなら、車中泊をしても咎められることはない。
ドライブイン
「霧ヶ峰高原 ドライブイン霧の駅」は2022年5月末で閉館し、建物は取り壊されて、Googleマップでは名称も「霧ヶ峰ビーナスライン無料駐車場」に代わっている。
だが敷地内にある「旅の駅」と「農産物直売所」は営業をしており、24時間トイレも利用できるので、車中泊は可能だ。
無料駐車場
ビーナスラインには無料駐車場がいくつかあるが、トイレ付きとなると数ヶ所に限られる。ここでは、その中の代表的なところを紹介しよう。
写真は眺望の素晴らしい「霧ヶ峰富士見台」の無料駐車場だが、残念ながら24時間利用できるトイレはない。
北八ヶ岳ロープウェイ 駐車場
蓼科高原美術館と隣接しており、ロープウェイ駅の一階にご覧のきれいなウォシュレット付きのトイレがある。
登山客がやってくるので、スタッフは車中泊にも慣れているようだ。
南白樺湖駐車場(白樺湖 駐車場)
日帰り温泉「すずらんの湯」に隣接し、霧の駅の次に人気があった南白樺湖駐車場(白樺湖 駐車場)は、2021年に「車中泊はご遠慮下さい」とホームページに明記され、現地にもその旨の立て看板がある。
しかし2024年3月に「すずらんの湯」が閉館したため、今は車中泊スポットとしての最大の魅力を失ってしまった。
車山肩
車山に通じる登山口にある無料駐車場で、レストラン「チャップリン」が目印。リフトのある車山スキー場よりも「霧ヶ峰」寄りにあるので間違えないように。
バイオトイレは24時間利用が可能だが、ハイシーズンは早朝から車の出入りが多く、騒々しさは避けられない。
霧ヶ峰スキー場
「霧ヶ峰ビーナスライン無料駐車場」から、県道40号を1キロほど諏訪方面に下ったところにある、ファミリーゲレンデの無料駐車場。
当然ながら夏はがら空きで、まさに長期滞在者のパラダイス(笑)。またオフ会にもよく使われているようだ。
トイレは様式だがウォシュレットはなく、駐車場の端に食堂があり、温泉にも近い。
ヒュッテ霧ヶ峰
☎0266-57-0333
おとな500円
14時~22時・不定休
コンビニ・スーパーマーケットともに、約15キロ離れた茅野市街まで出ないとない。
八島湿原
「霧ヶ峰高原 ドライブイン霧の駅」から、ビーナスラインを美ヶ原方面に4.5キロほど進んだところにある無料駐車場。
多種多様な植物が咲く、八島湿原を散策するハイカー向けに用意されたもので、敷地内にウォシュレット付きのきれいな水洗トイレがある。
ただし駐車場には傾斜があり、車中泊には難がありそうだ。
オートキャンプ場
ビーナスライン沿いのキャンプ場は、「霧ヶ峰キャンプ場」のようなオート不可のキャンプ場を合わせると、いったい幾つあるのか正確にはわからない(笑)。
ただ車中泊クルマ旅での利用という観点からは、オートキャンプ場でできれば電源サイトのある施設のニーズが高いと思う。
白樺リゾート キャンピングビレッジ
白樺リゾート池ノ平ホテルの敷地の中にあるオートキャンプ場。
2022年4月にリニューアルを受け、全28サイトのうち12サイトをAC電源(20A)付きで、クルマをサイトに横付けできる人工芝のプレミアムサイトにグレードアップし、料金も12000円(週末と特別期間は15000円)となった。
いっぽう芝生のないベーシックサイトはAC電源(20A)付きで、6000円(週末と特別期間は9000円)になる。
蓼の花(たでのはな)オートキャンプ場
筆者がここでキャンプをしたのは2008年で、紹介するには随分昔の話になるのだが、ネットを見る限り、当時と施設はほとんど変わっていないようだ。
「蓼の花オートキャンプ場」は、蓼科湖がよく見える「湖畔サイト」と、炊事場に近い「ゆったりサイト」があり、筆者は「ゆったりサイト」を利用した。
いつの時代の「ゆったり?」と思う程度の広さだったが、サイドオーニングを出すだけなら支障はない(笑)。
こちらが「湖畔サイト」。2020年にできた「道の駅 ビーナスライン蓼科湖」の対岸にあるので、場所は分かりやすいと思う。
温泉施設を併設しているのは嬉しいのだが、ここには電源サイトがない。
2021年6月現在の料金は以下の通り。
オートキャンプ1泊 通常料金(大人2名迄、それ以上は追加料金が発生)
湖畔サイト4500円〜
ゆったりサイト(炊事場側)3500円〜
※料金は全て税込表示、繁忙期は特別料金
TINY GARDEN 蓼科
「蓼の花オートキャンプ場」のすぐ隣に2019年にオープンした、アパレルのセレクトショップで知られる「アーバンリサーチ」が運営する宿泊施設。
オシャレ感のあるコテージと小さいながらも電源サイトが用意されている。
ただここは、公式サイトでも料金がどこに書いてあるのかすぐに探せない。
筆者はこういうユーザーファーストではない施設を利用しようとは思わないので、興味のある方はご自分でリサーチを(笑)。
RVパーク
この3年のうちに、3件のRVパークが蓼科エリアに開業している。
オートキャンプ場に比べればリーズナブルに感じるが、RVパークは基本的に車外で調理はできないので、利用者の9割はキッチンを搭載しているキャンピングカーだ。
なおRVパークの中には、”車外でのサイドオーニング、椅子・テーブルの展開可”が、”車外での調理と食事が可能”とは一致しない施設が多い。
しかもホームページにはそこが明記されていないので、普通車は事前に電話で確認してからのほうがいい。
RVパーク 蓼科
標高は1535メートルの、女神湖まで歩いて行けるビーナスライン沿いの白樺高原にあるRVパーク。
料金は1泊1台4000円で、利用台数は9台。
RVパーク 蓼科 ラ・プラネート
標高1500メートルを誇る東急リゾートタウン蓼科の中にある、ペンション「ラ・プラネート」のRVパーク。
1区画のみ(完全予約制)で、料金は1泊・1台につき4400円になる。
RVパーク 蓼科パークホテル
「八ヶ岳中信高原国定公園」内に位置する、標高1250メートルの「蓼科パークホテル」内に開設されたRVパーク。
料金は電源付きのAサイト(4台)が、1泊・1台につき5500円、電源なしのBサイト(3台)が3500円で、総利用台数は13台になる。