「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、10年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価。車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる「各温泉地の魅力」を、主観を交えてご紹介します。

興味深い歴史エピソードを秘めた「伊香保温泉」は、周辺に自然と名物料理が揃う、車中泊の旅に適した温泉地

筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2011.10.15
2012.08.14
2013.11.21
2018.10.29
2021.05.14
2022.06.23
伊香保温泉 車中泊旅行ガイド【目次】

伊香保温泉のロケーション

今はスマホにインストールされているGoogleのマイクに向かって「伊香保温泉 露天風呂」と呟けば、マップが表示され、それをクリックしてナビ開始ボタンを押すだけで、何も考えることなく現地に辿り着ける時代だ。

確かに日帰りや一泊二日で伊香保温泉を訪ね、温泉街でゆっくするだけなら、ロケーションなど気にせず、それだけでかまわないのかもしれない。

しかし遠方から来て「日本ロマンチック街道」や、いわゆる群馬四湯(伊香保・四万・みなかみ・草津温泉)をロングランで周りたい旅人の場合は、それぞれの位置関係を事前に把握し、訪ねる順番や周辺の観光地との兼ね合いを見定めないと、簡単に先には進めない。
結論から云うと、「群馬四湯」はどこも終日温泉街でのんびりするより、半日は周辺の観光スポットに足を運ぶことで、クルマ旅の醍醐味を満喫できるロケーションにある。

伊香保温泉の場合は、榛名湖と水沢うどんの発祥地である水澤寺(水澤観世音)を抱き合わせるのがお勧めだ。
また、伊香保温泉は戦国時代に武田氏が支配していた土地で、その領地を預かっていたのが真田氏だ。

真田氏と云えば信州上田のイメージが強いのだが、実は上州の沼田一帯も領地として抱えていた。
伊香保温泉の見どころと名物

上記のエピソードで記した通り、現在の伊香保温泉の石段は、戦国時代に「長篠の合戦」で敗れた武田勝頼が、再起を図るために大量の将兵を収容できる温泉野戦病院を作るべく、この地を領有していた真田昌幸に命じて築かせたのが始まりだ。

それから400年余りが過ぎた現在の石段は 、1980年の大改修後に御影石が敷きつめられ、2010年には「1年を通して繁盛しますように」 との願いを込めて、 365段に増設されている。

石段の両側には温泉旅館・土産屋・飲食店のほかに、射的の遊技場などが軒を連ねて、温泉客を和ませている。

千明仁泉亭(ちぎらじんせんてい)は作家・徳富蘆花(とくとみ ろか)の小説『不如帰(ほととぎす/明治31年〜明治32年、「国民新聞」連載)』の冒頭に描かれた老舗の旅館。

徳富蘆花は、明治初期に熊本洋学校の生徒が結成した、キリスト教徒のグループ「熊本バンド」のメンバーのひとりで、同志社大学を中退後、民友社の記者となり、小説「不如帰」、随筆小品集「自然と人生」を発表して作家的地位を確立。その後はトルストイに心酔し、晩年はキリスト信者として求道的生涯を送った。
本名は徳富健次郎。ジャーナリストの徳富蘇峰は兄にあたる。
このあたりの話は、2013年に放送されたNHK大河ドラマ「八重の桜」の中で詳しく描かれていたので、記憶にある人もいると思う。
徳冨蘆花は晩年を千明仁泉亭の離れで過ごしていたが、昭和2年に心臓発作で倒れ、愛した伊香保でこの世を去った。

伊香保温泉街から県道33号を挟んだ向かいには、「徳冨蘆花記念文学館」が建つ。

その記念会館部分は、千明仁泉亭の離れを移築したもので、徳冨蘆花終焉の部屋が往時のまま残されている。

ちなみに「徳冨蘆花記念文学館」から少し渋川駅方面に行くと、「竹久夢二伊香保記念館」もある。

出典:ウォーカープラス
明治17年の9月に岡山県で生まれた竹久夢二は、美人画で一世を風靡した「大正ロマン」を代表する画家。
明治44年に少女からのファンレターがきっかけで伊香保を知り、大正8年に初めて伊香保・榛名の地を訪れるが、以来、伊香保の気候・風土・人情に心を寄せ、度々訪問している。

「大正ロマンの館」「黒船館」「義山楼」「子供絵の館」からなる「竹久夢二伊香保記念館」は、”癒やしのテーマパーク”と題された「大正ロマンの森」の広大な敷地の中におさまっている。
メインの「大正ロマンの館」には、所蔵する1万6千点に及ぶ夢二の作品・資料の中から、美人画や季節毎の作品が展示されており、彼の絵が好きな人は、一度足を運んで見る価値はあると思う。
<普通券>本館:1,800円
<共通券>本館+新館1階:2,200円

最後は、石段の最上部から先をご紹介。
伊香保神社を過ぎて伊香保露天風呂付近まで行くと、石段温泉街とはまったく異なる静かな森が現れる。

さらに伊香保露天風呂を過ぎると源泉と飲泉所が現れ、まさに別世界の伊香保温泉にお目にかかれる。
ここが石段ができる前の伊香保温泉本来の姿なのだろう。
伊香保温泉名物 湯乃花まんじゅう

勝月堂の初代・半田勝三氏が生み出した、 「黄金の湯」の湯花をモチーフに黒砂糖で色付けしたという、伊香保温泉の「湯乃花まんじゅう」は、全国の茶色い温泉まんじゅうの元祖といわれている。

その勝月堂は、伊香保神社の入口近くに隠れるように建っている。
買う時に「賞味期限は明日までです」と云われたのには驚いた(笑)。それだけ添加物を使っていない証なのだろう。
伊香保温泉のお湯と共同浴場

伊香保温泉には2種類の温泉が存在する。
これも「石段誕生エピソード」の中に記しているのだが、昔から伊香保温泉に湧いているのは、「黄金(こがね)の湯」と呼ばれる、肌触りが柔らかく刺激が少ない茶色の硫酸塩泉で、切り傷や火傷に効くほか、神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩などにも効能があるとされている。

現在の伊香保温泉には、「黄金の湯」の他に「白銀の湯」と呼ばれる温泉があるのだが、「白銀の湯」は1996年に開発されたもので、観光客が増え「黄金の湯」の供給量が間に合わなくなったことが、その源泉開発のきっかけになったという。

共同浴場には引湯されていないが、大きな旅館の中には「お宿玉樹」のように日帰り入浴を受けつけているところもある。
ただ「黄金の湯」に比べると温泉成分は乏しく、美肌成分で知られる「メタケイ酸」を規定量より多く含むおかげで、かろうじて法律上温泉に区分されている。また湯温も11℃しかなく加温が必要という。
伊香保温泉の共同浴場

伊香保温泉街には「黄金の湯」が味わえる共同浴場が2軒あるが、ここではそれぞれの長所短所と使い分け方を紹介したい。
伊香保温泉街の駐車場&車中泊事情

まずは伊香保温泉街の周辺には、有料と無料の駐車場があり、基本的に観光客はP1の徳冨蘆花記念文学館駐車場か、P2.P3.P4の石段アルウィン公園の有料駐車場を利用している。
徳冨蘆花記念文学館駐車場(有料)

有料の観光駐車場の中では石段まで一番遠いのだが、普通車70台と収容台数が多く、料金も最初の2時間まで300円、以降1時間ごとに100円とリーズナブルだ。
さらに午後3時から翌日午前10時まで800円で利用できる、宿泊料金設定もある。
なお、道路を挟んだ「伊香保温泉第二バス発着所」に公衆トイレがあるので、車中泊もやろうと思えば可能だが、普通はそこまでする必要はないと思う。
石段アルウィン公園駐車場(有料)

かつては市営駐車場と呼ばれていたが、近年になって改称している。
石段に一番近いのはP2の石段アルウィン公園北駐車場で、続いてP4の石段アルウィン公園西駐車場、そしてP3の石段アルウィン公園内駐車場の順になる。
料金は統一されており、最初の2時間まで500円、以降1時間ごとに100円。どこもP1より近いぶん割高だ。
なおP5は大型・中型自動車及び準中型自動車(どういう基準なのかはよくわからない)専用で、料金は最初の2時間まで1010円、以降1時間ごとに200円となっている。

いっぽう、地元の人と同じように共同温泉に入りたいだけなら、石段の湯と伊香保露天風呂のそれぞれ近くに、無料の駐車場が用意されている。
そちらについては、先ほどの共同浴場の紹介記事に、詳しいアクセス方法も記載している。
また周辺の道の駅を含めたお勧めの車中泊スポットは、以下の別記事でまとめて詳しく紹介しているので参考に。
伊香保温泉 車中泊旅行ガイド

車中泊でクルマ旅 総合案内
クルマ旅を愉しむための車中泊入門
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