この記事は車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
お湯のクオリティーが高いのは伊香保露天風呂、浴場としてのクオリティーが高いのは石段の湯
伊香保露天風呂と石段の湯の違いと、使い分け方【目次】
温泉ファンと旅行者の価値観は違う
写真の中央を流れているのは伊香保温泉の有名な「黄金（こがね）の湯」で、泉源に近い「飲泉所」と「伊香保露天風呂」から掛け流されてきたお湯だ。
「黄金の湯」は「石段の湯」でも使われているが、こだわりの強い「温泉通」に云わせれば、泉源に近い分だけ鮮度の高い「伊香保露天風呂」一択かもしれない。
だが旅行者の視点に立てば、必ずしもそうとは限らない。
「伊香保露天風呂」と「石段の湯」の一番の違いは、シャンプー・ボディーソープのみならず、シャワーを含む洗い場の有無だ。
「伊香保露天風呂」にはそれらがなく、「石段の湯」にはそれが揃っている。
これは毎日髪の毛を洗いたい女性には、泉質よりも間違いなく優先順位の高い条件になるはずだ。
しかし「温泉通」は湯上がりにシャワーを浴びることはなく、そのまま拭き取って服を着るだけなので、洗い場の有無はさほど気にはならない。
本音は有名な「伊香保露天風呂」を選びたいところではあるが、数多のホームページにはどちらも「源泉かけ流し」と書かれているので、ここは嫁さんに合わせて「石段の湯」にするか…
と思うのが「物分かりいい旦那さん」だが、実は「石段の湯」のお湯には、塩素系の消毒剤が使われている。
そうなると話は別で、真水で洗い流してから着替えたくなる。つまり本場の温泉地にまできて、「石段の湯」を最後にしたくはないわけだ。
出典：日本温泉協会
夫婦で意見が食い違うなら、双方が好きな浴場に行けば済むのだが、「石段の湯」は内風呂だけで露天風呂がないというのが、奥方にはまた悩ましい（笑）。
ちなみに「温泉成分等掲示表」をよく見ると、「夏は加水あり」と書き加えられており、いつでも「何も足さない無垢のお湯」というわけではない。
しかも伊香保温泉の「源泉かけ流し」は、「循環ろ過＝お湯の再利用はしていない」という意味で使われており、塩素はOKと解釈されている。
旅行者は最初にこのことを知ってから、どちらかを選ぶほうがいいだろう。
両方はしごする場合は、先に「石段の湯」で髪と身体を洗って、最後に「伊香保露天風呂」で名湯の効能に授かるほうが、理屈の上では正解だが、たぶんもう面倒くさいよね（笑）。
伊香保露天風呂
室内に更衣室はなく、無料のロッカーが湯殿のすぐ横にある。
アクセスは石段から歩くより、クルマで無料の渋川市営河鹿橋駐車場を目指すほうがかなり楽だ。
☎0279-72-2488
おとな450 円、子供200 円
4 月～ 9 月は9 時～ 19 時、10月～3月は10時～（受付最終18 時半）
毎月第1・第3 木曜定休（祝日は営業）
オフィシャルサイト
渋川市営 河鹿橋駐車場
「渋川市営 河鹿橋駐車場」は、渋川駅方面から石段の登り口を通り越し、さらに「徳冨蘆花記念文学館駐車場」も越えて、「伊香保温泉第二バス発着所」のところで左折し、「大江戸温泉物語伊香保」の前の坂道を登った先にある、まさに知る人ぞ知る駐車場だ。
普通車18台を収容し、敷地にはウォシュレット付きのトイレもある。
「車中泊禁止の表示」がないとはいえ、ここは石段を登ってアクセスするのがたいへんな「伊香保露天風呂」専用の駐車場という位置づけだけに、車中泊は勧めない。
石段の湯
石段街の上り右手にある蔵造りの建物で、1階が浴場、2階が休憩室になっている。なお更衣室に無料の脱衣棚はあるが、コインロッカーは100 円の有料だ。
またホームページには書かれていないが、石段の湯利用者専用の無料駐車場が用意されている。
☎0279-72-4526
おとな410 円、子供200 円
4 月～ 9 月は9 時～ 21 時（受付最終20 時半）
毎月第2・第火曜定休（祝日は営業）
オフィシャルサイト なし
石段の湯 駐車場（無料）
伊香保温泉の途中にある共同浴場「石段の湯」の専用駐車場で、利用者の大半は地元の人とリピーターだ。
そのため幹線道路に案内はいっさいない。
場所は渋川駅方面から石段の登り口を通り越して、市営第2駐車場（石段アルウィン公園西駐車場）のほぼ向かいにある導入路を登った先。
ナビを「ハワイ王国公司別邸」に合わせて行けば、その手前にある。ただ「ハワイ王国公司別邸」とは別物なので、間違わないようにしよう。
伊香保温泉 車中泊旅行ガイド
「アラ還」からの車中泊
自分たちの世代にマッチする、車中泊の旅を愉しみたい貴方へ。
