この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
「黒部の太陽」は、若き日の石原裕次郎と三船敏郎が共演した、ノンフィクション映画
「黒部の太陽」を見れば、アルペンルートがよくわかる。【目次】
45年の時を経て、ついにDVD化
「もう多分、その映像を見る機会は一生ないのだろう。」と諦めていた石原裕次郎主演の映画「黒部の太陽」が、2013年の春、遂にTSUTAYAの店頭に並んだ。
長年この作品がDVD化されなかった背景には、裕次郎の遺言がある。
「黒部の太陽を再上映をする時は、大きなスクリーンで見て貰いたい」という生前からの意向が尊重され、1968年に初上映されて以来、一度たりともテレビに出ることさえなかったのだ。
ニュースによると、石原プロモーション設立50周年を記念し、今回のDVD化が実現したとのこと。しかも、当時のカメラマンと音声スタッフの監修のもとに、デジタルリマスター処理を施してある。
ちなみに、原作は木本正次が1964年に書いた毎日新聞の連載小説。筆者が持っているのは、同年にそれを信濃毎日新聞社が書籍化したものだ。
またフジテレビでは開局50周年の記念番組として、2009年3月に香取慎吾主演でドラマ化している。
ストーリーの中心は「破砕帯」との戦い
さて。
「黒部の太陽」は、当時「世紀の事業」といわれた黒部ダムの建設物語だと思っている人があると思うが、正確には少し違う。
ストーリーの中心は、当時「大町トンネル」と呼ばれた現在の「関電トンネル」の採掘時に大きな障害となって立ちはだかった、「破砕帯」との戦いに置かれている。
今でもトンネルの中には「破砕帯」のサインがあり、トロリーバスの窓からそれを確認することができる。
クロヨンをよく知るには、「黒部峡谷鉄道」とのセットがお勧め
ところで黒部ダムは、別名「くろよん」とも呼ばれているが、正確には「黒部第四ダム」を意味している。第4ということは、その前に3も2も1もある…
実は「黒部の太陽」を含めて、黒部峡谷がどれほど人を寄せ付けない秘境であるかは、アルペンルートよりも、宇奈月温泉駅から出ている「黒部峡谷鉄道」、通称「トロッコ列車」に乗るほうがよくわかる。
「黒部ダム」に興味があるなら、アルペンルートを横断するより、大町から黒部ダムで引き返し、富山県の宇奈月に出て「黒部峡谷鉄道」と組み合わせたほうがずっと面白い。