この記事は車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
RVパークを併設している「道の駅 越前おおの 荒島の郷」は、中部縦貫自動車道のサービスエリアを想定した大規模な道の駅
道の駅 越前おおの 荒島の郷 DATA
道の駅 越前おおの 荒島の郷
912-0823
福井県大野市蕨生第137号21番地1
☎0779-64-4500
営業時間
9時~18時(冬期は17時)※施設によって異なる
無休 12月31日と1月1日は休館
「道の駅 越前おおの 荒島の郷」の登録日
※これを知ることで、施設の古さやリニューアルの有無などがわかります。
登録回/第54回
登録日/2021年3月30日
「道の駅 越前おおの 荒島の郷」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2022.09.17
道の駅 越前おおの 荒島の郷【目次】
「道の駅 越前おおの 荒島の郷」のロケーション
「道の駅 越前おおの 荒島の郷」は、福井県の一乗谷から九頭竜湖を超えて、岐阜県の白鳥に通じる国道158号沿いに、2021年にオープンしたばかりの真新しい道の駅だ。
国道158号は、白鳥からさらに高山、奥飛騨温泉郷、そして県境の安房峠を抜けて松本へと通じる、総延長約330キロに及ぶ長い道で、中部地方に点在する観光名所を、まさに本州を横断するように結んでいる。
とはいえ、このルートには既に「道の駅 九頭竜」があり、大野に新たに道の駅を作るということは、てっきり雲海に浮かぶ城として名高い「越前大野城」と、その城下町の活性化が目的だろうと思っていた。
越前大野城
「道の駅 越前おおの 荒島の郷」から約7キロ・クルマで15分ほどのところにある「越前大野城」は、1574年に起こった越前の内乱を鎮めた、織田信長の家臣「金森長近」が亀山の山頂に築いた城で「続日本100名城」に名を連ねている。
山城の特性から、晩秋になると周囲を雲海に包まれる日があることから、「天空の城」とも呼ばれ、写真愛好家の間では昔から有名だ。
ただし写真の「越前大野城」は、鉄筋コンクリートでできた「再建天守」。
江戸時代に幾度となく火災に見舞われ、その都度再建されたが、廃藩置県後に建造物は取り壊され、石垣のみが残された。
現在の天守閣は、1968(昭和43年)旧士族の寄付により再建されたものになる。
さて。
江戸時代に入ると、越前松平氏の支城となるが、後に大野藩として独立。1682年、譜代の土井利房が城主となり、以後幕末まで土井氏が藩主を受け継いだ。
大野藩7代藩主の土井利忠は、藩店大野屋の開設、藩校明倫館と洋学館の開設、済生病院の新築、西洋式軍制の採用などの藩政改革に取り組み、当時大赤字だった藩の財政を黒字化させた名君として名高く、城下町には当時の遺構も残されている。
ところがどっこい!
行ってみて、それがとんだ勘違いであることが判明した(笑)。
注目すべきは、クライミングピナクルの左に伸びる造成中の道路だ。
この道は、将来的に福井市から長野県の松本市へと通じる、高規格幹線道路「中部縦貫自動車道」の一部。
全線開通すると、「北陸自動車道」から「長野自動車道」「中央自動車道」へ至る、福井県と首都圏を結ぶ高速自動車交通の最短ルートになるという。
「道の駅 越前おおの 荒島の郷」の真横を通るのは、中部縦貫自動車道の一部を担う「大野油坂道路」で、当初は2022年の完成を予定していた。
それを見越して大野市は、「道の駅 越前おおの 荒島の郷」が日本百名山「荒島岳」の麓に位置することを背景に、福井県の魅力である「食べる」・「学ぶ」・「遊ぶ」を満喫できる大型の道の駅づくりを目指したというわけだが、肝心の道路は2026年春の開業へと延期になった。
そのせいで、現在は何とも違和感のある道の駅に見えてしまうのだが、確かにマニアックな越前大野城を全面に打ち出すよりは、そのほうが東京の若者に受けるのは間違いあるまい(笑)。
「道の駅 越前おおの 荒島の郷」の施設
前述した理由から、「道の駅 越前おおの 荒島の郷」のつくりは最近のサービスエリアによく似ている。
おかげで普通車とトラックの駐車場は離れており、普通車のほうがトイレや建物に近く使いやすい。
加えて路面も平坦で、特に車中泊に支障を感じることはなかった。
ただ気になったのはRVパークの位置だ。
規模としてはいいが、ここまで駅舎から離れてしまうと、トイレに行くのは大変。
これでは、利用者をトイレ付きのキャンピングカーに限定しているようなものだ。
いずれは炊事場と一体になったトイレ棟が建てられるかもしれないが、それまではちょっと使う気にはなれなかった。
RVパーク道の駅「越前おおの 荒島の郷」 オフィシャルサイト
こちらは館内のレイアウト。
24時間トイレは建物の中央に用意されており、当然ながら中にはウォシュレットが完備している。
また「道の駅 越前おおの 荒島の郷」には、フードコートを挟んだ建物の一番右端にシャワールームがある。
利用時間/10:00~17:00
利用料金/1回 300円/30分
ただシャワーを30分間浴び続けるのは、さすがにちょっと難しい(笑)。しかも男女別なので、たいていは時間を余らせてしまうだろう。
こちらは総合・観光案内所だが、ここにはパンフレットがほとんど置かれていない。
実は「道の駅 越前おおの 荒島の郷」では、このマップの11「道路情報提供コーナー」にパンフレットが置かれている。
しかしそこには、座ってそれを見るスペースがない。
館内でそれができる場所は2のテイクアウトコーナーだ。
このあたりは逆に、3つが同じ場所に用意された、ちょっと古めの道の駅のほうが機能的で使いやすい。
RVパークもそうだが、「道の駅 越前おおの 荒島の郷」は実際の運用面にいろいろと改善の余地があるようだ。
ただ必要なものはほぼ揃っているので、それ自体は難しいことではないだろう。
次は物販飲食についてだが、「道の駅 越前おおの 荒島の郷」の売店は、いつサービスエリアになっても大丈夫といえるほどの充実ぶりだ。
よもやここで、岐阜県の名産品「明宝ハム」に会えるとは思わなかった(笑)。
それに対してフードコートは若干手狭。こちらは「中部縦貫自動車道」が全線開通すれば、人で溢れかえりそうだった。
ちょうどお腹が空いてきたので、筆者はここで福井のソウルフードである「おろしそばとソースカツ丼のセット」を注文。
お味は上々。福井県下ならどこででも食べられる定番中の定番メニューなので、機会があればどこかで一度は食してみていただきたい。
ただし、営業時間は9時~16時(※食事は10時~14時)と終わりが早い。これもいずれは延長されるのだろうが、道路利用者からすると明らかに物足りない。
だが車中泊旅行者的見地からすると、「道の駅 越前おおの 荒島の郷」で一番ありがたいのは、この屋根付きの広大な屋外休憩スペースだと思う。
少し駐車場から離れた建物のモンベルと反対側にあるので、ここなら季節の良い時期は、閉館後に涼みながら調理済みの弁当や惣菜などが食べられるし、朝もパンやジュースなら問題はない。
ただ、ガスバーナーの使用は控えよう。
今でも時折、道の駅のテーブル・ベンチに座って慎ましく自炊をする旅行者を見かけるが、筆者はそれを全面否定しようとは思わない。
北アルプスに行けば、圧倒的に厳しい環境のもとで、火を使って調理をするのは日常茶飯事なわけで、それができる人にとっては、道の駅での自炊など本人の心の中では、自炊のうちになど入らないはずだ。
しかし残念なことに、いかに山で豊富なキャンプ経験を持つ人でも、世間の大半はあなたの技量を見抜いてはくれない。
つまり少なくても今は、ここでのそれは「十把一絡げの悪」にされる。
ただ熊本地震で証明されたように、実際の避難生活で羨望の眼差しを浴びるのは、間違いなくあなただろう。
ということは、状況が違えば「悪」ではなく「善」。しかも「お手本」になるくらいレベルが高い「善」だ(笑)。
それは道の駅でBBQをする輩とはまったく違う、ある意味では「道の駅における王道の自炊」と云ってもいいだろう。
ただ既に還暦を過ぎた筆者には残された時間がなく、それが世間に広く認知される日が来るのが待ちきれず、キャンピングカーに乗り換えた(笑)。
キャンピングカーは自炊ができなければ、日本政府から8ナンバーが付与されない特殊車両だ。しかも今は電子レンジが主流で、カセットガスを使うことはほとんどない。
さて。
アウトドアの話が出たところで、最後にモンベルショップの話題に触れよう。
驚いたことに「道の駅 越前おおの 荒島の郷」には、売店とフードコートに匹敵するほど大きなモンベルショップがある。
その理由は、冒頭に記した
日本百名山「荒島岳」の麓に位置することを背景に、福井県の魅力である「食べる」・「学ぶ」・「遊ぶ」を満喫できる大型の道の駅づくりを目指した
ことにあるはずだが、「荒島岳」とはどういうところなのか…
筆者は行ったことがないので何とも云えないのだが、ここらあたりが曖昧なままだと、「いいのかな~これで」という思いは払拭できない。
同じようにクライミングウォールを持つ「道の駅 みなかみ水紀行館」の先には、日本のロッククライミングの聖地「谷川岳」がそびえている。
「道の駅 越前おおの 荒島の郷」の車中泊好適度チェック!
「道の駅 越前おおの 荒島の郷」のゴミに対する対応
可燃ゴミ:屋外休憩スペースに設置しており、24時間利用可能。
缶・ビン・ペットボトル:同上
なお、車中泊の旅行中に発生するゴミは「家庭ゴミ」ではない。
しかるに「家庭ゴミの持込み禁止」は地域住民に向けた正しい勧告ではあるが、車中泊の旅行中に発生するゴミは該当しない。
こう説明すれば分かりやすいと思う。
近くのスーパーで買ってきた「弁当」は、道の駅についた時点では「ゴミ」ではなく「食品」だ。
それを道の駅に駐めたクルマの中で食べると、残った容器がゴミになる。
ということは、正確には「道の駅で発生したゴミ」であって、
道の駅のスタッフが、出勤前にコンビニで買ってきた弁当を昼食に食べた後、その容器を事務所のゴミ箱に捨てるのと同じ話で、誰が食べたかは関係ない。
すなわち、「事業ゴミ」として道の駅が処分するのが筋ということになる。
明日自宅に帰る車中泊の旅行者が、それを「持ち帰り」するのは自由だが、それは「マナー」と呼ぶものではなく、あくまでも「道の駅の負担を軽減してあげるための協力」であって、基本は堂々と捨てさせてもらってかまわない。
車中泊旅行中のゴミの処分については、以下にもっと詳しい記事を掲載しているので、時間があればぜひ。上に記した話が「自分勝手」かどうかは、法律に照らし合わせれば一目瞭然だ(笑)。
「道の駅 越前おおの 荒島の郷」の最寄りの温泉&周辺買い物施設
あっ宝んど
※約7.6キロ・クルマで10分
☎ 0779-66-7900
大人600円
10時~23時 ・第2火曜定休
コンビニ
ローソンが約5.4キロのところにある。
スーパーマーケット
約5.4キロのところに「ハニー新鮮館 こぶし通り店」がある。