この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
「宝塚北サービスエリア」にセルフのガソリンスタンドはあるが、シャワーステーションはない。
「宝塚北サービスエリア」のロケーション
「宝塚北サービスエリア(※以降、宝塚北SA)」は、2018年3月に開通した新名神高速道路の、川西ICと神戸JCTの間にある。
最新型のSAだけあって規模は大きく、広さは名神高速道路の「多賀SA(下り線)」級。関東・東海方面から中国地方を目指す人には、名神高速の大津SA、中国道の名塩SAよりも、新しいぶんこちらのほうがお勧めだ。
サービスエリアは上下線共通で、セルフのガソリンスタンドがある。このあたりは先にできた同じ新名神高速道路の土山SAを踏襲している。
「宝塚北サービスエリア」の施設
「宝塚北サービスエリア」のショッピングスペースは、「神戸ブランド」の商品がびっしり並び、ご当地らしく「歌劇団グッズ」も置いてある。
フードコートには、オムライス発祥の店で知られる大阪の「北極星」が監修したオムライスが食べられることで、開店当初に話題を呼んだ「タカラヅカキッチン」がある。
さらに「宝塚北サービスエリア」は「快適で満足いただけるトイレ」を売りにしているようで、見たことのないファミリートイレなるものまであった(笑)。
確かに「宝塚北サービスエリア」は近畿県外から訪れる観光客の休憩地としては素晴らしい。おそらく観光バスでやってくるツアー客からは、多くの売上が見込めるだろう。
だが長距離トラックのドライバーや車中泊の旅人のような利用者に対するサービスは、拍子抜けするほど希薄だった。
同じ高速でも新東名高速道路では、全てのサービスエリアにコインランドリーとコインシャワー設備を持つ「天神屋」が入店しており、当たり前にコンビニもある。
最新だけにそれを「宝塚北サービスエリア」にも期待したが、残念だったと同時に予想通りでもあった。さすがは「株式会社神戸」。
ゼニ儲けにならないことはやらない(笑)。
売店で何を売ろうとかまわないが、サービスエリアが「ファッション・モール」ではないことだけは確かだ。
こちらは東名高速の海老名SA。実用的でありながら一味違う「成城石井」の商品は、高速道路上でも老若男女のハートをとらえる。
「宝塚北サービスエリア」は、なぜか屋台(笑)。
その理由は簡単。
屋台はイベントのない時にスペースが埋められるうえに、売れない店はさっさと退かせて入れ替えできるから。
今どき百貨店でもやらない旧態然とした「お上」な態度にもかかわらず、集まってくるような業者に、あんた魅力を感じるかい?
センスも意識もマーケティングも、NEXCO西日本は東京に比べて10年以上遅れた「ど田舎企業」に思えた。