この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊ならではの旅」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
「鳴門のうずしお」を撮る最大のチャンスは、ゴールデンウィーク頃の大潮の日
まず「鳴門のうずしお」を見る方法は、大別するとふたつある。
ひとつは船から、もうひとつは大鳴門橋から眺めるわけだが、いずれも淡路島と徳島側から楽しめるため、合計すれば4通りあることになる。
その中から今日は、南淡路の福良港から出航する、ジョイポート南淡路株式会社の「うずしおクルーズ(咸臨丸・日本丸)」からの撮影ガイドを紹介する。
なお、長くなるので「うずしおクルーズ」の詳細は、のちほど公式サイトで確認いただきたい。
筆者は2度、この船に乗って「うずしお」を撮りに出かけている。
いずれも5月初旬の大潮の日で、ちょうど満潮を迎えた直後の便だった。
最初は平日だったので、甲板の好きなところに移動してシャッターを切ることができたが、2度目は日曜日でご覧のとおり満員御礼(笑)。
普通はこのような日に乗ることはないのだが、この日はNHKの「朝イチ」のロケを行なっていたため、あらかじめ「招待券」を渡されていた。
ジョイポートでは事前予約が可能だが、春と秋の大潮時期の休日は、団体ツアーに席を押さえられていることが多く、なかなか乗船できないのが現実だ。
「鳴門のうずしお」観潮船は、このジョイポートの他に2社がクルーザーを運行している。
だが撮影が目的であれば、この大型船のほうがお勧めだ。渦に近づけない分、広角での撮影ができる。
クルーザーは渦を目指して突進し、その独特の揺れを楽しませてくれるが、それでは「撮影には近すぎる」。
このように「うずしお」と大鳴門橋をダブルで抑えるには、距離と高さが必要だ。咸臨丸と日本丸は甲板が3層になっているので、そのニーズに適している。
ただし「鳴門のうずしお」が進行方向の左右どちらに出現するかは予測不能。
そのためクルーズ船は、「うずしお」ができやすい大鳴門橋を少し超えたところでUターンし、しばらくは超低速で運行してくれる。
ただ「鳴門のうずしお」は、せいぜい5秒ほどしか現れない。
あちこちにできては消える繰り返しなので、ヤマを張って広角に構え、ファインダー内に出たら連写する。
被写界深度を稼ぐため、F値は最低でも8まで絞っておくほうがいいだろう。
なお「うずしおクルーズ」の所要時間は約1時間。
といっても、「うずしお」が巻く鳴門海峡に到着するまでの15分近くは、特に何もすることがない。
しかし、最上階のデッキ席を押さえないことには撮影ができないので、一旦腰を据えたら動くことはできなくなる。
ゆえに乗船前に、ドリンクとパン程度は用意をしておこう。幸いにも、福良港の前にはローソンがある。
福良港には無料の足湯があるので、少し早めに行ってチケットを確保したら、そこで寛ぎながら時間が潰せる。
ただ、かつては駐車場が夕方5時以降は閉鎖されたため、車中泊はできなかった…
ところが、2013年に福良港が道の駅に登録される。
皮肉なことに、これまで禁止だった場所が、車中泊で朝一番の便まで待機ができる「一等地」に変わるなんて!
まさに「どんでん返し」とはこのことだろう(笑)。