「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、10年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価。車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる「各温泉地の魅力」を、主観を交えてご紹介します。

温泉通たちは、同じ料金で伝説の「白旗源泉」にも、あわせて入湯して帰る
「大滝乃湯」「西の河原露天風呂」に続く、草津温泉3番目の有料共同温泉施設「御座之湯」は、明治時代まで実在した共同浴場「御座之湯」を、当時の伝統的な建築様式を用いて再構築している。
「御座之湯」の謂れは古く、鎌倉時代にまで遡る。
江戸から明治にかけての湯畑周辺には、「御座之湯」「綿の湯」「かっけの湯」「滝の湯」「鷲の湯」の5つの共同湯があったと聞く。
中でも「御座之湯」は源頼朝にゆかりがあるとされ、三原野に狩りに来た際に御座りになった石がこの地にあったことから、その名前が付いたとされている。
さて。
草津温泉が既に2つあった有料共同温泉施設を、あえてもうひとつ増やしたのには、特別な理由があったようだ。
草津温泉ほどメジャーな温泉地でも、観光客数はバブル期の300万人を頂点に下降線を辿り、この頃には265万人前後にまで落ち込んでいた。
その状況を打開すべく、草津温泉は2013年から3年かけて湯畑周辺の再開発に着手する。その「先陣」を切ってオープンしたのが「御座之湯」だ。
木造建築にこだわり、100年後にこの建物を重要文化財にするという奇想天外な発想で話題を呼ぶなど、ただの温泉施設とは一味違うカタチになっているのは、総合的な「温泉町再生」の一翼を担ってのことだろう。
なお、草津温泉の再開発については、こちらに興味深い記事をリンクしているので、興味があればご覧いただきたい。
いずれにしても町長の思惑は当たり、現在の草津温泉は再び300万人を超える観光客で賑わっている。
さて、本題に入ろう。
御座之湯は木造2階建ての1階に、石の湯、木の湯の2つの浴場があり、それぞれに湯畑源泉と万代源泉の2つの湯殿が用意されているが、いずれも高い天井と相まって、やんごとなき開放感が味わえるつくりになっている。
しかし驚いたことに… ここには洗い場がたったの4つしかない。
そこにはあえて「明治時代の湯治文化を体験できるように」という想いが反映されているとのこと。
草津温泉には「大滝乃湯」という現代風の日帰り温泉施設が既にあるのだから、個人的には「これはこれで良いのでは」とも思う。
なお、2階には無料で利用できる休憩用の大広間がある。
草津温泉をサクッと楽しむお勧めの入湯法は、隣接する「白旗の湯」との”ハシゴ”
ここでひとつ面白い話をしよう。
「御座之湯」の眼の前には「白旗源泉」があるにもかかわらず、なぜかその「一番近い源泉のお湯」が、「御座之湯」には引湯されていない。
Why?
その答えは「御座之湯」の真横に建つ無料の共同浴場「白旗の湯」にある。
実はここが、かつての「御座の湯」だ。
その後「白旗の湯」に改称され、今日に至っている。
ゆえに「御座之湯」ができる前から「白旗源泉」はこちらに注がれてきた。
現在の建物は1992年(平成4年)に建て替えられたものだが、それでも風情は「御座之湯」とは比較にならないほどいい。
云ってみれば「This is Kusatsu」。
その詳細は以下の記事にまとめてある。
ゆえに、まずは無料の「白旗の湯」足を運んで「歴史ある草津の温泉風情」を味わい、それから「御座之湯」にまわって髪とカラダを洗い、ゆったりと温めの湯船に浸かるのが、草津をよく知るオヤジ達の流儀なのである。
連続で入湯するのが辛ければ、湯畑の奥にある湯路広場(とうじひろば)の化粧室でメイクを済ませ、湯畑で涼んだり温泉街をそぞろ歩きして、一度ほてりを冷ますことも可能。
今の草津温泉は、そこまでお客のニーズを見越した再開発を行っている。
なお御座之湯には専用駐車場がなく、マイカーは湯畑周辺の有料駐車場を利用することになる。
残念ながら割引サービスはないが、この方法だと駐車場の利用にも無駄が出ない。
ちなみに無料の「天狗山第一駐車場」からは、西の河原公園の中を抜けて約1.8キロ。とぼとぼ歩いて20分ほどはかかる。
温泉ハシゴをしてからこの距離を歩くのは中高年はなかなか厳しい。
ここでは500円ほど使って「楽」をするほうが賢明だろう。
御座之湯
大人:600円
※ちょいな三湯湯めぐり手形利用可
シャンプー、ボディーソープ、ドライヤーあり
営業時間
4/1~11/30 7:00~21:00(最終入館は20:30まで)
12/1~ 3/31 8:00~21:00(最終入館は20:30まで)
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