この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
メインは「五色沼」のハイキングと、「磐梯山・吾妻山」のドライブ
これは猪苗代湖の近くから撮影した写真だが、日本百名山に名を連ねる「磐梯山(ばんだいさん)」は、福島県の猪苗代町・磐梯町・北塩原村にまたがる大きな山で、南側にあたる会津盆地側からは、綺麗な三角の頂が見えることから「会津富士」とも呼ばれている。
関東地方以西に暮らす旅人には馴染みの薄い「磐梯山」だが、
♪エイヤー 会津磐梯山は 宝の山よ♪
で始まるこの民謡を、一度は耳にしたことがないだろうか。
ここで分からない人でも、以下のフレーズなら思い出すかもしれない。
♪小原庄助さん 何で身上潰した 朝寝、朝酒、朝湯が大好きで それで身上潰した は~もっともだ~もっともだ♪
時間があれば参考までにフルコーラスを(笑)。
さて。その磐梯山頂の北側は、1888年(明治21年)の水蒸気爆発によって山体崩壊を起こし、土石流が川をせき止め、数百もの湖沼を生み出している。
その代表格が「五色沼」と呼ばれる湖沼群だ。
現在は自然が創り出した神秘的な景観に沿ったハイキングコースが整備されており、2016年にミシュラン・グリーンガイドからも1つ星の評価を受けている。
また五色沼に近い桧原湖からは、「磐梯吾妻レークライン」「磐梯吾妻スカイライン」そして「磐梯山ゴールドライン」の3つのドライブウェイが伸びている。
そのメインが「磐梯吾妻スカイラン」だ。
特に全山紅葉を迎える10月中旬は、雄大で色鮮やかな景観に感動を覚えない人はいないだろう。
ただし、秋は紅葉のタイミングに応じた旅程が求められる。
裏磐梯には標高差があるため、レークラインや五色沼が紅葉のピークを迎える頃、スカイラインはすっかり冬景色になっている。
立山黒部アルペンルートや乗鞍高原、さらに日光もそうだが、山の紅葉は狙いを絞った「一本釣り」が必要だ。
裏磐梯は、会津から始まる「東北中央ルート」の通過点
「日光 車中泊旅行ガイド」でも触れているが、裏磐梯は関東・関西の両方面からアクセスできる磐越自動車道に近く、また日光からは旧会津西街道(国道121号)を通って、会津若松から喜多方、米沢へと北上するコースの途中にあたる。
さらに米沢からは、山形県の天童・尾花沢を抜け、秋田県の横手・角館から岩手県の八幡平、そして最後は青森県の奥入瀬渓流から八甲田山へと通じる、国道主体の「東北中央ルート」が始まる…
その意味では、紅葉時期に固執しなくても、中高年には裏磐梯を観る機会は多いと思う。夏は涼しく、避暑に訪れる人も少なくない。