この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊ならではの旅」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
能取湖卯原内のサンゴ草は、道東の秋の風物詩。
いくら北海道の紅葉が早いと云っても、9月から色づくのは大雪山系くらいのもの。平地で本格的な紅葉狩りが楽しめるようになるのは、10月中旬以降になる。
だが北海道には、ナナカマドやブナが色づく森林、またイチョウやカエデが植えられた公園よりも一足先に、見渡す限りの大地を真っ赤に染め尽くす紅葉がある。
今日はその景勝地と、主役のサンゴ草を紹介しよう。
サンゴ草【目次】
能取湖卯原内のサンゴ草
「日本一」の看板が立てられ、観光バスツアーも訪れる能取湖(のとりこ)卯原内(うばらない)のサンゴ草群生地。
ここでは1980 年頃から栽培実験を行い、人工湿地でその群落を拡大してきた。
だが2010 年の湿地整備失敗で、サンゴ草は壊滅状態に陥る。
しかし、その後の懸命な努力により、サンゴ草の群落は再生に向かい、2014 年には約6 割、そして2015 年には復活宣言をするまでに至っている。
サンゴ草とは…
9月下旬に赤く染まるサンゴ草は、塩分の多い湿地に生える一年草で、最初に厚岸湖で見つかったことから、正式には「アッケシソウ」と呼ぶが、見た目がサンゴに似ていることから、一般的にはサンゴ草の名で親しまれている。
北海道以外では宮城県、愛媛県、香川県の塩田跡地で生育が確認されているが、いずれも塩田跡地の開発によって壊滅に近い状況とされる。
そのため、このような景観が見られるのは北海道だけで、それも限られた場所でしかない。環境省のレッドデータブックには、近い将来に絶滅の危険が高い種 (EN)として掲載されている。
卯原内の無料駐車場は舗装され、きれいなトイレも用意されている。
〒093-0135 北海道網走市卯原内 現地☎なし
※カーナビ設定の目印は、かがり屋(☎0152-47-2301)
キムネアップ岬のサンゴ草群生地
サンゴ草が見られる地域は、オホーツク海沿岸の紋別市〜網走市までの範囲に限られているが、能取湖を除けばその大半はサロマ湖周辺に集中している。
卯原内群生地に次ぐ規模とされているのは、左の写真のサロマ湖南東「キムアネップ岬」の群生地だが、面積、群生数ともに卯原内のほうが上回っている。
アクセスは佐呂間町浜佐呂間から道道858号線でキムアネップ岬方面に進むと、岬の根元に群生地がある。駐車場からは木道の散策路が続いており、足場はいい。