この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
富良野と美瑛ではキャンプ場を利用するのが、良識ある車中泊旅行者の振る舞い。
富良野と美瑛の車中泊事情と、車中泊スポット17ヶ所の好適度【目次】
富良野と美瑛の車中泊事情
1970年代後半から観光地として注目されてきた富良野と美瑛には、トイレのある無料駐車場が多数存在する。
ゆえに地域性を知らなければ、ここが道内でも指折りの車中泊スポットに恵まれたエリアだと勘違いしてしまう人があるかもしれない。
しかし大人は、それだけの駐車場が「この地に必要」であることに気がつくべきだ。
特に7月は団体ツアーに加えて、札幌・旭川・帯広などの道内からも多くの観光客が集まってくる。
そんな中で、のんびりと朝の9時や10時まで観光駐車場を占拠していて、「褒めてもらえる」わけがない(笑)。
特に公園などの無料駐車場は、道の駅やサービスエリアよりも、はるかに車中泊をしない人々の視線は厳しい。
せっかくの旅を人から後ろ指をさされることなく楽しみたいのなら、マナーうんぬんの前に、良識のある車中泊場所を選ぼう。
ここには、それができる格安のキャンプ場がある。
2022年8月更新
ただキャンプがブーム化している現在は、日の出公園オートキャンプ場1ヶ所で、すべての車中泊旅行者を収容するのは現実的に難しい。
そのいっぽうで、若いブロガーやユーチューバーの中には、過去の経緯を調べもせず、安易に無料の駐車場を車中泊スポットとして紹介する人も多い。
そこで実情を踏まえながら、富良野と美瑛にある主だった車中泊スポットを紹介することにした。
「車中泊」という言葉が使われるようになって約20年…
特に北海道には「語り継がれるべきその歴史」があり、それを無視した軽率な振る舞いは、新たな火種を生むことになる。
美瑛の農場エリアに観光駐車場が多い理由
パッチワークの畑でお馴染みの、美瑛の農場エリアにある無料駐車場は、1990年頃に「増え続ける観光客の路上駐車を防ぐために作られた施設」だ。
それはこの写真を見れば一目瞭然。
路上駐車されれば、対向できないだけでなく、畑に入れない場合も生じる。
北海道のスケールは、本州の常識では測れない(笑)。
それを回避すべく作った駐車場が、車中泊をするクルマで前夜から埋まってしまっていたら、そりゃ「お前ら、ええかげんにせ~よ」となるのは当然だ。
地主の怒りが景観破壊を誘発
車中泊が直接の原因になったわけではないが、観光客のマナーの悪さに堪忍袋の緒が切れ、とうとうそれまでの有名なフォトスポットだった「マイルドセブンの丘のカラマツ」を伐採する地主が現れた。
そこにはインバウンドも深く絡んでいると聞くが、深層部にはそれまでに鬱積していた「積年の我慢」が臨界を迎えたことも否定できまい。
いずれにしても、マイルドセブンのCMに使われたこの景観を、もう二度と見ることができないのは残念でしかたがない。
ということを踏まえて、ここからは車中泊の是非を書き加えた、富良野と美瑛の車中泊スポットを紹介していく。