この記事は車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊ならではの旅」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
道北は観光よりも「居心地の良さ」が魅力
ざっくり道北【目次】
道北が有する、中高年にとっての魅力
道東や道央に比べると著名な観光地が少ない道北は、本州からのフェリーが着岸する小樽や苫小牧の港から遠いこともあり、10日間ほどの夏季休暇を利用して来る人には、行きづらく思えるエリアだ。
しかも最初は、「宗谷岬を巡るだけのマラソン・ドライブ」に陥りやすい。
事実、ライダーのように留萌から宗谷岬を経由し、紋別まで1泊2日で走り切ることは、さほど困難なことではなく、筆者も家族で北海道を訪れた2000年から2002年は、この地を1度だけしか訪れていない。
だが、ひととおり北海道を見終わったリピーターの中には、筆者を含めて道北に長く滞在する人が多い。
なぜならここには、観光地が少ない代わりに、無料や低料金で好きなだけ滞在できるキャンプ場と、釣りやパークゴルフが楽しめるフィールド、そして何より「憧れの離島」がある。
つまり魅力は、観光よりも「居心地の良さ」というわけだ。
ランドマークは、礼文島と利尻島
道北には「花の浮島」で名高い礼文島と、日本百名山が鎮座する利尻島のふたつの離島がある。
距離に加えて、往復のフェリー料金が3万円を超すこともあって、マイカーでこの両島に足を運ぶのは容易ではない。
稚内へ通じるルートは3つある。
オロロン・ライン
オロロンとは天売島に住むウミガラスの別名で、その名にちなんだ「日本海オロロン・ライン」は、広域には小樽市から稚内市まで続く国道5号、国道231号、国道232号、そして道道106号を合わせた、日本海沿岸を走る総延長約380キロの総称とされている。
オホーツク・ライン
道北の稚内と道東の網走を結ぶ国道238号は、「宗谷国道」の名前で親しまれてきたが、近頃では日本海側を走る「オロロン・ライン」に対して、「オホーツク・ライン」と呼ばれることが多い。
名寄・ライン
さて。道北には、もう一本着目すべき道がある。それは内陸部を貫くように南北に通じている道だ。
高規格道路が伸びているのはそのルートで、旭川から士別までは既に開通し、名寄~美深間もバイパス化されるなど、北への道は着々と整備が進んでいる。