この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
「大雪山」は カムイミンタラ ”神々の遊ぶ庭”
大雪山観光ガイド【目次】
大雪山の概要
大雪山という単独峰は存在しない。
通念上、大雪山とは北海道中央部にそびえる火山群を指し、具体的には「表大雪」とも呼ばれる「お鉢平」一帯を示している。
かつて… アイヌの人々は、親しみと畏敬の念をこめ、この地を「カムイミンタラ」と呼んでいたが、行けばその気持ちがよくわかる。
ちなみに大雪山系という表現は、南北63km・東西59kmの広さを誇る、表大雪・北大雪・東大雪・十勝岳連峰を包含した大雪山国立公園全体を意味し、面積は神奈川県にほぼ匹敵する。
登山愛好家にとって、大雪山は「縦走しやすい山」として人気があるが、縦走は公共交通機関を利用する人に適した山歩きで、クルマ旅には不向きだ。
そのため、ここでは黒岳の日帰り登山ルートと、その他の代表的な景観を紹介している。
「たいせつ」か「だいせつ」か?
北海道では大雪山を、「たいせつざん」と発音する人も多い。
それは大雪山の名を初めて記した書物「日本名勝地誌」に、そう振り仮名されていたことに由来している。
しかし一方で、国立公園としての正式名は「だいせつざん」となっており、ダイセツトリカブト、ダイセツタカネフキバッタなど、大雪山固有の動植物の和名にも「ダイセツ」が使われている。
「大雪山」の発音は、どちらが正式とは決まってはいないようで、気に入った方を使えばいいとのこと。ただ、「たいせつざん」というほうが、いかにも「知ってる」感じがしないでもない(笑)。
なんだかんだ云っても、ランドマークは「層雲峡」
若者の中には、云っちゃ悪いがロクに日本も知らないくせに(笑)、「世俗化したところは嫌だ」などと抜かす「跳ねっ返り」もいるようだが、「るるぶ」や「まっぷる」が掲載し続ける場所には、彼らがそうするだけの理由がある。
腰が抜けるほど紅葉が美しいのは「大雪高原」。
さて。ご承知のとおり大雪山は紅葉の名所としても有名で、9月初旬にはチングルマやナナカマドなどが赤く染まる。
ロングステイを楽しむ人の中には、その紅葉を見てから帰路につく人もある。
また北海道の夏は7月が美しく、8月は花の「端境期」となるため、リピーターには一足早い秋が楽しめる9月に訪れる人も多い。
そこで筆者が足を運んだ、3つの紅葉スポットをガイドしよう。
リピーターに人気があるのは「東大雪」
「東大雪」ではピン!と来ない人でも、然別(しかりべつ)にある、道内でも屈指の類に入る秘湯「鹿の湯」といえば、聞き覚えがあるかもしれない。
だが然別には、狭くてカーブだらけのワインディングロードが待ち受けている。
そのため「層雲峡」に比べると圧倒的に行きづらく、仮に知っていても、よほどの温泉ファンでなければ、北海道の旅先における優先順位は上がらないと思う。
東大雪は北海道に通うリピーターでも、アクティブに行動するライダータイプの人にマッチする。