この記事は車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊ならではの旅」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
お出かけのベストシーズンは、7月中旬から下旬
どこの観光地にも「旬」の季節はあると思うが、こと富良野と美瑛においては、ラベンダーを筆頭にした花々が満開を迎える、7月中旬から下旬に、ぜひとも足を運んでみていただきたい。
富良野と美瑛【目次】
1.ラベンダーのフラワースポット
6月の礼文島が「花の浮島」なら、7月の富良野と美瑛には「花の大地」と呼ぶに相応しい光景が展開される。
2.富良野は「北の国から」が生まれた町
富良野はまた、国民的ドラマ「北の国から」の舞台でもある。
2-1.「北の国から」とは…
倉本聰の脚本により、1981年にフジテレビ系列で放送された24話の連続ドラマ。富良野を舞台に、主人公の黒板五郎と2人の子どもの成長を、大自然の中で情緒豊かに描きあげた不朽の名作だ。
3.富良野に関する全ての記事の一覧
4.美瑛はパッチワークの丘の町
同じくして、お隣の美瑛には鮮明なパッチワークの丘が完成する。
知床では手付かずの自然に感動を覚えるが、富良野と美瑛では、逆に人が丹精込めて作り上げた素晴らしい景観に心を打たれる…
「開拓」の時代を乗り越え、ここでは農地が「畑」の次元を超えて、アートの領域に達しているかのようだ。
5.パッチワークの路とパノラマロード
さて。美瑛の名所は「パッチワークの路」と「パノラマロード」の大きく2つのエリアに分散している。
ややこしいが、「パッチワークの丘」と「パッチワークの路」は別物。
「パッチワークの丘」は、美瑛一帯の上のような景色が見える場所の総称で、「パッチワークの畑」とか「美瑛の丘」とも呼ばれている。
つまり、「パッチワークの路」にも「パノラマロード」にも、「パッチワークの丘」は存在する。
5-1.パッチワークの路
「パッチワークの路」は、1970年代後半の日本を一世風靡したCMロケ地として広く知られている。
「ケンメリ」の名で親しまれたスカイライン、セブンスターとマイルドセブン、さらには親子の木やパフィーの木などの登場により、ここではいつしか「名のある木や丘」が主役になった。
「パッチワークの路」は、もともと連作防止のため、区画ごとに異なる農産物を植えていることからその名がついた。
大空と色違いの畑以外には何も見えないデッカイ光景。しかも、その年にしか見ることのできない配色…
それはまさに旅人にとっての「一期一会」であり、あの前田真三が惚れ込み、後世に伝えたいと感じた「本当の美瑛の姿」だと思う。
この写真は上の2枚と同じ「マイルセブンの丘」で撮ったもの。美瑛の生い立ちを知り、立ち位置を変えれば、また「違う物語」が見えてくる。
ただ、もうこの光景は2度と見られない。
富良野と美瑛では、インバウンドの課題が顕在化しつつある。
5-2.パノラマロード
国道237号を挟んで、美瑛駅側にある観光ルートがパノラマロードだ。パッチワークの路よりも高台が多いため、きっとそう呼ばれているのだろう。
パノラマロードには、パッチワークの路だけでなくファーム富田のラベンダー畑をも有名にした風景写真家、前田真三の作品を展示する「拓真館」がある。
またパノラマロードから白樺街道に出て、白金温泉から望岳台のある十勝岳登山口を目指せば、その途中に美しいブルーの水をたたえる青い池と白ひげの滝、そして氷河時代から生き残る希少動物のナキウサギが待っている。
筆者は、人と自然による「大地の造形美」がダブルで楽しめるこのコースが大のお気に入り。何度行っても飽きることはない。