【2022年11月更新】
車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、「おにゅう峠(滋賀県高島市)」の車中泊に関する記述です。
この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の中のひとつです。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
「おにゅう峠(滋賀県高島市)」での雲海と紅葉の撮影には、現地での車中泊が絶対的に有利だが…
「おにゅう峠」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2022.11.04
※「おにゅう峠」での現地調査は、2022年11月が直近になります。
おにゅう峠【目次】
「おにゅう峠」の雲海と紅葉 撮影時期と撮影ポイント
筆者が、滋賀県の湖西側を走る「鯖街道」の宿場があった朽木村の近くに、秋になるとこのような絶景が見られる場所があることを知ったのは2020年のこと。
朽木村と云えば、20年以上前から慣れ親しんできた”勝手知ったるフィールド”だけに、気になってしかたがなかったのだが、2020年・2021年はこのタイミングに琵琶湖を訪ねるチャンスが巡ってこなかった。
ゆえに今回は「満を持して」挑むことに。
筆者の「満を持して」とは、徹底した下調べとそれに基づく準備を指すが、その中でまず大事なのは、行くべきタイミングとどこで撮るかだ。
「おにゅう峠」の撮影時期
この写真は2022年11月4日に撮影しているが、標高約800メートルの「おにゅう峠」付近は、例年10月下旬から11月初旬に紅葉が見頃を迎える。
その頃の朽木村の安曇川周辺は、まだ色づき始めたばかりだが、山頂付近が紅葉しているタイミングに行かないと、雲海とのコラボは写せない。
さらに、紅葉より難しいのが「雲海」だ。
雲海の正体と発生しやすい条件
「おにゅう峠」の雲海の正体は「霧」。
日中に暖められた空気は、夜になると冷やされ、安曇川の水温よりも低くなることで、川から蒸発霧が発生する。
その霧が山間の低い部分にたまり、標高の高い「おにゅう峠」から見ると雲海に見えるわけで、雲海が朽木村側に発生する理由もそこにある。
ちなみに雲海が発生しやすくなるのは11月以降の、明け方から午前8時頃まで。
一般的には、晩秋になるほど発生しやすくなるとされている。
つまり「おにゅう峠」の紅葉シーズンは、雲海が出るピークとぴったり合致しているわけではない。
そのため、雲海が出やすい以下の条件にも留意しておく必要がある。
1.湿度が高く、十分な放射冷却があること
2.よく晴れていること
3.前日の日中と当日の早朝の気温の差が大きいこと
4.風が弱いこと
手っ取り早く云えば、数日前に雨が降り、それから天候が回復して、よく晴れた夜の翌朝、風が強くない日というのが理想だが、風はさすがに現地まで行ってみないと分からない。
しかも現役世代の場合、その日が都合よく週末に当たるかどうか…
その意味で云うと、「おにゅう峠」の雲海と紅葉を見るのは、そう容易いことではないと思う。
「おにゅう峠」の撮影ポイント
「おにゅう峠」の紅葉と雲海の撮影スポットは、本来の「おにゅう峠」ではなく、それより2キロほど朽木村側に下った「第一展望ポイント」と呼ばれるところだ。
しかも視界の開けた場所はわずか10メートルほどしかなく、事実上そこからしか撮影はできない。
つまりアングルはひとつだけ…
なので、その限られた場所からカメラの向きを変えたり、望遠をかけたり、あるいはシャッターを切る時間を変えてみたりと、創意工夫に励む必要がある。
「おにゅう峠」は、それでも構わない、いや、どちらかといえばそのほうが好き(笑)、という人にマッチするネイチャーフォトスポットといえるだろう。
「おにゅう峠」へのアクセス
ネイチャーフォトを嗜む人なら分かると思うが、絶景にワインディング・ロードは付き物で、問題はそのレベルにある。
まず分かりやすい「道の駅 くつき新本陣」から、「おにゅう峠」の「第一展望ポイント」までの距離は、約30キロ・明るい時間帯でも45分程度はかかる。
お勧めのアクセスルートは、国道367号を京都方面に進み、「梅の木キャンプ場」を超えたところで県道781号に入る。
その後は県道781号一本道だが、ここから「第一展望ポイント」まで約24キロ…
だんだん対向が難しくなる、まさに試練の始まりだ(笑)。
安曇川沿いで、ガードレールのないところが出てくるあたりからが本番。
「第一展望ポイント」に近づくと、道幅はいよいよ狭くなり、対向できる場所も本当に限られてくる。
そのため、ハイエース・ナロー以上のクルマで行くのは勧めない。スーパーロングはもとより、キャブコンやバスコンはもってのほかだ(笑)。
また乗用車でも夜間は避けたほうがいいと思う。筆者はラスト5キロほどのところで日没を迎えてしまったが、真っ暗で路肩が見えず、脱輪を警戒しながら四苦八苦し、ようやくの思いで辿り着いた。
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「おにゅう峠」の車中泊事情
結論から云うと、雲海と紅葉の写真を撮るなら、ここで車中泊をするに限る。
理由は、まず夜明け前に真っ暗な道を登ってくるのが危険であること、そして辿り着けても、もはやクルマを駐める場所が近くにはない可能性が高いことが挙げられる。
ちょうど撮影場所の前だけ道が広くなっており、最大7台ほどが路上駐車できる。
しかしここが埋まると、離れたところで路上駐車できるところを探すしかない。
2キロほど小浜方面に進めば、道幅の広い「おにゅう峠」があるが、ここは泊まれても翌朝「第一展望ポイント」まで歩いて下る必要があるので大変だ。
なお「おにゅう峠」には店はもちろん、自販機もトイレも水場もないうえに、強烈な傾斜がある。なので、それを想定した準備をしていかないと車中泊と云えども難しいだろう。
今回は家内を同伴したため、ポータブルトイレを新調して持参した。
いずれは必要になるものだが、女性同伴の場合はそういうものも欠かせない。