この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
「道の駅 草津運動茶屋公園」では、休日前は「夜間も満車」が当たり前。
「道の駅草津運動茶屋公園」の登録日
※これを知ることで、施設の古さやリニューアルの有無などがわかります。
登録回/第14回
登録日/1998年4月17日
筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2009.07.26
2010.07.18
2012.08.16
2013.11.22
2018.10.25
2020.08.11
2022.06.26
道の駅草津運動茶屋公園【目次】
「道の駅草津運動茶屋公園」のロケーション
「草津運動茶屋公園」なんてビミョーな名前をつけるものだから、「草津温泉」から離れたところにあるのかな?と思う人があるかもしれないが、「道の駅 草津運動茶屋公園」は、紛れもなく全国各地から多くの温泉客が訪れる群馬県の草津温泉街の近くにあり、1998年のオープン以来20年を経た今でも、車中泊の旅人に愛されて続けている。
ただし湯畑までは約1.3キロ。歩いて往復するのは「ひと仕事」だ。
「道の駅草津運動茶屋公園」の施設
筆者は2009年以来この道の駅を度々見てきたが、相変わらず週末はもちろん、平日でも季節の良い時期は、昼夜を問わず満車になる。
その大きな理由のひとつは、駐車場の約半分が夜間閉鎖になるからだ。
国土交通省の紹介サイトには、「道の駅 草津運動茶屋公園」の小型車用駐車場は99台収容と記されているが、上のマップの赤の囲み部分は夜間閉鎖される。
そのため事実上車中泊ができるのは、マップ上部の駅舎側27台、下の「ベルツ記念館」側19台の合わせて46台しかない。
ただし、そのことを知らない車中泊の旅人が、今も次から次へとやってくる。
ゆえにこういう光景が、必ずといっていいほど週末には繰り返され続けているわけだ(笑)。
車中泊の旅人に人気のある駐車場はどこでもそうだが、「道の駅 草津運動茶屋公園」も「車中泊客のマナーの悪さ」に苦しめられてきた経緯を持つ。
夜間閉鎖の引き金となったのは、この「ベルツ記念館」側にある奥の駐車場だ。
聞くところによると、ここで夜間遅くまで騒いだ人がいたことで、周囲の旅館から苦情が出たらしい。
当初は右の掲示板に、「この駐車場は騒音等の問題から夜間駐車は禁止となっております」と追記されていたのだが、予想通り効果がなかったのだろう(笑)。
その後すぐに第2・第3駐車場には、17時を過ぎると入場そのものができなくなった。
それ以降は、2022年6月時点でも状況に変化は見られない。
とはいえ…
現在の「道の駅 草津運動茶屋公園」は、誰もが納得の行く2つの方法で、「道路利用者の休憩施設の維持」と「悪質なマナーの防止」を両立している。
まず一部を夜間閉鎖しているとはいえ、24時間トイレがある駐車場は、他の道の駅と同じように終日開放している。
そしてもうひとつがこの表示。以下はその転記だ。
●一時的な休憩、案内所の利用、買物、お手洗いの使用以外、長期停泊、長期駐車はご遠慮ください。
●長時間のアイドリング、空吹かし、花火、直火、火気器具の使用、夜間の大声や騒音、建物からの電気の引き込み、白線外駐車、テント、タープ、テーブル等クルマの駐車以外の使用は禁止させていただきます。
一見すると仰々しいが、大事なことは「このルールさえ守れば、車中泊をしてもかまわない」ということ。
常識人には当たり前の内容ばかりなので、特に不自由を強いられることもない。
さて、本論に進もう。
まずは車中泊ができる2つの駐車場についてだが、写真は駅舎側の第一駐車場で、厳密に云うと手前から奥にかけて緩やかに傾斜している。
ただ車中泊に支障があるほどではなく、筆者も気にはならなかった。
24時間トイレは、「情報コーナー」と「ロマンチックショップ」の間にある。
中はちゃんとウォシュレットに改修されていた。
かつて「道の駅 草津運動茶屋公園」には観光案内所があったのだが、新しい観光案内所がバスターミナルにできたため、現在はその表示が外され「情報コーナー」になっている。
しかしここでは、道の駅のスタッフが業務を引き続き代行しており、建物の中はほとんど以前と変わらない。また奥の一画には休憩用のスペースもある。
なお本格的な休憩スペースは、「特産品ショップ」の隣に用意されている。
ここから続く「草津運動茶屋公園・高山植物園」では、6月下旬に高山植物の女王と呼ばれる「コマクサ」の花が見られる。
コマクサは低地ではほとんど見られないが、「道の駅 草津運動茶屋公園」の標高は1231メートルで、道の駅の中では「道の駅美ヶ原高原」に次いで2番目だ。
ということは夏でも涼しい(笑)。
こちらはお土産品を扱う「ロマンチックショップ」の店内。
お菓子だけでなく、お酒の品揃えも立派。
超辛口で知られる、群馬の地酒「谷川岳」もしっかり揃えてあった。
店の前には可燃物用のゴミ箱があるが、夜間は店内に収納されるため使えない。
なお「道の駅 草津運動茶屋公園」では、夜間はペットボトルと缶も捨てられない。
こちらが「特産品ショップ」。
花豆を使用したオリジナルロールケーキ、純度100%国産天然はちみつなどのほかに、少しだが野菜も置いてあった。
また群馬名物のひもかわうどんや、当店オリジナルのくま笹うどんといった軽食も、ここで食べられる。
なお「道の駅 草津運動茶屋公園」には、本格的な食堂・レストランはない。
さて。
「道の駅 草津運動茶屋公園」は、24時間トイレがある「駅舎側」と「ベルツ記念館」側が、国道292号をまたぐ陸橋で結ばれており、車道を横断せずに行き来ができる。
「ベルツ記念館」の右側に見えているのが第二駐車場で、ここでも車中泊が可能だ。
こちらも路面はフラットで、トイレが遠いことを除けば車中泊に支障はない。
ちなみにベルツ博士<Dr.Erwin von Baelz(1849-1913)>は、明治9年に政府の招きで来日し、29年間東京大学で教鞭をとるかたわらで、皇室の侍医を務めた人物。
長きにわたり日本の医学発展に尽力した博士の功績は大きく、「日本近代医学の父」称えられている。
明治11年に草津を訪れた同氏は、草津温泉を世界第一級の温泉保養地と世界に紹介しており、入場無料の「ベルツ記念館」では、博士の軌跡や草津温泉との関係を物語る資料を展示している。
なお館内の売店は、草津温泉でしか買えないオリジナル化粧品「華ゆら」や、草津温泉観光大使の「ゆもみちゃん」グッズなど、雑貨がメインの「ミュージアムショップ」になっている。
筆者には、昔のほうが良かったな(笑)。
【プロの寸評】
立地の良さに加えて、観光地の道の駅としては理想的とも云える施設の内容と対応なので、人気が出るのは当然だと思う。
ただし如何せん駐車キャパが少なく、週末や連休時は満車の可能性が高い。旧天狗山第一駐車場(現在の西の河原公園駐車場)が車中泊禁止になったことで、今後はさらに激戦になりそうだ。
道の駅が満車の場合は…
かつて草津温泉では、「西の河原露天風呂」および「草津国際スキー場」の利用者向けに、収容可能台数300台と草津温泉屈指のキャパを誇る「天狗山第一駐車場」を24時間無料開放(冬季有料)していた。
しかも以前はトイレが遠かったが、現在は駐車場内に新設され、格段に便利になっている。
草津温泉は当時からここでの車中泊がOKとは明言していなかったが、夜半にやってくるスキーヤーや、「道の駅 草津運動茶屋公園」からあぶれた旅人の「受け皿」を兼ねていたのは明らかだった。
2022年6月更新
その頼りにしてきた「天狗山第一駐車場」が、「西の河原公園駐車場」に改称され、とうとう入口にこんな看板が設置された。
こうなるともう、道の駅か「湯畑観光駐車場」しか選択肢はない。
「道の駅草津運動茶屋公園」 最寄りの温泉&周辺買い物施設
距離で云えば「御座之湯」のほうが近いが、駐車場がない。クルマで行くことを想定すると、無料駐車場があるココがお勧めになるだろう。
大滝乃湯 ☎0279-88-2600 無料駐車場あり(100台)
入浴時間: 9:00~20:00(閉館21:00)
定休日: 不定休(12月に休館日あり)
料金: 大人900円・子供400円
スーパーマーケットの「もくべえ」までは約800メートル。ただし坂道なので歩くのは厳しい。また「もくべえ」の近くにはセブンイレブンもある。