車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、2023年9月時点の「道の駅 飯高駅」の車中泊に関する記述です。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊スポットガイド
この記事は車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
~ここから本編が始まります。~
日帰り温泉が併設する「道の駅 飯高駅」は、場所は不便だが施設は充実。
道の駅 飯高駅 DATA
道の駅 飯高駅
〒515-1502
三重県松阪市飯高町宮前177番地
☎0598-46-1111
9時~18時
水曜休館
「道の駅 飯高駅」の登録日
※これを知ることで、施設の古さやリニューアルの有無などがわかります。
登録回/第1回
登録日/1993年4月22日
1990年:特産品販売所として開業
1993年:県下の最初の道の駅として登録
2004年:温泉施設とレストランを開業
2013年:飯高茶屋を開業
2023年:4月にRVパークを開設
「道の駅 飯高駅」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2023.09.24
2023.12.10
※「道の駅 飯高駅」での現地調査は2023年12月が最新です。
道の駅 飯高駅(RVパーク 道の駅 飯高駅)
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「道の駅 飯高駅」のロケーション
マップにブルーでマーキングした、「道の駅 飯高駅」の前を通る国道166号は、大阪府羽曳野市に端を発し、奈良県宇陀市から三重県松阪市に至る、紀伊半島北部を東西に横断する主要幹線道路のひとつだ。
羽曳野市内から太子町に至る間の道幅が極めて狭く、「都市型酷道」と揶揄されているが、高速道路の「阪和道」から「南阪和道」に乗り継いでその間を回避し、奈良県の橿原を抜けて宇陀まで行けば、さほど運転で苦しむことはない。
宇陀から「道の駅 飯高駅」までは、片側1車線が確保された快適な道が続いている。
さて。
問題は「道の駅 飯高駅」が、果たして「旅の宿」として使えるのかどうかだ。
車中泊クルマ旅のコースガイドを作るとしたら、奈良に残る”いにしえの都”「橿原」と、そこに関連のある「伊勢神宮」を結びつけることは可能だが、現役世代の週末旅では、ちょっと気忙しいかもしれない。
ただ…
なぜ「天照大神」が橿原を出てさまよい、伊勢の五十鈴川に安住の地を得て、国内でもっとも権威の高い神様へと登り詰めていったのか…
もしその話に興味があるようなら、以下の記事をご覧いただきたい。
いっぽう日本建国の歴史にさほど関心がなければ、「道の駅 飯高駅」を橿原市と明日香村を観光したあと、自然の中でゆっくり温泉に浸かり、のんびり寛ぐ場所として利用するのがお勧めだ。
「道の駅 飯高駅」の近くを流れる櫛田川には、四万十川でお馴染みの「沈下橋」がいくつか見られる。
写真は道の駅から1キロほどのところにある「宮前の沈下橋」だが、櫛田川の沈下橋は国道からは見つけにくく、見たい人はここまで散歩がてらに歩いていくほうがいいと思う。
「宮前の沈下橋」は、手前の青い橋の上からよく見える。
なお、国道166号と並行するように走る、冒頭のマップにグリーンでマーキングした国道369号は、「道の駅 美杉」まではいいが、そこから「道の駅 茶倉駅」までは、ほとんど対抗できない林道状態が10キロ以上続くため勧めない。
国道369号で東に行くなら、ススキで有名な「曽爾高原」に近い「道の駅 伊勢街道御杖」までに留めておくほうが、きっと後悔せずに済むだろう(笑)。
「道の駅 飯高駅」の施設
こちらは公式サイトに出ている「道の駅 飯高駅」のレイアウト図に、2023年9月時点の最新情報を書き加えたものだ。
ちなみに名前は「飯高駅」だが、鉄道駅と一緒になっているわけではない。
駅名の由来は、奈良・平安時代の駅制(後に宿制)により設けられた、当時の「飯高駅」にちなんでいるというが、今となっては混同しやすく、利用者には迷惑なだけ(笑)。外しても何ら問題はないだろう。
さて。
冒頭の「登録日」の欄にも記しているが、「道の駅 飯高駅」は30年以上の年季を誇る”三重県で最初の道の駅”で、その間に以下のような過程を踏みながら、着実に増床を重ねてきている。
1990年:特産品販売所として開業
1993年:県下の最初の道の駅として登録
2004年:温泉施設とレストランを開設
2013年:飯高茶屋を開設
2023年:4月にRVパークを開設
イラストに❶と記したメインの駐車場。
路面はフラットで広々としており、車中泊に支障はないが、駐めるところをよく考えないと、24時間トイレからは遠くなる。
❶よりも24時間トイレに近い「香肌横丁」前にある❷の駐車場。閉店後にここへ移動して、車中泊するのは構わないと思う。
「香肌横丁」には、おにぎり・パン・たい焼きを売る店と、喫茶と軽食ができる4軒のテナントが並んでいる。
こちらが、❷と❸のRVパークに近い場所に建てられた24時間トイレ。
だが、中にウォシュレットはない。
道の駅の逆サイドにある24時間トイレに、ウォシュレットが完備していることを考えると、有料施設側がそうなっていないのは、ちょっと理不尽な気がした。
こちらが今書いたウォシュレット付きの24時間トイレがある「飯高茶屋」の建物で、右側が❹の駐車場。
24時間トイレの入口は、分かりにくいが建物の側面にある。
ということは
夜間に目が覚めてトイレに行きたくなる中高年には、この❹周辺が「道の駅 飯高駅」のベスト車中泊スペースになるわけだ。
ちなみに駅舎の温泉館と売店の間にも、ウォシュレット完備の大きなトイレがあり、営業時間中はここが使える。
それもあって日帰り客は、混雑時以外は❹周辺の駐車スペースには寄ってこない。
続いて「いいたかの店」をご案内。
特産品では、お茶とでんがら、農産物では洞窟キノコが目を引いた。
そしてこちらがレストランと温泉。
レストランの営業時間は、11時~19時(LO/18時30分)で、14時~17時は麺類のみとなる。料理は食堂というよりレストランに近く、1000円以下のメニューはほとんど見当たらない。
さて。
ここまで調べ終えたところで温泉に入り、疲れを癒やしてクルマに戻ったところで、なんと携帯電話がほとんど繋がらないことに気がついた!
筆者はiPhoneのドコモユーザーだが、家内のアンドロイド機種も同様だったため、売店のお姉さんに確認すると、日によって差はあるみたいだが、やはり総じて電波は弱いらしい。
そうなると、自宅のテレビチューナーからストリーミング・アダプターを使って、テレビ電波をネットで飛ばし、旅先でアンテナを使わずにタブレットで、地上波とBS番組を視聴する”筆者の得意技”が使えない。
道の駅にはたぶんWi-Fiが飛んでいるのだろうが、無料Wi-Fiは動画を1時間以上見るのには適していない。
当初の予定では、これから紹介するRVパークが良ければ、そっちで泊まってもいいかなと思っていたのだが、まだ陽のあるうちに、電波状態の良さそうな道の駅に移動することにした。
いずれは電波塔が近くに立ち、この問題も過去の話になるのだろうが、それまでは緊急連絡の取れない「道の駅 飯高駅」とその周辺で、長時間過ごすことは難しい。
PS 2023.12.10再取材
この記事をリリースした後、「道の駅 飯高駅」で車中泊をされた知人から、docomoの電波が4本立つほど良好との連絡をいただいた。
ネットで他の車中泊利用者の記事をみても、携帯の電波が弱いことに関する記載は見当たらず、改めて確認すべく訪れた。
結果はこちらの通り「良好」で、無事に「下克上球児」もLIVEで見られた(笑)。
余談になるが、2023年の超ヒット作「VIVANT」の後を受けた、日曜ドラマ「下剋上球児」は、同じ三重県にある「県立白山高校」での実話を元に描かれたもので、何か因縁めいたものを感じた。
「RVパーク 道の駅 飯高駅」の施設
最後は、2023年4月にオープンしたばかりのRVパークについて紹介しよう。
料金は1泊・1台につき2,000円とRVパークにしては良心的で、利用可能台数は5台。
区画の大きさは7.4ⅿ✕5.4ⅿで、区画内でのサイドオーニングは使用可。
区画内でのイスとテーブルの展開も可。ただし車外で火を使った調理は不可。
ゴミは指定のゴミ袋を無料で受け取り、チェックアウト時に渡す。
向かいに24時間トイレと炊事場、さらにドッグランもあり、道の駅に併設するRVパークの中では、いい部類のロケーションに入るとは思う。
ただキャンピングカーのオーナーならお気づきだと思うが、電源代は1時間200円とかなり高く、いわゆる”繋ぎっぱなし”にすると、10時間で2000円になる。
正直なところ、道の駅の駐車場でも快適で、リチウムイオンのサブバッテリーがあるなら、あえて使う必要性は感じない。
総括として…
確かに「道の駅 飯高駅」の設備は、三重県下でも屈指の部類に入ると思うが、ホームページの更新頻度・携帯の電波状況・レストランのメニューと価格・24時間トイレのウォシュレットの有無・可燃物のゴミ箱の注意書きなどを見る限り、利用者に寄り添ったサービス、某引越会社のCMで使われている「真心」ってやつは感じられない。
ひとことで云えば「商売優先」で、それは指定管理業者の姿勢に起因している。
たとえば、前回、店のスタッフに電波状況を確認した際に、「今日は特別悪い」と答えてくれれば、こういう二度手間はいらなかった。きちんと接客の教育を受けているサービスエリアのコンシェルジュなら、まずこういうことにはならなかったと思う。
「道の駅 飯高駅」の車中泊好適度
「道の駅 飯高駅」のゴミに対する対応
可燃ゴミ:館内にあり、営業時間中に利用可能。
缶・ビン・ペットボトル:屋外の自動販売機横にあり、24時間利用可能。
ちょっと使いづらい雰囲気だが、可燃物のゴミ箱は用意されている。
”施設外からのゴミの持ち込みはお断り”の表示があるが、もし注意されたら下記に書いている理屈で切り替えしてみたら、どう答えるのか楽しみだ(笑)。
車中泊の旅行中に発生するゴミは「家庭ゴミ」ではない。
しかるに「家庭ゴミの持込み禁止」は地域住民に向けた正しい勧告ではあるが、車中泊の旅行中に発生するゴミは該当しない。
こう説明すれば分かりやすいと思う。
近くのスーパーで買ってきた「弁当」は、道の駅についた時点では「ゴミ」ではなく「食品」だ。
それを道の駅に駐めたクルマの中で食べると、残った容器がゴミになる。
ということは、正確には「道の駅で発生したゴミ」であって、
道の駅のスタッフが、出勤前にコンビニで買ってきた弁当を昼食に食べた後、その容器を事務所のゴミ箱に捨てるのと同じ話で、誰が食べたかは関係ない。
すなわち、「事業ゴミ」として道の駅が処分するのが筋ということになる。
明日自宅に帰る車中泊の旅行者が、それを「持ち帰り」するのは自由だが、それは「マナー」と呼ぶものではなく、あくまでも「道の駅の負担を軽減してあげるための協力」であって、基本は堂々と捨てさせてもらってかまわない。
車中泊旅行中のゴミの処分については、以下にもっと詳しい記事を掲載しているので、時間があればぜひ。上に記した話が「自分勝手」かどうかは、法律に照らし合わせれば一目瞭然だ(笑)。
「道の駅 飯高駅」の温泉&周辺買い物施設
香肌峡温泉 いいたかの湯
道の駅に併設
☎0598-46-1114
おとな760円
10時~20時45分(受付最終20時)
水曜定休
コンビニ
ファミリーマートまで約5.3キロ。
スーパーマーケット
「マックスバリュエクスプレス松阪粥見店」まで約6.4キロ。
「道の駅 飯高駅」のアクセスマップ
EcoFlow ポータブル電源 RIVER 2 Pro 大容量 768Wh 70分満充電 リン酸鉄リチウムイオン電池 6倍長寿命 高耐...
あわせて、同じく国道166号沿いにあり、「道の駅 飯高駅」から約8キロ・10分ほどのところに位置する、「道の駅 茶倉駅」の車中泊事情にも言及しておこう。
「道の駅 茶倉駅」は、国道166号から高台に向けて続く誘導路を上り切ったところにあるため、国道からは見えない、ちょっとした”隠れ家”のような存在だ。
とはいえ、小さいながらも売店・食堂ともに備わっているので、十分”道路休憩施設”としての要件は満たしている。
収容台数15台の駐車場は、フラットで車中泊に支障はない。とにかく静かに車中泊がしたいという人には、「道の駅 飯高駅」より向いているかもしれない。
写真の左の建物が24時間トイレになる。
ただし残念ながら、トイレにはウォシュレットは完備されていなかった。
なお「茶倉」は地名でなく、サンスクリット語で「輪」を意味する「チャクラ」が語源で、道の駅の開設前から存在する、隣接の宿泊施設「リバーサイド茶倉」との連携を図ったネーミングだ。
道の駅 茶倉駅
〒515-1411
三重県松阪市飯南町粥見452-1
☎ 0598-32-2555
営業時間:9時~17時
レストランは11時~L.O16時
火曜定休・年末年始は休館