この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の中のひとつです。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
「展望台・空の駅」の完成と「道の駅あまるべ」の誕生で、一躍人気スポットに変貌
余部(あまるべ)橋梁は、兵庫県の日本海に面した松葉ガニで有名な香美町にある古くからの鉄橋で、JR山陰本線の鎧駅と餘部(あまるべ)駅との間に位置している。
余部鉄橋ヒストリー
鉄橋は全長309.4m、橋脚の高さ41.5mで、トレッスル式鉄橋としては日本一の規模を誇り、山陰本線の名物といわれてきた。
着工は明治42年12月。アメリカより輸入した鉄材を使い、当時最高の技術を駆使して、明治45年1月に完成。同年3月1日、香住~久谷(新温泉町)間の運行が開始され、山陰本線は全線開通となった。
工事には、33万1,000円の費用(現在地に現橋梁と同じものを建設する場合の工事費用概算:42億円)と工夫25万人を要したという。
その余部橋梁が全国民に知られるようになったのは、昭和61年12月28日…
転落したのは山陰お買い物ツアーの臨時お座敷列車だったが、幸いにも176名の乗客が香住駅で下車した直後の出来事だった。
この悲惨な事故をきっかけに、風速による運行規制は引き下げられたが、今度は冬季の列車の遅延・運休本数が大幅に増加し、列車運行の安全性と定時制の確保が大きな課題として浮かび上がる。
その結果、2007年3月からの架け替え工事で、旧余部橋梁は解体され、2010年8月に新しい現在のかたちに生まれ変わった。
さて。以前は餘部駅の裏山に展望所が設けられており、日本海を背景に余部橋梁が一望できる撮影ポイントとして多くの人が訪れていた。
だが、展望所は橋梁の架け替え工事に伴って2008年(平成20年)4月6日以降、一時閉鎖されていた。
しかし、橋梁切替時期から再開を望む声が多く寄せられ、補修工事後の2010年11月3日に再び展望所は開放された。
空の駅
2013年5月、余部鉄橋の西側(餘部駅側)に展望台「空の駅」がオープンした。
山陰海岸が2010年10月に世界ジオパークとして認可され、このあたり一帯は、新しい観光地として注目を浴び始めている。
鳥取砂丘から城崎温泉方面に行く途中で、たぶんクルマはこの鉄橋をくぐるはずだ。気が付いたら、休憩がてらに展望所へあがってみよう。
ちなみに余部駅は、同じ兵庫県内に姫新線の余部(よべ)駅があるため、それと区別するため漢字を変更し「餘部駅」にしたとされている。
道の駅あまるべ
余部クリスタルタワー
2017年、余部鉄橋「空の駅」に、「余部クリスタルタワー」と呼ばれる全面ガラス張りの無料エレベーターが設置された。
餘部駅は現役の電車駅なので、交通機関として利用する人には、素晴らしいプレゼントになったと思う。というか、これまでが大変すぎた(笑)。
もちろん観光客もその恩恵が受けられる。
足の不自由な方や、足腰に不安があるご年配には朗報だ。