この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊ならではの旅」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。

ベストシーズンは、ニリンソウの咲く5月下旬
これまで春夏秋冬、時期を違えて何度も上高地に足を運んできたが、そのベストシーズンを問われれば、初夏にあたる5月下旬と答えたい。
理由は写真のニリンソウが満開を迎え、上高地全体が華やいでくるからだ。
ニリンソウは山の木々の下に群生する山野草で、「二輪草」の名の通り1本の茎から2輪ずつ花が咲く。
上高地では春を代表する植物のひとつとされており、小梨平から徳沢にかけての林に群生し、開花時は白い絨毯を敷いたような光景が見られる。
なお稀に見つかる緑の花は、幸運を招くと云われている。
この時期をベストに挙げるもうひとつの理由は、山の残雪。北アルプスは雪があってこそ絵になると思う。
なお夏至に近く、まだ入梅していない5月下旬は、日本のアウトドアのベストシーズンでもある。この時は、筆者も小梨平にテントを張った。
さて。せっかくなので、上高地の四季を簡単にご紹介。
春
上高地の春は、例年開山式が行われる4月27日から始まるが、この時期の景色はまだ冬に近い。
また年によっては探勝路に雪が残っていることもあり、ぬかるみも多い。
ただ若葉がまだ茂っていないので、コマドリのような珍しい小鳥に出会える確率は高い。
夏
登山シーズンがピークを迎える。
しかもそれと夏休みが重なるため、バスターミナルは大混雑。
この時期はできるだけ人と時間をずらして行動することが何より大事だ。
北アルプスといえども8月だけは山頂から雪が消える。標高が1500メートル近いため、真夏でも爽やかだが、写真撮影にはあまり適さないかもしれない。
秋
上高地の秋は、紅葉というより黄葉。
「燃える秋」が見られるのは、河童橋よりずっと下流のウェストン・レリーフのあるあたりだけで、小梨平に近づくほど黄色い葉が多くなる。
この時期のお勧めは大正池の朝靄。
水温と気温の差が大きくなる晩秋の朝は、こんな光景に出会える日もある。写真は合成ではなく「ありのまま」(笑)。

冬
釜トンネルから歩いて来たものだけに、見ることが許される光景。
