この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊ならではの旅」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
憧れの上高地に、ひとり1泊800円で泊まる!
小梨平キャンプ場は、上高地バスターミナルから河童橋方面に800メートルほど進んだ、上高地ビジターセンターの前に広がる林間サイトだ。
嬉しいことに、人気オートキャンプ場が超満員となるお盆でも、このキャンプ場だけは比較的空いている。
筆者はロッジ(A型キャビン2階建て)に1回、キャンプサイトには2回泊まっているが、初めて訪れた頃は「小梨平野営場」、その後「小梨平キャンプ場」になって、現在は「森のリゾート小梨」に名前が変わっている。
森のリゾート小梨
☎ 0263-95-2321(※冬期0263-94-2536)
ただし上高地は通年のマイカー規制が実施されており、このキャンプ場に行くには、リュックサックにキャンピングギアを詰め、シャトルバスかタクシーを利用しなければならない。
また上高地は、一度入山したら簡単に買出しには出られないので、食糧もすべて持参していく必要がある。
とはいえ上高地のバスターミナルまで来れば、リヤカーを借りてキャンプ場まで荷物を運ぶことはできる(有料300円)。
設備は水洗トイレと綺麗な炊事棟、さらにはゴミ箱に食堂、お風呂までが完備されており、「高規格」と呼べるレベルにある。
それが、大人1人1泊たったの800円で利用できるのだから衝撃だ。
焚火(直火)が許されているというのも嬉しい。
炊事棟の水は夏でも刺すような冷たさ。ゴム手袋があると役立つ。
サイトは備え付けのテーブルの周辺から埋まるが、数が少ないので、夫婦なら独占せずに相席で半分づつ使うといった配慮が好ましい。
ただしその周辺は窪地になっており、雨が降ると水溜りになりやすい。
また遊歩道に近い場所は、日中は観光客からサイトが丸見えで落ち着かない。
敷地は広く、支流沿いにもテントが張れる場所がある。
ここには綺麗なロッジ(現地ではケビンと呼んでいる)もあるので、キャンプの経験がない人でも利用することができる。
ちなみに料金はひとり6000円~(季節によって料金は変動)。こちらは予約が必要だ。
筆者がこのキャンプ場を推奨する理由はもうひとつある。
ここは穂高や槍ヶ岳を目指す登山者も利用するため、ファミリーキャンパーが普段なかなか見ることのできない、コンパクトで実用性を重視したアルペン・キャンプと間近に接することが可能だ。
「脱日常」の目的と化している現在流行りの「キャンプ」の、対局にあるともいえるアルペンキャンプは、本来のキャンピングカーと車中泊の関係によく似ていると思う。