車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家が、今なお安曇野最大の観光スポットと呼ばれる「大王わさび農場」の魅力を詳しく紹介しています。
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この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
~ここから本編が始まります。~
民間経営の観光農園「大王わさび農場」には、北海道・富良野の「ファーム富田」に通じるものがある。

「大王わさび農場」 DATA
大王わさび農場
〒399-8303
長野県安曇野市穂高3640
☎0263-82-2118
営業時間
8時~17時(3月~11月)
9時~16時(12月~2月)
無休
入場無料
駐車場380台
ペット同伴可
食事持ち込みは禁止
安曇野の筆者の歴訪記録
※記録が残る2002年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2010.07.19
2015.03.08
2024.07.26
「大王わさび農場」での現地調査は2024年7月が直近になります。
大王わさび農場

安曇野とわさび

1917年(大正6年)に開場した「株式会社大王」が運営する「大王わさび農場」は、北アルプスの湧き水を利用した「安曇野わさび田湧水群」の一画にある日本最大級のわさび農園で、年間約120万人が訪れる安曇野随一の観光スポットにもなっている。

「安曇野わさび田湧水群」というくらいなので、現地には他にも「わさび田」があるのかと思って訪ねてみたら、残されていたのは「湧水地」だけ…
実際に、安曇野の町をクルマで走って回ってみても、目にするのは水田ばかりで「わさび田」は簡単には見つからない。
ということは、「わさび栽培」はけして簡単なものではないということなのだろう。
「大王わさび農場」の歴史

林野庁の2022年「特用林産物生産統計」によると、長野県のわさび生産量は全国の33.1%にあたる約542トンで、堂々の1位を誇っている。
そしてその大半を占めているのが安曇野産で、さらに「大王わさび農場」の年間収穫量は、安曇野産のおよそ1/4に相当する。

明治時代の安曇野はナシの栽培が盛んな地域だったが、ナシは湧き水による病気が多く、ナシ畑から湧き水が掃けるようにするために作った水路で、細々とわさびの栽培が始まったという。
そのわさびが東京で高値で取引されたこともあり、水害で頭を抱えていたナシ農家の中には、リスクのないわさびの栽培に鞍替えする者も現れたが、安曇野が大きな転換期を迎えるのは大正時代になってから。
「関東大震災」や、度重なる台風による災害が関東地方を襲い、わさびの主要産地である静岡県での栽培が難しくなり、代わりに安曇野が注目されるようになる。
しかし当時の安曇野には、大々的にわさびを栽培できる農場がなかった。

出典:大王わさび農場
その時代にわさび栽培に着眼し、5町村にまたがる所有者と交渉を行って用地を確保し、雑草が生い茂る原野を現在の「わさび田」に開墾したのが、「大王わさび農場」初代園主の「深澤勇市(ふかざわ・ゆういち)」氏だ。
その後「大王わさび農場」は、事業を多角化して収益を伸ばしていくのだが、特筆すべきは、「観光農場」としての道を選んだことだろう。

筆者には本業の傍らで、安曇野の観光産業を支え続けているその姿は、北海道にある「ファーム富田」と重なって見える。
しかも両者は、ともに入場無料だ。
「大王わさび農場」の概要

まず覚えておくといいのは、わさびは直射日光に弱い為、4月から9月末までは黒い「寒冷紗(かんれいしゃ)」で、わさび田全体が覆われている。

ただ「わさび田の小路」に行けば、「寒冷紗」の下に植えられたわさびを観ることは可能だ。

出典:るるぶ
こちらが「大王わさび農場」の場内マップ。
ファーム富田は「フラワーファーム」なので、場内にある畑で色とりどりの花を観られるが、「大王わさび農場」はわさびオンリーなので、どこまで行っても見えるのはわさび田だけ(笑)。
なので「わさび田の小路」を見れば、それで十分だと思う。
ちなみに「大王わさび農場」は朝8時から入場できるが、ショップが開くのは9時からになる。

筆者はその時間を利用して場内を周ったのだが、ちょうど「親水公園」の池の鯉とニジマスに餌をやる時間にあたったようで、おじさんが「もぐもぐタイム」を体験させてくれるというので、お言葉に甘えさせていただくことに(笑)。
「大王わさび農場」のニジマスは丸々としていて、ひと目では鯉と区別がつかないほどデカい。水のきれいな安曇野は、ニジマスの食用養殖も盛んだ。

「大王わさび農場」のわさび田に引かれる湧水は一日12万トンで、水温は年間通して12℃と安定しており、夏は横を流れる「犀川」で、グラスボートに乗りながら涼を楽しむこともできる。

ところで。
わさびは年中収穫はできるが、花が咲くのは冬から春にかけてで、写真は3月に撮影している。

写真が目的なら、わさび田が「寒冷紗」で覆われる前のこの季節がいいだろう。

最後は食べる話だが、
ソフトクリームの話は後進に譲ろう(笑)。後学のために賞味はしているが、正直、食べなくても味の想像はつく。

ついでにこれもね(笑)。

「大王わさび農場」は基本的に飲食が収入源なので、和食から洋食、デザートまで何でもひと通り揃っている。
ただ団体客も多いので、食事をするなら時間帯を選んだほうがいい。

それよりも…
旅行中に自炊ができないバスや電車の旅人は別として、車中泊の旅人には、ぜひ「大王わさび農場」で新鮮な「生わさび」を「鮫皮卸し板」とともにゲットしていただき、この日の夜の酒の肴にしていただきたいものだ。

筆者はクルマの中に常時入れてあるので、安曇野や伊豆に行くと、必ず現地で生わさびを手に入れ、スーパーなどで刺し身を買っていただくのだが、この時わさびは多めにすり、残りを鰹節といっしょに熱々の白飯にのせ、醤油を少しだけ垂らして食べるのがたまらなくうまい(笑)。
冷蔵庫と電子レンジがあるから成せる技ではあるのだが、これが旅先でできるというのは本当に素晴らしい!
なお、わさびの特産地と云われる安曇野でも、「生わさび」は「大王わさび農場」以外では見かけなかった。
「大王わさび農場」のアクセスマップ
安曇野 車中泊旅行ガイド






































