この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
角館は、時期や目的に応じて選べる多彩な車中泊環境を持つ観光地
角館の車中泊事情を探っている人の多くは、この景色が見られる時期に現地を旅しようと考えている人だと思うので、まずはそこから始めよう。
「みちのくの小京都」と呼ばれ、年間約200万人もの観光客が訪れる角館は、明治まで11代にわたって続いた佐竹北家の城下町で、現在も残る当時の町なみは、「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されており、江戸時代から変わらぬ四季折々の情景を描き続けている。
桜まつりの時期
平日でも多くのマイカー客が押し寄せる春の角館は、どちらかというと「駐車場確保」のために、前日の夕方に現地入りするのが得策だ。
ここでは車中泊の強みを大いに発揮し、ほかの観光客に差をつけよう。
狙うはこちらの「市営桜並木駐車場」。
180 台収容
通常時 8 時 30 分~ 16 時 30 分
一般車両 500 円/1回
中型車両 1,000 円/1回
大型車両 2,000 円/1回
「市営桜並木駐車場」は16時30分で出入り口が閉鎖されるが、車中泊は可能で、道路の向かいに公衆トイレがある。
つまり閉場される少し前にクルマを入れて、夜桜見物から始めれば、翌朝バタバタする必要がない。
そして日帰り客が来る前に通りを歩けば、こういう静かな光景に出会える。
ちなみに角館の桜まつりは、例年4月20日〜2022年5月5日の日程で開催される。
コロナ次第ではあるが、祭りが行われれば、すぐ隣の広場に屋台が出て、「桧木内川堤の桜並木」と「武家屋敷通りの枝垂れ桜」がライトアップされる。
写真は2012年のものだが、今思えばかつてはこれが当たり前の光景だった。
なお桜まつりの時は、マップBの「旧角館高校グラウンド臨時駐車場」が、「市営桜並木駐車場」と同じ条件で利用でき、こちらにもトイレがある。
さらにありがたいことに、いずれの駐車場からも徒歩圏内に日帰り温泉がある。
かくのだて温泉
☎0187-52-2222
おとな600円
7時〜22時(12月〜3月は7時30分〜)・第3木曜定休
なお電源が欲しい人には、桧木内川の向いに「RVパークGASTEIN角館」がある。
ただ2022年3月現在は休業中だった。
またCarstayに登録している「安藤醸造」の駐車場では、1泊3000円(電源代込み)で車中泊ができるがトイレはない。
ただ100メートルほど離れたところに、ファミリーマートがあるようだ。
桜まつり以外の時期
角館には冒頭で紹介した「武家屋敷」に加えて、写真の「樺細工工芸」や日本三大うどんのひとつに挙がる「稲庭うどん」が食べられる名店など、桜以外にも観光コンテンツがある。
とはいえ… 1泊してまで見るほどのボリュームがあるとは思わない。また、桜のシーズンを除けば、駐車場待ちが出るほど混雑することは稀だと思う。
加えて角館から少し北上すれば、「乳頭温泉」や「玉川温泉」などの有名な温泉地もある。
それを考えると、角館の観光はワンデイで切り上げてもいいだろう。
その場合に使えるのが、武家屋敷から約9キロのところにある「道の駅なかせん」だ。
ここに前泊して朝から角館に向かうのが、もっとも効率的だが、問題はその後のスケジュールになる。
角館から北に進むと適当なところに道の駅はないため、田沢湖湖畔の無料駐車場あたりが停泊地になると思うが、利便性は角館のほうがかなりいい。
ゆえに景色より利便性を優先したい人は、少し遅めに角館入りし、「市営桜並木駐車場」で泊まって北上するほうが、調べごとが少なくて済む(笑)。
またその場合、南から来るなら、車中泊は「道の駅十文字」のほうがいいだろう。