「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、10年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価。車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる「各温泉地の魅力」を、主観を交えてご紹介します。
驚くほどの山中に湧く、乳白色の秘湯
白骨温泉の話は、まずはその特筆すべき立地から始めるべきだと思う。
写真は白骨温泉から乗鞍高原に通じる「上高地乗鞍スーパー林道B区間」の途中から白骨温泉街を見た写真だが、これを見れば、どのくらい人里から離れた場所にあるかがひと目で分かる。
道は想像通りワインディング(笑)。
たしかにこの道を通れば、乗鞍高原から沢渡や奥飛騨温泉郷への近道にはなるが、ナビが自動でも選ばないくらいの厄介な道だ(笑)。
だが、国道158号から分岐する県道白骨温泉線(300号)でアクセスすれば、今はさほどきつくはない。
ただし白骨温泉には観光バスが行き来するため、時間を考えて行かないと渋滞にはまる。もちろん抜け道はない。
そのうえ駐車場は10台程度のキャパしかない。ゆえに週末に行くなら、朝一番がお勧めだ。
そう云われると誰だって聞きたくなるのは、「そこまでリスクを張って、行く価値あるの?」(笑)。
湯川の渓流答えは、書くまでもあるまい。
沿いに造られた湯船は男女とも石で組まれ、まさに「野天」という表現がピッタリだ。
「3日入ると3年風邪を引かない」と云われる白濁のお湯と、爽やかな緑の景観に抱かれて、癒やされない人はいまい(笑)。
なお洗い場にはシャワーがあるが、石鹸類は使用禁止なので、「かけ湯」の代わりに利用する。
ただし公共野天風呂のお湯は、温度が低いため加温してかけ流されており、保健所の指導により、塩素消毒剤も使用されている。
加えて浴場は、この門から始まる長い階段を下り終えた先にある。
もちろんエスカレーターなどという気の利いたものはないので、帰りはこの階段をハアハアしながら登らなければならない(笑)。
なお、途中から男湯は丸見えだが、女湯は見事に隠されているので覗かれる心配はない。
白骨温泉公共野天風呂
〒390-1520 長野県松本市安曇4197-4
■☎0263-93-3251(白骨温泉観光案内所)
料金:大人510円
営業:4月下旬から10月下旬/10時〜15時30分(閉館16時)※季節で変動/期間中無休
施設概要
●業態:共同温泉
●泉質:カルシウム-炭酸水素塩泉
●給湯:かけ流し
●お風呂:男女別露天風呂
●休憩スペース:なし
●飲食施設:なし
●駐車場:あり(無料)
●シャンプー・ソープ:なし
●ドライヤー:なし
さて。公式サイトによると、白骨温泉一帯には10数箇所の源泉があり、それぞれ微妙に泉質と色や香りが異なるという。
写真は炭酸分が多く含まれているため、肌に文字が書けるほどにきめ細やかな気泡がつくと云われる「泡の湯」。
ここは日帰り入浴を受け付けているので、公共野天風呂と入り比べてみてもいいだろう。料金等の詳細は、転記すると長すぎるので以下の公式サイトで直接確認を(笑)。
最後に。
白骨温泉といえば、2004年に一部の温泉施設が入浴剤を混入していたことが発覚し、その後の全国各地の“温泉偽装”が明るみに出る「引き金」になったことを覚えている人は多いはずだ。
ただ真実を知ると、今でもその「事件」が温泉ファンの記憶の奥にとどまっていることを気の毒に思う。
その顛末は以下のサイトに実に興味深く記されている。この記事では白骨温泉だけでなく、日本各地の人気温泉の「変遷」についても、実にうまくまとめられているのでお勧めだ。