北海道に20回以上の車中泊旅行を重ねてきた、車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家が、2023年8月現在の「道の駅 あびらD51ステーション」の車中泊情報をご紹介。
この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
「道の駅 あびらD51ステーション」は、北海道の日本遺産「炭鉄港」の構成要素を展示するミュージアムを兼ねた、少し毛色の異なる道の駅。
「道の駅 あびらD51ステーション」 DATA
道の駅 あびらD51ステーション
〒059-1921
北海道勇払郡安平町追分柏が丘49-1
☎0146-34-2333
営業時間
4月〜10月:9時~18時
11月〜3月:9時~17時
12月31日〜1月3日休館
「道の駅 あびらD51ステーション」の登録日
※これを知ることで、施設の古さやリニューアルの有無などがわかります。
登録回/第50回
登録日/2019年3月19日
「道の駅 あびらD51ステーション」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2020.07.22
2022.07.21
※「道の駅 あびらD51ステーション」での現地調査は2022年7月が最終で、この記事は友人知人から得た情報及び、ネット上で確認できた情報を加筆し、2023年8月に更新しています。
道の駅 あびらD51ステーション
「道の駅 あびらD51ステーション」
の最寄りの温泉&買物施設
「道の駅 あびらD51ステーション」のロケーション
2019年4月19日にオープンした「道の駅あびらD51ステーション」は、新千歳空港からクルマでおよそ30分、札幌市内からは約1時間のところにある。
国土交通省が発表した2021年の『北海道「道の駅」ランキング』では、4つのジャンルでベスト10入りし、『家族で訪れたい「道の駅」(子供や高齢者に優しい) 』で2位に入賞するなど、出だしから人気は上々のようだ。
「道の駅 あびらD51ステーション」を訪れる多くの人のお目当ては、駅名にも使われているSL(蒸気機関車)の「D51(デゴイチ)」にあるという。
「D51(デゴイチ)」は、鉄道輸送量の増強が計画され、高性能の新形機関車が求められていた太平洋戦争中の1936年に、当時の鉄道省(国鉄)によって、主に貨物輸送増強のため製造されたSLの名作。
同年から終戦の年である1945年までに1000両以上が製造され、戦時中は大量の貨物輸送、戦後においては復員列車や復興を担う貨物列車の牽引を担い、まさに戦後日本の経済復興を引っ張る原動力として、大きな貢献を果たした。
また操作性と性能の良さから機関士に人気があり、現場からは「デゴイチ」の愛称で親しまれ、いつしか国民からもその愛称で呼ばれるようになったことで、蒸気機関車の代名詞的な存在となった。
その「デゴイチ」も現在は大半が現役を引退し、今の日本で唯一走る姿が見られるのは、群馬県の「SLみなかみ」だけ…
筆者は「鉄ちゃん」じゃないが、日本各地のSLはそこそこ手中に収めている(笑)。
さて。
北海道といえば炭鉱。
炭鉱と云えば高倉健。健さんと云えば、”幸せの黄色いハンカチ”の舞台となった「夕張」。そして安平はその「夕張」の隣町…
当時の北海道繁栄の足跡は、「空知の炭鉱跡」「室蘭の工場群」「小樽の港湾」、そして「道内各地の鉄道施設」などに、見る者を熱くする産業景観として、今も多くが残されている。
日本遺産「炭鉄港(たんてつこう)」は、そんな北海道の近代化を支えた三都(空知・室蘭・小樽)を結ぶ物語だ。
「道の駅 あびらD51ステーション」から、歩いて約15分のところにある「追分駅」は、かつて道内各地の炭鉱から「室蘭港」に石炭を輸送していた「室蘭線」と「旧夕張線」が接続していたことから、SL基地の「追分機関区」があり、連日SLが出入りしていた。
だが石炭の時代が過ぎた1976年(昭和51年)3月、国鉄はこの安平町でSLの最後の運行を終える。
1939年(昭和14年)に製造された「D51・320号機」は、1972年(昭和47年)に「追分機関区」に転属となり、主に石炭輸送を担っていた。
1976年(昭和51年)に発生した「追分機関区」の火災時にも、運良く焼失を免れた「D51・320号機」は、運行終了後も”SL終焉の地のシンボル”として「安平町鉄道資料館」に保存され、「追分機関区」のOBたちで構成された「安平町追分SL保存協力会」により、丹念な手入れを受けてきた。
2019年、その努力が大きな花を咲かせる。
「道の駅 あびらD51ステーション」の誕生は、デゴイチのラストランから43年後のことだった。
というような、輝かしいヒストリーがあるとはいえ、
北海道の歴史や文化に、さほどの関心を持たない旅人が、ここを「旅の宿」として利用するのはどうなんだろう…
車中泊で北海道を旅する人間にとって「道の駅」は、観光的な要素よりも、車中泊スポットとしての利便性や快適さが優先されるのは、否めない事実だ。
車中泊の旅人が千歳周辺の車中泊スポットで気になるのは、まずは約25キロ・クルマで30分ほど離れたところにある、「道の駅 花ロードえにわ」だろう。
2021年に「道と川の駅 花ロードえにわ」は、以前からある農畜産物直売所「かのな」とともにリニューアルを受け、隣に「ガーデンエリア」と、観光案内所のある「センターハウス」、さらに電源はもちろん、シャワー・キッチン・談話室まで備わった「RVパーク」が開設されたことで、まさに桁外れな”花の園”に生まれ変わった。
いっぽう約18キロ・クルマで20分ほどのところにある「道の駅 サーモンパーク千歳」は、かつてはコンビニが敷地内にあったが、2023年の今は撤退しているため、以前ほどの利便性は失われている。
しかしここは、目の前の千歳川に遡上してくるサケの様子がガラス越しに見られる、「サケのふるさと 千歳水族館 」と隣接しており、秋は行く価値ありだと思う。
歴史・文化に興味はないが、自然は別という人もあるだろう。
では約14キロ・クルマで20分ほど離れた「道の駅 マオイの丘公園」はどうか。
ここは大きくて賑やかな野菜の直売所と、パークゴルフ場に隣接しており、北海道慣れした中高年には、「道の駅 あびらD51ステーション」を含む、これまで紹介した道の駅の中では、いちばん落ち着いて過ごせる場所だと思う。
スタンプラリーをしている人は、云われなくてもこれらを全て訪ね周ると思うが(笑)、札幌見物の後に周辺のどこかで落ち着きたいだけの人にすれば、このエリアには道の駅がありすぎて、寝場所を選ぶのには苦労する。
筆者は何度もリピートすることで、ほぼ道内全部の道の駅を周ってきたが、その観点から云うなら、車中泊スポットとしての「道の駅 あびらD51ステーション」は、車中泊をよく理解してくれていて、居心地はけして悪くない。
むしろ”おのぼりさん”ほど、こういう小難しい施設を敬遠すると思うので、彼らとは一線を引きたい”いい大人”には、むしろお勧めと云ったほうがいいくらいだ(笑)。
「道の駅 あびらD51ステーション」の施設
こちらが「道の駅 あびらD51ステーション」のレイアウト図。
嬉しいことに、普通車と大型車の駐車スペースは明確に分けられており、車中泊もトイレに近い場所でできる。
駐車場は平坦で車中泊に支障はなく、もちろん真新しい24時間トイレには、お約束のウォシュレットが完備している。
なお駐車場利用上の注意事項として、以下の内容がホームページには明記されているが、誰にも分かりやすくていいと思う。
①仮眠や休憩の際はテントやタープを使用せずに車内でお休みください。
②駐車場や敷地内での火気の使用はご遠慮ください。
③トイレ洗面所での洗髪や汚水を流すことはご遠慮ください。
④ゴミ・吸い殻のポイ捨てや不要物の置き去り、またトイレごみ箱への手拭きペーパー以外のごみ捨てはご遠慮ください。
⑤アイドリングストップにご協力ください。また、騒音を出す行為はご遠慮ください。
ただホームページでこの注意書きを見て来る人は、おそらく”ほんの一握り”だけに、これだけでは実質的な効果は期待できない。
それよりもこの表示を、群馬県の草津温泉にある「道の駅」のように、敷地内の目立つ場所に掲示して、車中泊をしない人にも見えるようにするのが一番いい。
そうすれば、違反者がいれば通報してくれる人が増え、しいては健全な状態が維持できるようになる。
そもそも…
こういう常識を未だに知らないまま、北海道にまでやってくる車中泊旅行者は、もはや皆無に等しい。
つまり違反者は確信犯で、今更彼らへの牽制になることはないのだが、それを公にすることで有効な抑制策になるわけだ。
続いて駅舎の中だが、センターハウス内にはテイクアウトショップと売店、そして広い休憩スペースを兼ねたイートインはあるが、レストランは用意されていない。
こちらがイートインで、写っていないが窓際のカウンター席は、無料の電源SPOTになっていて、誰でも自由に利用できる。
テイクアウトの人気アイテムは、安平町で採れた菜の花の蜂蜜をたっぷり使った「菜の花はちみつバターパン」。蜂蜜はバターパンの表面に塗られているだけでなく、中にもたっぷり入っている。
また「D51・320号機」から出る煙をイメージし、竹炭でライトグレイに色付けされた「D51もくもくソフト」もおもしろい。
こちらは別棟になった農産物直売所「ベジステ」で、周辺地域で採れた旬の農産物を販売している。
安平の一帯では、夏はメロンやトマトもよく採れるようだ。
さて。
最後は、近くの地元で有名なレストランを、簡単な食レポを添えて紹介しょう。
「道の駅 あびらD51ステーション」の館内でもカレーは食べられるようだが、800メートルほどのところに、重厚なログハウスのスープカレー・レストラン「ルウォント」がある。
筆者がオーダーしたのは、ターメリックライスが付いたランチメニューだったが、人気はチキンスープカレー900円とのこと。
筆者もそうだが、スープカレーのご当地とされる札幌には、星の数ほどその専門店があり、どこに行ったらいいのか迷うし、そこまでして食べなくても… と思っている中高年に(笑)、車中泊のディナーにも利用できる「ルウォント」はお勧めだ。
見ての通り、季節の野菜がゴロンと入って、スパイシーなのにサ~ラサラ。一度は本場で食べてみたい料理だね。
しかも、ここは安い!
☎090-8428-3006
11時30分〜14時30分/17時〜20時30分
火曜定休
駐車場:有(店前10台)
「道の駅 あびらD51ステーション」の車中泊好適度
「道の駅 あびらD51ステーション」のゴミに対する対応
可燃ゴミ:館内にあり、営業時間中に利用可能。
缶・ビン・同上
ちなみに、車中泊の旅行中に発生するゴミは「家庭ゴミ」ではない。
しかるに「家庭ゴミの持込み禁止」は地域住民に向けた正しい勧告ではあるが、車中泊の旅行中に発生するゴミは該当しない。
こう説明すれば分かりやすいと思う。
近くのスーパーで買ってきた「弁当」は、道の駅についた時点では「ゴミ」ではなく「食品」だ。
それを道の駅に駐めたクルマの中で食べると、残った容器がゴミになる。
ということは、正確には「道の駅で発生したゴミ」であって、
道の駅のスタッフが、出勤前にコンビニで買ってきた弁当を昼食に食べた後、その容器を事務所のゴミ箱に捨てるのと同じ話で、誰が食べたかは関係ない。
すなわち、「事業ゴミ」として道の駅が処分するのが筋ということになる。
明日帰る車中泊の旅行者が、それを「持ち帰り」するのは自由だが、それは「マナー」と呼ぶものではなく、あくまでも「道の駅の負担を軽減してあげるための協力」であって、基本は堂々と捨てさせてもらってかまわない。
車中泊旅行中のゴミの処分については、以下にもっと詳しい記事を記載しているので、時間があればぜひ。上に記した話が「自分勝手」かどうかは、法律に照らし合わせれば一目瞭然だ(笑)。
「道の駅 あびらD51ステーション」の最寄りの温泉&周辺買い物施設
ぬくもりの湯(ぬくもりセンター)
道の駅から約1キロ
おとな500円
11時~ 22時
第2・4火曜日
コンビニ
セイコマートまで約1キロ。
スーパーマーケット
約1.6キロのところに「フレッシュイングローブ追分店」がある。
「道の駅 あびらD51ステーション」のアクセスマップ