「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、20年以上かけて味わってきた全国のソウルフード&ドリンクを、そのレシピと老舗・行列店を交えてご紹介します。
![](https://kurumatabi.net/hotsprings/wp-content/uploads/cocoon-resources/blog-card-cache/c3f93707f7b6eb3607132b43a52e14e5.jpg)
「五箇山とうふ」の特徴は、綱でも持てるその硬さ!
岐阜県の白川郷とともに、合掌造りの世界文化遺産に登録されている、富山県の五箇山に伝わる伝統食と、それを今に伝える老舗を紹介しよう。
「五箇山とうふ」は、ご覧のように縄で持ち上げても崩れないことから、テレビでも何度か取り上げられており、既にご存知の方が多いかもしれない。
合掌造りといえば、岐阜県側の白川郷が昔から圧倒的に有名だ。
アルペンルートや富山湾という人気観光地を有する富山県にすれば、五箇山は実に地味なる存在で、白川郷と同じような伝統を残しながらも、宣伝不足がたたり、観客動員数では大きな後れをとっていた。
だが世界遺産への登録が決まると、そのままというわけにもいかなくなった…
そこでPRできるものを探していた地元の商工会は、郷里の伝統食と呼べる「この固い豆腐」に着目した。幸いなことに五箇山には、昔のままの製法を営む店が残っていた。
実は、この「喜平商店の豆腐」に「五箇山」を冠を載せてPRしたのが、「五箇山とうふ」と呼ばれるようになった所以らしい。
「喜平商店」では、澄んだ水と厳選された地場の大豆にこだわり、3代にわたって受け継がれてきた「五箇山とうふ」が手に入る。誰にでもわかる大豆本来の濃厚な味わいを、ぜひ一度味わってみていただきたい。
なお、現在は「演出」として縄でしばってくれるのだが、ポリ容器やビニール袋のない時代には、実際にこうやって持ち運びをしたという。
ただし冷奴で食べるのは、味見程度にとどめておくほうが無難だ。
硬さといい、大きさといい、一丁全部を生で食べるのは苦しい。そのうえ、もそもそとした食感は豆腐というよりオカラに近いだけに、なおさらだ(笑)。
しかし…不思議なことに焼くと、柔らかくなり旨みも増す。
筆者は田楽味噌で食べたのだが、これはもしかすると一番美味い食べ方かもしれない。地元では、他にも湯どうふ、揚げだし、生揚げ、あるいはコトコトと煮しめにして食べる風習があるという。
2020年9月 追記
以下の情報は既に「過去の話」となっていた。ただ記録代わりに、ここではそのまま残している。
ちなみに、喜平商店の五箇山とうふは「道の駅 上平」の売店でも手に入る。
本店とは違って、パック入りで少し小ぶりのサイズになっており、夫婦で食べるならこちらの方がお勧めだ。
現在は道の駅の農林水産物直売所「まんさく」に、別の店の「燻製五箇山とうふ」が置かれている。
なお、喜平商店は健在だ。
五箇山とうふ工房「喜平商店」
〒939-1914富山県南砺市上梨608
☎0763-66-2234
営業時間:7:00~19:00