この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。

かつて「駿府」と呼ばれた静岡は、歴史を知れば見方が変わる。
地元にはちょっと失礼な話だが、歴史に関心がない旅人にとって、「静岡市」は影の薄い街だと思う。
なにしろ、北に富士山、東に伊豆半島という国内有数の観光地が控えているのだがら、関西・東海の旅人には「通過点」、逆に関東・東北の旅人には「圏外」になってしまうのは頷ける。
だが、かつて「駿府」と呼ばれた静岡は、戦国時代には今川義元が、また江戸時代には徳川家康が城下町を整備し、江戸や大坂と肩を並べるほどの発展を遂げた中世日本の大都市で、大河ドラマにおいては「常連」ともいえる登場回数を誇っている。
そこをスルーされるとなると、この弥次さん喜多さんが黙っちゃいない… かもしれない(笑)。
さて、今度は清水の話をしよう。
2003年の市町村合併で、独立した「市」から、静岡市の「地区」になったとはいえ、多岐に及ぶコンテンツを誇る清水の知名度は、たぶん静岡より高いと思う。
そして、そのランドマークは世界遺産に登録された「三保松原」だろう。
ただ観光地としての観点に立つなら、筆者は富士山の絶景に加えて、徳川家康が眠る久能山東照宮にも通じる「日本平」のほうがお勧めだ。
ちなみに、♪清水港の名物は、お茶の香りと男伊達♪ の歌詞でお馴染みの「旅姿三人男」に登場する「大政・小政・森の石松」は、「海道一の大親分」こと清水次郎長(本名:山本長五郎)の子分だが、いずれも実在人物で、清水には次郎長の生家が今でも残されている。
「旅姿三人男」は昭和13年にディック・ミネが歌ったヒット曲だが、その後、美空ひばりや天童よしみ、さらには五木ひろしといった錚々たる歌手がカバーしている。
ここではせっかくなので、ディック・ミネのオリジナル・バージョンを披露しよう。
その他にも、スポーツでは昔から「サッカー王国」と呼ばれ、漫画ではご当地作家・さくらももこが、この町を舞台に「ちびまる子ちゃん」を描いている。
冒頭でも書いたが、静岡といえば富士山と伊豆半島が王道の観光ルートだが、浜名湖から島田を経て、静岡にいたる観光ルートも悪くない。
後者はリピーターが辿る「静岡・セカンドルート」とも呼べるだろう。
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