大河ドラマファン必見の地「仙巌園」 概要・駐車場・マイカーアクセス情報

鹿児島県の史跡
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この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
クルマ旅専門家・稲垣朝則の主な著書
車中泊の第一人者と呼ばれる稲垣朝則が、これまで執筆してきた書籍・雑誌と出演したTV番組等の紹介です。
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鹿児島が誇る「世界遺産」、「仙巌園」には3つの楽しみ方がある。

一般的に仙厳園(せんがんえん)の説明は、以下のように記されていることが多い。

地元では磯庭園の名で親しまれる、薩摩藩主・島津氏の別邸跡とその庭園。1658年(万治元年)に第19代当主であった島津光久によって造園され、その後も歴代当主による改築が重ねられてきた。

これではなんのことだか、よくわからない(笑)。

そこで広大な仙巌園の見どころを3つに分けて紹介しよう。

1.日本でも指折りの大名庭園

借景技法を用いて、桜島を築山に、鹿児島湾を池に見立てた雄大な景観は、まさに「大名庭園」と呼ぶに相応しい。

筆者も初めて仙厳園を訪ねた時は、「大名御殿とはいかなるものぞ」と思い、園内を一巡りした後、600円を上乗せして「御殿ガイドツアー」に参加し、茶席でお茶と家紋入りの和菓子をいただいた。

確かに、御殿にあがって殿様・姫君気分を味わい、庭に残る「鶴灯篭」や「望獄楼」、さらには「曲水の庭」に足を運び、帰りに薩摩切子のショップをゆっくり見てまわるのも、仙厳園の楽しみ方のひとつだと思う。

というより、むしろそれがポピュラーな観光法なのだろう。

だが仙厳園と薩摩藩の歴史を知ると、この大名庭園の別の面白さが見えてくる。

大河ドラマ「篤姫」と「西郷どん」のロケ地

仙厳園のパンフレットに、幕末の名君、島津斉彬(なりあきら)がこの御殿をこよなく愛し、徳川将軍家に嫁いだ篤姫も足を運んだと書かれているが、もし大河ドラマ「篤姫」あるいは「西郷どん」を見ていれば、仙厳園の敷地内に残るロケ地を見て、ドラマのシーンを回想するのは面白い。

仙厳園で撮られたシーンにはフェイク(真実ではない話)も多いようだが、それはドラマを見ていた人にしか分からない、ある意味の「特権」だ。

3.世界遺産

国際情勢に精通していた島津斉彬は、アヘン戦争の結果をいち早く察し、迫りくる欧米列強から薩摩を守るべく、軍事と産業の近代化を進めるための工場群「集成館」を、仙厳園の敷地に築いていた。

残念ながら、それらは1863年の薩英戦争で焼失するが、次の藩主・島津忠義と、その実父久光(斉彬の異母弟)によって再建され、のちに博物館に造りかえられた。それが現在の「尚古集成館(しょうこしゅうせいかん)」だ。

旧集成館の機械工場は、1871年の廃藩置県で国有化されるが、1877年の西南戦争でまたしても打撃を受ける。その後民間に払い下げられたのち、1889年に再び島津家の所有となった。

現在の歴史資料を展示する尚古集成館(博物館)に生まれ変わったのは1923年。それからでも、まもなく100年を迎えようとしているのだから、島津家というのはたいしたものだ。

もし、津家に興味がわいたという人があれば、以下のページをあわせてご覧いただくと「感慨なおさら」になると思う。
日本史ダイジェスト/九州5 5分で分かる、薩摩藩(島津家)の歴史
明治維新に大きな役割を果たした、薩摩藩の歴史をダイジェストでご紹介。

ちなみに、外壁には煉瓦の代わりに薩摩特有の溶結凝灰岩が使用されており、訪れる外国客からは、「ストーンホーム」と呼ばれていたそうだ。

中には鹿児島紡績所で使用されていた、蒸気機関のフライホイールと鉄柱などが残されている。

尚古集成館は仙厳園との共通チケットになっているので、見学するのは自由だが、正直なところ機械音痴な筆者にとっては、さして面白いものではなく(笑)、撮影も禁止されている。

さて、大半の観光客は、ここで仙厳園を後にする。

だが、もう少しだけ歩くと「へぇ~」と驚く工芸品工場にぶつかる。そこで次は、女性にも興味が湧くと思う、その施設を紹介するとしよう。

ここで作られているのは、薩摩切子。

江戸時代に生まれた薩摩切子は、島津斉彬が推し進めてきた「富国強兵」のシンボルともいえる存在で、かつて幕府や諸大名への贈り物などに使われていた。

しかし度重なる戦争で、その技術は明治時代に途絶えてしまったそうだ。

幻となった薩摩切子を、現代に蘇らせたのが1985年にできたこの工場で、若い世代の職人たちが、黙々とアートにいそしむ様子を無料で見学することができる。

薩摩切子工場 見学詳細ガイド

「今度こそ、おしまい」と思いきや…

実はハイライトはこれからだ(笑)。

そう、まだあの入口近くに置かれた「でっかい大砲」の話が出てきていない。

大河ドラマ「西郷どん」の第1話で、島津斉彬扮する渡辺謙が、ススだらけになりながら発砲テストを繰り返す様子が描かれていたが、鹿児島市内の山中には、斉彬の大砲づくりに賭けた「リアルな情熱」を、目の当たりに伺える場所が今も残されている。

そこも世界遺産に登録されているのだが、2つの遺構を確認してから仙厳園に赴き、改めて「反射炉跡」を見てみると、まったく違う感想を抱くに違いない。

これが最後の「仙厳園の楽しみ方」だが、多少マニアックなのと(笑)、話が長くなりすぎるので、別記事として収録することにした。

仙巌園 オフィシャルサイト
〒892-0871鹿児島県鹿児島市吉野町磯9700-1
☎099-247-1551
開園時間:8:30~17:30 無休
入園料:庭園と尚古集成館=大人1000円・プラス御殿=大人1300円

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