この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
「音戸の瀬戸公園」は、平清盛の日招像がある無料駐車場。
筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2012.05.12
2013.05.23
2016.12.07
2022.04.22
音戸の瀬戸公園【目次】
「音戸の瀬戸公園」のロケーション
「音戸の瀬戸公園」は、呉市内の「大和ミュージアム」から約6.5キロの高台にあり、その頂上にあたる「高烏台」には、平家の頭領「平清盛の日招像」が立っている。
「音戸の瀬戸公園」が、呉の中心地に近い無料の車中泊スポットであることは確かだが、「音戸の瀬戸」や「平清盛の業績」になんら関心もないまま来たのでは、最近やたらと目立つ「ただ車中泊が好きなだけのYoutuber」とか、「日本一周を語るダブルフリーターのお気軽バンライフ夫婦」となんら変わりがない(笑)。
筆者はそういう人たちのために、ここを紹介しているのではなく、「音戸の瀬戸」の歴史を理解し、実際に見聞に訪れたいと思っている、ピュアな車中泊旅行者のためにこの記事を書いている(笑)。
平清盛と音戸の瀬戸
まず京都・神戸にゆかりの深い平清盛だが、実はこのあたりは昔から平家一門の荘園で、彼らの重要な財源になっていた。
大河ドラマで若き日の清盛が海賊退治に奔走するシーンが描かれていたのは、その租税を守るためだったが、同時に清盛は信仰深く、儲けたお金で宮島の世界遺産「厳島神社」を、現在の海に浮かぶ神殿造りに改修している。
「音戸の瀬戸」とは、呉市の南端と倉橋島の間の細い海峡だが、清盛の時代は浅瀬で大きな船が通れず、大きな迂回を余儀なくされていた。
このマップを見れば、その迂回の大きさが分かる。「音戸の瀬戸」が通れないがために、船は倉橋島の先端を回らなければならず、当然警護は手薄になる。
そのため清盛は、租税を運ぶ船を海賊が襲いにくくすると同時に、運搬ルートも短縮し、さらに日宋貿易のための航路や厳島神社参詣航路を整備するため、「音戸の瀬戸」の掘削を決意した。
1165年(永万元年)7月10日、「音戸の瀬戸」の開削が始まった。
1日がかりの工事は突貫で進められたが、もう日没に間に合わないと思われたその時、清盛が山の岩の上に立って金扇を広げ、暮れゆく太陽に向かって「かえせ、もどせ」と叫ぶと、なんと陽は再び昇リ始めた。
もちろんそれは歴史書にもまったく触れられていない「伝説の話」だが、人命を尊び、それまで当たり前のように行われてきた人柱を拒絶した清盛への感謝の思いは、「音戸の瀬戸」の岸に今も残されている。
「音戸の瀬戸公園」
実は「音戸の瀬戸公園」には、トイレ付きの駐車場が中腹と山頂に3ヶ所ある。
正確に云うと現在は2ヶ所で、マップにAと記したところには、かつて「瀬戸内オーシャンスパ 汐音」という日帰り温泉施設があった。
ここがあるから「車中泊の好適地」だったわけだが、2022年4月に訪ねた時は閉館していて、既に建物も解体されつつあった。
跡地の利用については今のところ不明だが、一等地なので何らかの施設ができるのは間違いないと思う。
「音戸の瀬戸公園」で車中泊に好適なのは、市街地に近い①の駐車場だ。
音戸大橋の近くに位置し、トイレがあることからクルマの出入りはけっこう多い。
多目的トイレは洋式になっているが、ウォシュレットまではない。
なおマップの「グリル音戸大橋」は2019年に閉館していて、2022年にはもう建物も残されていなかった。
駐車場から石段を登ったところには「吉川英治文学碑」と「観光ハウス」があるが、「観光ハウス」にはロープが張られており、営業しているようには見えなかった。
ただ、一帯は春に「ヒラドツツジ」が咲く花の名所のようで、この日は朝から多くの人で賑わっていた。
そこで筆者も、その中に混じって1枚パシャッとやってきた。たまには一眼レフも使わないと腕が廃る(笑)。
いっぽうこちらはマップの②にあたる「高烏台」の駐車場。
ハイエースの後ろの木立の中に、この「平清盛の日招像」が立っている。
重機も大型船もない平安時代に、この水路を掘削しようと思った清盛は、やはりただ者ではなかったと思う。
なお、ここからは「音戸の瀬戸」のみならず、瀬戸内の多島美が眺望できる。
駐車場には奥にトイレがあるが、ハイエースからトイレに向かって傾斜があるのと、まわりに何もない一抹の不安が残る。
また2016年に来た時は、野良猫がいっぱいいた。
トイレについては中腹の駐車場と同じ。
最後に。
繰り返しになるが、「音戸の瀬戸公園」には日帰り温泉があったので夜景を楽しみながら車中泊をする楽しみもあったのだが、それがなくなった今は有料でも利便性の高い「大和ミュージアム」の駐車場のほうが、「旅の宿」にはいいと思う。
「音戸の瀬戸公園」 最寄りの温泉&周辺買い物施設
現地まで行くと引き返すのがたいへんなので、呉市内で入浴を済ませてから行くほうがいいだろう。
SPA SOLANI 大和温泉
約9キロ・20分
☎082-324-1171
大人平日950円・休日1,050円
7時~22時(受付最終21時)・不定休
昭和温泉郷 湯楽里
約13キロ・25分
☎082-324-1171
大人平日700円
平日:9時~22時 (受付最終21時30分)・土日は7時から
火曜定休
銭湯でもOKという人には10キロほどのところに「そてつ湯」「赤ビル温泉」「オリーブ湯」がある。料金はおとな450円。
コンビニ
ファミリーマートまで約3.3キロ。
スーパーマーケット
約3.5キロのところに「フレスタ 警固屋店」がある。
「音戸の瀬戸公園」 アクセスマップ
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