車中泊歴25年の現役クルマ旅専門家が、バンコン・キャンピングカーのキッチン活用術を解説しています。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊入門ガイド
この記事では、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、既に1000泊を超える車中泊旅行を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、四半世紀に及ぶ経験を元に、日本各地を車中泊でめぐるための「know-how」を紹介しています。
~ここから本編が始まります。~
10リットルタンクだから、常に清潔に保てる。
8ナンバーのキャンピングカーには、給水用と排水用のウォーター・タンクの搭載が義務付けられている。
食材や食器などを洗った後の汚水を溜めておく排水タンクは、グレータンクとも呼ばれており、一度は耳にしたことがある人も多いと思う。
キャブコンの場合は、70~100リットルサイズのタンクが設置されており、排水するのは自宅かオートキャンプ場のダンプステーションを利用するのがマナーだが、バンコンは8ナンバーの規定ぎりぎりの10リットルタンクを積んでいる場合がほとんどで、ハンドキャリーできるため、残飯が混じっていなければキャンプ場の炊事棟で処分できる。
だが、実際は臭いや汚れの心配から「使用していない」人が多いとも聞く。
しかし、筆者の考え方は逆だ。
「10リットルタンクだからこそ使いやすい」というスタンスに立ち、長期の旅ではシンクを大いに活用している。
ただしグレータンクの汚れを最小限に食い止めるため、幾つかの工夫は施している。
具体的には、洗い物は水だけで洗剤は使わない。
鍋や食器などの油汚れはキッチンペーパーで拭きとるようにしている。
またグレータンクに腐りやすい野菜の切れ端などが混じらないよう、ザルとボールを重ねてシンクに置いた上で洗い物をし、水だけをタンクに流している。
さらにグレータンクには、中がカビたり滑らないよう、事前に少量の水にハイターなどの漂白剤を混ぜている。
それでも旅の途中では、週に一度くらいの割合でキャンプ場で必ず洗う。
10年以上経った現在でも、グレータンクを一度交換しただけで使えているのは、そういった細かなケアのおかげだと思う。
いっぽう、給水タンク(上水用)の水は、飲料や料理には使っていない。
飲料水はイオン系全国チェーンスーパーの「マックスバリュー」のアルカリイオン水専用容器に入れて保管し、無くなれば店頭か、天然水の湧水場、あるいはキャンプ場で給水している。
最後に。
タンクは使わないのでクルマから降ろし、そのスペースを物入れにしている人を時々見かけるが、タンクがないと車検は通らないので、くれぐれも紛失されないよう気をつけて。
というか… 厳密には、外すと8ナンバーのままでは公道を走れない(笑)。