この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の中のひとつです。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。

横浜では、午後から夜にかけての半日観光がお勧め。
車中泊旅行 横浜観光ガイド【目次】
1.横浜の概要
関東の土地勘が薄い関西・東海地方の在住者には、横浜がどこに位置しているのかマップなしでは分かりづらいと思うが、実は「東京湾アクアライン」にほど近く、首都圏を通らずに房総半島に行きやすい立地にある。
ということは、日本一周を考えている人にとって、箱根~湘南~横須賀~横浜~木更津~という旅行コースに、組み込みやすいということだ。
1-1.横浜の歴史
横浜は、幕末の1854年に締結された「日米和親条約」の交渉の舞台となったことで知られているが、当時は戸数100あまりの半農半漁の寒村だったという。
この時点では、下田のほうが外国人が多く出入りする港町だったようだが、1859年(安政6年)に締結された「日米修好通商条約」に基づき開港された横浜は、以降貿易港を持つ町独特の発展を遂げていく。
ここで大事なのは、それ以降の横浜が、現在では当たり前の、ホテル・パン・牛乳・ビール、さらに新聞・ガス燈・鉄道・水道といった、西洋の文物が日本で最初に根付く町となったことだろう。
1-2.横浜の観光の秘訣
さて。若い女子をターゲットに書かれた「るるぶ」や「まっぷる」では、10ページに収まらない横浜の街を、中高年がガッツリ見ようと欲張ったところで、すぐにカラダがついていかなくなるのは当たり前(笑)。
実は鎌倉の「鶴岡八幡宮」から「横浜ランドマークタワー」までは、わずか20キロほどしかなく、1時間もあれば来ることができる。
つまり朝一番から鎌倉を観光し、午後から横浜に移動して、夜景が見られる時間まで滞在すれば、「ほどほどの満足感」が得られるうえに、「車中泊スポット不毛の地」を要領よく離脱することができるわけだ。
ただしそのためには、観る場所を限定して作戦を練る必要がある。
ということで、ここでは横浜の原点とも呼べる横浜港周辺、すなわちウォーターフロントにスポットを当て、スマートにパーク&タクシーライドで「いいとこ取り」ができる作戦を紹介しよう。
2.横浜の半日観光コースガイド
「山下公園」周辺の駐車場にクルマを置き、「横浜ランドマークタワー」を目指してベイサイドエリアを歩く。
距離は3キロ足らずで、寄り道をしなければ45分ほどだが、午前中の疲労とその後のスケジュールを考慮し、帰りはタクシーの利用をお勧めする。
また最初に「横浜人形の家 」の観光案内所(☎045-641-4759)に寄り、写真のマップを入手するといいだろう。
なお土地勘のない観光客がタクシーを利用する際には、駐車場は料金優先より、覚えやすく人に説明しやすい場所を選ぶのがセオリーだ。
2-1.ベイサイドエリアを歩く
横浜の「みなとみらい21」から続くベイエリア。「山下公園」から海沿いを歩くと、なぜ人が横浜に来たがるのかがよく分かる。
「山下公園」は日本で最初にできた臨海公園で、周辺にはレトロな建物が残る。見えているのは1961年に開業した「横浜マリンタワー」。今年で還暦だが、見た目はずいぶん若々しい(笑)。
途中には「赤レンガ倉庫」があるので、そこで休憩を入れて軽食を食べたり、お土産を探すのがお勧めだ。
横浜港にある「赤レンガ倉庫」は、明治政府が横浜税関新港埠頭(保税)倉庫として建設した横浜市認定歴史的建造物で、中は文化・商業施設にリノベーションされている。
2-2.横浜ランドマークタワーのスカイガーデンへ
横浜の街を見渡すには、四方が眺望できるここが一番。山下公園から歩いてくれば、通り道もよく分かる。
横浜ランドマークタワー スカイガーデン
☎045-222-5015
大人(18~64歳):1000円
65歳以上・高校生:800円
通常営業10時~21時(最終入場20時30分)
延長営業10時~22時(最終入場21時30分)
※毎週土曜日と月曜日が祝祭日(振替休日を含む)の場合、前日の日曜日
※上記時間以外に特別営業あり(年末年始・GW・夏季期間・クリスマス)
駐車場はあるが、高さは2.1メートルまで。
横浜ランドマークタワー側にクルマを止める場合は、ニトリの屋上にタイムズの平面駐車場がある。ここにクルマをおいて、紹介しているコースを逆に歩いてもかまわない。
ちなみにここには、車高約2.4メートルのハイエースが楽に停められたが、いずれにしてもキャブコンのキャンピングカーは、駐車場がそう簡単には見つからないと思う。
2-3.最後はグルメと夜景で〆る
さて。山下公園に戻ったら、そのまま歩いて山下公園から600メートルほどの中華街へ繰り出そう。ここで食事をしてもいいし、テイクアウトもできる。
人気があるのは小龍包の持ち帰り専門店、王府井(ワンフーチン)だ。
たまにテレビでも取り上げられる、肉汁ドバ~!の小籠包(笑)。確かにおいしかったが、できればアツアツのうちにどうぞ。
そして〆は横浜の人気夜景スポット「大さん橋」。中華街からは少し離れているので、最後にクルマで立ち寄るほうがいい。
ここには駐車場があるが、やはり高さは2.1メートルまで。
筆者が訪れた日は街明かりが少なく、噂ほどの夜景ではなかった。今は夜景も「みなとみらい21」のほうが美しいのかもしれない。
3.横浜の車中泊事情&車中泊スポット
まずは興味深い数字から紹介しよう。
2020年9月1日現在の横浜市の人口は約376万人。東京23区の約957万人(2020年1月時点)に次いで2番目に多く、約274万人(2020年3月時点)の大阪市を遥かに凌駕している。
この大都会に山梨県や千葉県と同じように、のんびり車中泊ができる場所が見つかると思うほうが間違いだ(笑)。
すなわち横浜へは、最初から車中泊をしない旅行計画を立てて望むのが正攻法だと思う。
横浜のような観光都市には、道の駅はなくても、格安のビジネスホテルが競い合うように建っている。
現在は横浜中華街から約12キロ離れた保土ケ谷区今井町に「横浜サニーRVパーク」ができているが、料金は5メートルまで5,000円、10メートルまで10,000円とかなりの高額。
ちなみに横浜中華街から約600メートルの徒歩圏内にある「スーパーホテル横浜・関内」では、カップルで朝食込み一人3,000円という破格値で宿泊できる日もある。
なお冒頭で記したように、「横浜で夜景まで見たらもう満足」という人は、横浜中華街から30キロほど走った、東京湾アクアラインの「海ほたる」PAで車中泊をするのがお勧め。

ちなみにお風呂は、「大さん橋」から約3キロ・10分のところに、14台の無料駐車場を完備する「本牧ゆあそび館」がある。
本牧ゆあそび館 参考サイト
045-624-1126
大人470円
12時~25時・5.15.25日定休