この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の中のひとつです。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
横須賀観光のキーワードは「船」。
車中泊で楽しむ、横須賀観光ガイド【目次】
3-3.穴場はウインドサーフィンW杯記念駐車場(旧:下浦海岸第3駐車場)
1.横須賀の概要
横須賀と云えば?
♪これっきり、これっきり、もう♪
ではないのだ、おっちゃん世代は(笑)。
♪ジャジャジャッジャジャジャン! あんた、あの娘の何なのさ♪(笑)
この曲は、1975年4月にリリースされた「ダウン・タウン・ブギウギ・バンド」のシングル曲で、阿木燿子(作詞)・宇崎竜童(作曲)の夫婦合作による名曲。ちなみにタイトルは歌詞そのまま(笑)。
そもそもバンド名を知ってるだけで、もはや「化石」の部類かも。
東京湾の入口に位置する横須賀は、江戸時代から国防の拠点とされ、大日本帝国海軍横須賀鎮守府を擁する軍港都市(軍都)として栄えた。
現在もアメリカ海軍第7艦隊、および日本の海上自衛隊・陸上自衛隊・航空自衛隊の基地が置かれており、かつての軍都・軍港としての名残を色濃く残している。
ただ残念なことに… 筆者の知る限り、横須賀は横浜・鎌倉と同じく車中泊環境の整っていない街で、よほどミリタリーが好きでなければ、普通は「パス」したくなっても不思議ではない。
それでも、未だにスカジャンが並ぶ「どぶ板通り」や、空母ロナルド・レーガンが見られる「軍港めぐり」など、DA PUMPが歌ったUSAの世界がリアルに見られる横須賀の街は楽しく、むしろ50’sを知る中高年にお勧めしたい旅先だ。
なお、横須賀観光時の移動は徒歩が基本。
クルマは、「イオンスタイル横須賀」に隣接する「ショッパーズプラザ横須賀屋外駐車場」に停められると、どこにいくのも一番便利だと思う。
月~金 00:00~24:00 初回60分/無料 以降30分/200円
土日祝 00:00~24:00 初回60分/400円 以降30分/200円
また隣の「ヴェルニー公園」にも、1時間420円で駐車できるコインパーキングがある。この公園からは軍用船もよく見える。
1-1.どぶ板通り
横須賀基地に続く「どぶ板通り」は、終戦後に駐留した米軍兵で賑わってきた。今でも通りの両脇には、スカジャンやミリタリーグッズを売る店と、ダイナーやパブが並び、アメリカンな雰囲気を醸し出している。
名前の由来は、通りの中央を流れていたドブ川を、板でふさいで通行しやすくしたことに由来するという。
2.「船」に絡む横須賀のお勧めスポット
冒頭のキャッチフレーズで書いたように、横須賀観光のキーワードは「船」だろう。代名詞である「YOKOSUKA軍港めぐり」のほかにも、明治時代の日露戦争で、無敵を誇ったロシアのバルチック艦隊を撃破した、戦艦「三笠」が保存展示されていたり、無人島・猿島へのクルーズも行われている。
2-1.YOKOSUKA軍港めぐり
宣伝通り、アメリカ海軍や海上自衛隊の現役軍用艦を、これほど間近で見られるのはこの「軍港めぐり」だけだろう。
そのうえクルージングツアーの名のふさわしく、添乗員の解説が素晴らしい。老若男女を問わず、45分間が「あっ」という間に過ぎ去るはずだ。
基本は11時~15時まで1時間ごとに運行(土日祝は10時から)で一周約45分。料金は大人1600円。
YOKOSUKA軍港めぐり オフィシャルサイト
2-2.三笠公園
横須賀新港に面し、「日本の都市公園100選」「日本の歴史公園100選」に選ばれている「三笠公園」の一画には、ロシアのバルチック艦隊を撃破した大日本帝国海軍の戦艦「三笠」が保存展示(入館料600円)されている。
世界三大記念艦・三笠 オフィシャルサイト
2-2-1.日本海海戦
日露戦争中の1905年(明治38年)に、日本海軍の連合艦隊とロシア海軍の第2・第3太平洋艦隊(バルチック艦隊)との間で行われた海戦。
この海戦は日露戦争における最大規模の艦隊決戦で、東郷平八郎率いる連合艦隊は、海戦史上稀に見る勝利を収め、ロシアを講和交渉の席に着かせる契機となった。
2009年の11月から2011年12月まで、足掛け3年にわたってNHKで放送された司馬遼太郎原作のスペシャルドラマ「坂の上の雲」を見ていた人なら、この回の話は記憶に強く残っていると思うが、三笠公園はロケ地にも使われている。
2-3.無人島・猿島(さるしま)
猿島は自然と歴史資産が残る無人島で、三笠公園に隣接する桟橋から約10分で渡れる、東京湾最大の自然島だ。
旧海軍の要塞だったことから、森の中にはレンガ積みのトンネルや砲台などの軍事施設跡が残っており、島内に整備された散策路を歩けば、1時間ほどで無人島の探検気分が味わえる。
猿島航路の運行は、9時30分~16時30分まで1時間毎。乗船料:大人1400円、別途猿島公園入園料:大人200円。ただしペット同伴は禁止。
無人島・猿島 オフィシャルサイト
2-4.TSUNAMI(つなみ)
ドブ板通りにある「よこすか海軍カレー」の行列店で、「ヨコスカネイビーバーガー」でも有名。2階に飾られた「鉄人28号」の人形が目印だ。
TUMAMI オフィシャルサイト
☎046-827-1949
11時~22時(L.O.21時)
2F L.O.22時(金・土・祝前日)
無休(元旦のぞく)
2-4-1.よこすか海軍カレー
そのルーツは、明治初期の軍人職業病とされた脚気(かっけ)の予防にあり、軍医がイギリス軍隊からヒントを得て考案し、レシピが「海軍割烹術参考書」に記載された。
「よこすか海軍カレー」は、その原則的なルールを守った上で、各店舗がオリジナルの味に仕立てた「ご当地グルメ」として定着している。
2-5.「黒船来航」の浦賀水道
正確に云うと、横須賀ではなく東京湾フェリーが発着する久里浜まで出ないと見えないのだが、横須賀港からクルマで30分ほどのところなので、あわせて紹介しておきたい。
それにこの話も「船」と深い関係がある。
幕末の1853年7月、江戸を守る海の要とされてきた浦賀水道に、米国のペリー提督率いる4隻の軍艦が出現した。
後に「黒船来航」と呼ばれるこの出来事は、その後の開国から明治維新にいたる歴史転換の、まさに「導火線」とも呼べる事件で、吉田松陰や佐久間象山などの知識人に加え、多数の武士や庶民も見物に訪れたという。
泰平の眠りをさます上喜撰(じょうきせん=蒸気船) たった四はいで夜も寝られず
この当時の幕府の混乱ぶりを伝える川柳に、見覚えのある人は多いと思う。
NHKの大河ドラマ「龍馬伝」では、この時江戸にいた龍馬が、土佐藩から命じられた品川海岸の警備をサボって、浦賀まで黒船を見に行くストーリーだったが、実際はそれが事実である確証はないらしい(笑)。
そのシーンが見られるのは、こちらのサイトの「5.騒乱(2)」。
なかなか迫力のある映像で懐かしいのだが、ここまで脚色してしまうから、近頃の大河は「ホームドラマ」と揶揄される(笑)。
坂本龍馬が出てきたついでに、マニアックな話も書き加えておこう。
実は龍馬の妻・お龍は、横須賀の町で眠っている。
2-5-1.坂本龍馬の妻・お龍の墓
坂本龍馬が京の近江屋で暗殺された時、妻のお龍は下関にいた。
その後、一時高知にある龍馬の実家に身を寄せるものの、3ヵ月ほどでそこを後にし、龍馬のツテを頼りに、京都、東京を流転した後、横須賀で古くから面識のあった大道商人・西村松兵衛と再婚し、西村ツルを名乗っていた。
だが晩年はアルコール依存症状態となり、貧窮の内に没したという。
墓は横須賀市大津の信楽寺にある。
没後長らく墓碑を建てることができなかったが、死から8年後の大正3年(1914年)8月に妹の中沢光枝が施主、養子の西村松兵衛らが賛助人となって現在の墓が建立された。
墓碑には夫の西村松兵衛の名ではなく、「贈正四位阪本龍馬之妻龍子之墓」と刻まれている。
なお信楽寺に駐車場はあるのだが、直前の道がすこぶる狭く、筆者は後ろのバンパーを擦ってしまった。スーパーロングならたぶん曲がれなかった。
とはいえ…
2-5-2.ペリー上陸記念館
さて。浦賀にやってきたペリーが初めて踏んだ日本の地は久里浜で、その時にアメリカ大統領フィルモアからの国書の受け渡しを行っている。
浦賀水道に面した久里浜にあるペリー記念館では、黒船来航に関する歴史的資料や模型などを展示しているので、興味があれば見学してみるといい。駐車場がないのは困ったものだが、入場は無料だ。
ペリー記念館(ペリー公園)
☎046-834-7531
入館料:無料
9時~16時30分・月曜定休
駐車場なし
3.横須賀の車中泊事情&車中泊スポット
さて。横須賀は横浜と並ぶ車中泊スポット不毛の地で、道の駅はおろか、有料でも市街地でトイレが使える観光駐車場は見当たらない。だが、まったくないというわけではなく、少し離れれば車中泊ができる場所はある。
3-1.イチオシは横須賀パーキング
「横須賀パーキング」は、横浜横須賀道路の横須賀ICから衣笠ICの間にある休憩施設で、上下線別々にある(写真は下り線)。
観光目的のクルマ旅なら、横須賀はもちろん横浜観光も含めて、有料道路上とはいえ、ここに勝る場所はあるまい。
湘南方面から横須賀に来る場合は、横須賀ICからアクセスして下り線のPAで前泊し、翌日横須賀を観光する。
逆に横須賀を観光した日は衣笠ICから入り、上り線のPAで車中泊して、朝から横浜に向かうといい。
いずれにしても「横須賀IC~衣笠IC」の1区間だけ利用すれば、普通車の通行料金は260円で収まり、コインパーキングよりもはるかに安上がりだ。
なお2025年にはスマートインターが設置される予定だが、PAに隣接して利用できるのは上り線側のみになるようだ。
3-2.観音崎公園
え~、横須賀にこんなキレイなビーチがあるの?
しかもちゃんとした水場があって、デイキャンやBBQが無料でできる?!
そのうえトイレのある駐車場は、なんと平日無料開放。
ここで車中泊ができるなら、ネット上にそういう記事がゴロゴロあがっていそうなものだが、見つからないのなぜ?
最近多いバンライフ夫婦が好んで使うお決まりのセリフ、「車中泊禁止の表示は見つかりませんでした」にも該当しているのに…だ(笑)。
なんでだろう~ なんでだろう~
確かに駐車場には、「営業時間:5時~19時」との表示がある。
ということは、マジで終了時間には見回りに来て追い出されるのかもしれない。
それともあまりに良すぎる場所なので、みんな黙っているのか、あるいは過去に大きなトラブルでもあったとか…
いずれにしても、気味が悪いことだけは確かだった。
ただ、「そんなの関係ねぇ~」おじちゃんが、普通ひとりやふたりはいるやろ?っと思いながら駐車しているクルマを見回すと、上の写真のPマーク下の白いワゴン車に窓には、シェードがついたまま。かなり怪しいね、これは。
筆者は面が割れているので、こういうところで車中泊をしようものなら一発で刺されるが、どなたか勇気を持ってチャレンジして、その結果を教えてほしいものだ(笑)。
と書いたら、早々に現地の近くに住む友人から返事が来た。
ここは終了時間になると強制退去させられるとのこと。車中泊は出来ませんときっぱり断られたそうだ(笑)。
なお観音崎にあるRVパークは、さすがにゴージャス過ぎて筆者の財布にはマッチしなかった(笑)。
RVパーク京急観音崎 料金ほか詳細
また城ヶ崎にも、2020年にRVパークと類似の車中泊専用駐車場がオープンしているようだ。こちらは1泊2000円(電源代別途500円)からと常識の範疇(笑)だが、収容台数は4台しかない。
城ヶ島シーサイド RVステーション 料金ほか詳細
3-3.穴場はウインドサーフィンW杯記念駐車場(旧:下浦海岸第3駐車場)
ウインドサーフィンの盛んな下浦(したうら)海岸は、横須賀港から三浦半島を突っ切るように20キロほど南下したところにある、金田湾に面したビーチで、そこにトイレが使える公共駐車場がある。
「横須賀市街から20キロも離れているのに有料!?」と驚くかもしれないが、首都圏とはそういうところなのだと割り切るしかない。
しかも高さ制限があるため、キャブコンのキャンピングカーは入庫できない。