【2022年12月更新】
車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、「霧島温泉」の概要と車中泊事情に関する記述です。
「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、10年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価。車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる「各温泉地の魅力」を、主観を交えてご紹介します。

「霧島温泉」は、クルマが大いに役立つ車中泊旅行者向きの温泉地。
「霧島温泉」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2009.05.05
2010.05.02
2011.12.26
2013.10.28
2016.12.28
2021.01.01
2022.12.31
※霧島温泉での現地調査は2022年12月が最新になります。
霧島温泉 車中泊旅行ガイド
霧島温泉のロケーション
「霧島温泉」は宮崎県との県境が迫る、鹿児島県の霧島連山・南西エリアに点在している温泉地の総称。
古事記に記された「天孫降臨神話」の舞台とも云われ、その主人公・ニニギノミコトを祀る国宝の「霧島神宮」があるほか、西郷隆盛や坂本龍馬とのゆかりも深く、歴史が好きな旅人の興味を掻き立てる見どころに恵まれている。
高速道路からは少し離れているが、「鹿児島空港」から「霧島神宮」まではクルマでおよそ40分、新幹線が停まる「鹿児島中央駅」からでも、1時間ほどで到着できるため、多くの温泉地がひしめく九州の中でも、高い人気を誇っている。
「霧島温泉」の特徴は、火山の麓という険しい自然環境に加え、神様や殿様に愛されたことから、後年まで世俗的な開発が進まず、真にお湯を楽しみたい人向けの宿が、今なお多く存在することにある。
1933年に「霧島神宮駅」から「丸尾温泉」までの道路が整備され、現在は多くのマイカー客が訪れるようになっているが、薩摩藩御用達の温泉場があった「霧島温泉郷」は、険しい山中にあり、明治以前は馬や駕籠でなければ容易に近づくことができなかったという。
その経緯からか、平地に近い「日向山温泉郷」「新川渓谷温泉郷」と、「霧島神宮温泉郷」「霧島温泉郷」は、今でも趣きがずいぶん異なっている。
霧島温泉の「車中泊・居心地度」チェック!
1.車中泊好適地度:〇
2.滞在好適度:〇
3.湯めぐりサービス度:×
4.温泉情緒度:△
5.名湯・秘湯度:○
総合:3.5 ○○×△○
霧島温泉の湯めぐりワンポイント・アドバイス
●「霧島温泉郷」は「霧島神宮温泉郷」・「新川渓谷温泉郷」・「日当山温泉郷」との4つで形成される霧島温泉の中の「温泉郷」のひとつで、全体の総称は霧島温泉になる。
つまりここでは「温泉郷」と「温泉地」が逆転して使われている。
●個性的な「秘湯・名湯」が各温泉郷に存在するため、本気で「温泉めぐり」を楽しむには、数日間の連泊が必要。
●ただし、どの温泉郷にも「温泉街」は存在せず、全温泉郷で利用できる割引制度もない。湯めぐり手形があるのは「霧島神宮温泉郷」のみ(入湯霧札1200円)。
●観光地は「天孫降臨」神話と、「坂本龍馬の新婚旅行」にまつわるところが多く、レジャー施設は皆無に等しい。その意味ではファミリーより中高年向きの温泉地といえるだろう。
●車中泊スポットはそれなりに揃っているが、「道の駅 霧島」は年末年始と連休時は大混雑する。
霧島温泉の名湯・入湯レポート
まずは個別に記事を立てている温泉施設からご紹介。
霧島温泉郷
無料の野天風呂
閉鎖中で入湯不能
緑渓湯苑(りょくけいとうえん)
霧島の「栄之尾」と呼ばれる渓谷沿いに点々と湧く温泉で、昔から「栄之尾温泉」の名で親しまれてきた。
薩摩藩主の島津斉彬、島津忠義が入湯するなど、為政者とのかかわりも深く、1866年(慶応2年)には、この地で長期療養中の小松帯刀を、坂本龍馬・お龍夫妻が見舞いに訪れた記録が残る。
それもあって2010年(平成22年)には、NHK大河ドラマ「龍馬伝」の撮影がここで行われた。
近年は隣接する林田温泉の宿泊施設「霧島いわさきホテル」により、渓流沿いに8つの露天風呂がある「栄之尾温泉 緑渓湯苑」として整備され、浴衣等を着用する混浴風呂として人気を博していたが、残念にも2017年(平成29年)11月6日を以降、無期限の閉鎖となっている。
霧島神宮温泉郷
新川渓谷温泉郷
日向山温泉郷
霧島温泉の見どころ・食どころ
「霧島」の地名は、神話の時代に天上界より望む「霧に煙る海に浮かぶ島」と呼ばれていたことに由来している。
日本で初めて国立公園に指定された霧島連山は、今でもその名残を感じさせてくれる「秘境」だ。
そのため、ここで旅を楽しむにはクルマが欠かせない。
観光のキーワードは、「天孫降臨」と「坂本龍馬」
個性のある温泉館がこれほどあれば、温泉めぐりそのものが「観光」と云えなくもない気はするが(笑)、それ以外の観光スポットといえば、やはり筆頭は日本神話の「天孫降臨」に関わる場所になるだろう。
アウトドア派には「高千穂河原」から「高千穂峰」の登頂を勧めるが、一般的には「霧島神宮」が有名だ。
また龍馬のファンには、ぜひ「ハネムーンロード」を辿ってみていただきたい。
さて。
霧島温泉には、「温泉街」と呼べるところがないと云っても過言ではない。
そのため旅行者相手の飲食店の多くは宿泊施設の中にあり、居酒屋や小料理屋といった類の店は見当たらず、車中泊の旅人がここでグルメを楽しむのは難しい。
美味しいものは、山から降りて「天文館」で味わえということだろう(笑)。
霧島温泉市場でテイクアウト
そんな中で唯一の「ドライブイン」的な存在が、この「霧島温泉市場」だ。
霧島温泉郷の中心にあり、観光案内所のほか、特産品を扱う土産店と食事処が集まっている。
ここで人気を博しているのが、温泉の蒸気で蒸した卵や野菜のテイクアウト。
日中は、団体旅行客や若い旅行者の姿が絶えることはない。
観光地にしてはリーズナブルだと思うので、おやつ代わりには悪くない。
ちなみに写真は「蒸し卵」で、「温泉卵」とは別物だ。
鹿児島名物の黒豚料理が手軽に食べられるのは、「道の駅霧島」
閉店時間が早いので夕食に食べるのは難しいが、ランチで食べるならお勧め。
自炊派には黒豚肉専門店「黒豚の館」がある
鹿児島黒豚指定店の認証を持ち、生産・加工・販売までを一貫管理。精肉販売だけでなくレストランも併設している。
あっさりした食事がいい人には、蕎麦処「がまごう庵」がお勧め
住所は宮崎県都城市だが、霧島神宮からクルマで5分ほどのところにある手打ちそばの行列店。
鹿児島市内は「遠征地」
「道の駅 霧島から、鹿児島中央駅までは約70キロ。それでも高速道路を走れば1時間ほどあれば行ける。
ゆえにガイドブックによっては、霧島の観光スポットに鹿児島市内の名所を組み込んでいるものもある。
だが観光密度の高い鹿児島市内を、ワンデイで見て周るのは相当タイトな話だ。
それが本当かどうかは、下のページを見ればすぐにわかる(笑)。
というわけで、霧島温泉が気に入って、滞在途中で買い出しがてらに鹿児島市内まで出ようと思うのなら、日帰りではなく泊まりを勧める。
もちろん、そのための車中泊情報はちゃんと用意している(笑)。
霧島温泉の車中泊事情
霧島温泉は坂の多い山道沿いに、大型のホテル・旅館が点在しており、個々が広い駐車場を有している。
また温泉街やレジャー施設がないため、観光バスを受け入るような大駐車場は1ヶ所しかなく、コインパーキングもほとんど見当たらない。
写真は霧島温泉市場の近くにある無料の「霧島温泉公共駐車場」。
観光バスが待機に使う場所でもあり、広さは十分だがトイレはない。
こちらは霧島温泉市場。
ここにも無料の駐車場はあるが、傾斜がきつく車中泊には適さなかったと記憶している。また夜間は駐車場も閉鎖されるかもしれない。
このような事情から、大半の車中泊旅行者は否応なしに道の駅に集中し、ハイシーズンは「24時間満車状態」になっているのが実情だ。
満車の時は、霧島神宮方面へ
道の駅がいっぱいの時は、霧島神宮方面を探せば穴場が見つかる。
大鳥居の前にある霧島市観光協会の無料駐車場や、高千穂河原の有料駐車場なら、夜間はほぼ確実に空いている。
ただ塩浸温泉や日向山温泉方面に下ると、ますます車中泊の好適地は見つからない。
霧島温泉で車中泊する際の留意点は、食料調達
車中泊の旅人にとって霧島温泉の難点は、コンビニとスーパーの少なさにある。
コンビニは霧島温泉丸尾交差点にローソンが1軒あるだけで、生鮮食品が買えるのは、霧島神宮駅前のAコープ霧島店が最寄りになる。
数日滞在するなら登る前に確保するか、隼人方面まで買い出しに出るほうがいい。
霧島温泉 車中泊旅行ガイド





「アラ還」からの車中泊


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