25年のキャリアを誇る車中泊旅行家が、四国一周旅の意義と、計画づくりに役立つ、お勧めの見どころと車中泊スポットを解説しています。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊旅行ガイド
この記事は、1999年から車中泊に関連する書籍を既に10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「車中泊旅行家・稲垣朝則」が、独自の取材に基づき、全国各地の「クルマ旅にお勧めしたい観光地」を、「車中泊旅行者目線」からご紹介しています。

~ここから本編が始まります。~
四国一周のロードトリップ・ルートは、5つに区切って編集する。

「四国」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2007年以降のデータです。
2007年11月/2009年05月/2010年07月/2011年01月/2011年05月/2012年03月/2012年11月/2013年10月/2014年01月/2014年11月/2015年01月/2016年01月/2018年05月/2018年10月/2019年02月/2020年06月/2022年04月/2024年11月/2025年2月/2025年4月
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四国一周 Road Trip 車中泊旅行ガイド
四国を一周する”意義”
これから書く話は、上の『初めて行く、四国車中泊クルマ旅』という記事の中でも書いているのだが、
「四国一周」というのは、聞こえはいいが、海岸線を走るだけなら3日もあれば達成できるし、筆者を含めた車中泊クルマ旅のベテランは、おそらく重要視していない。
理由は四国の素晴らしい見どころが、すべて沿岸部に揃っているというわけではないことと、旅のコンテンツが”海”に偏ったものになりがちだからだ。

早い話が、「四万十川」や「祖谷渓」に足を運ぶことはないし、グルメと云えば”海鮮丼”みたいなことになる(笑)。
では、やる”意義”はないのか?
と聞かれれば、実はそうでもないと思っている。

旅にかかわらず、趣味には「完全制覇」という醍醐味がある。
「日本百名山」しかり「道の駅のスタンプラリー」しかり、もっと歴史があって四国ならではのものを挙げるなら、「四国八十八ヶ所霊場」の巡礼もそうだ。
しかし、それは本来時間をかけて楽しむものであり、極端に云うと『人生のファイナルステージ』を意識しはじめる、シニア世代に見合うコンテンツだと思う。
”旅の粋も甘い”も一通り味わい、さらに見聞を広めるというよりは、『まだこうして旅が続けられる喜び』を噛みしめる、まさに「人生総仕上げの旅」に相応しい。
そもそも…
ひたすら海岸線を見て進むのは、”旅の引き出し”とも云える楽しみ方を知らないと、”すぐに飽きる”(笑)。
「四国一周の旅」は、これまで自分が旅を通じて、何を学び、何を身につけてきたかが試される場で、それが養われている人ほど現地で楽しめる。

例えばこの景色。
今から1200年ほど前に、この洞窟から見える『空と海の景観』を見て、悟りを得たひとりの高僧がいる…

上の写真が、まだ若き「空海」が悟りを得た景色と知らなければ、きっとカメラを向けることはないはずだ。

筆者はそれを「旅行力」と呼んでいるが、「旅行力」は”上げ膳据え膳の慰安旅行”で身につくものではないし、筆者のような”職業旅行人”といえども、10年やそこらで簡単に養われるものではないと思う。
しかし培う秘訣は、『好きこそものの上手なれ』と『継続は力なり』にある。
その意味から「四国一周」は、いずれ「北海道」や「本州」を”一筆書き”で一周するための、いい練習の場とも云えるだろう。
「四国一周」の鍵を握っているのは、3本の橋

出典:産経WEST
ご承知の通り、本州と四国は「本州四国連絡橋」と呼ばれる、「大鳴門橋」「瀬戸大橋」「しまなみ海道」の3本の橋で結ばれている。

従来筆者が書いてきた「車中泊コースガイド」は、どこからスタートして、どこをどういうふうに周ればいいかを記してきた。
しかし四国の場合は、それが千差万別になるため、この3つのどの橋から入っても使えるよう、ルートを5つに区切り、それぞれのルートにおける旅の留意点と見どころを観点にまとめている。
そのルート区分がこちら。

あえて云うなら、
ベストルートは淡路島を経由して「大鳴門橋」から「鳴門」に入り、上のマップの番号順とは逆の、「時計周り」に旅をすることだ。
しかしそれは、「大鳴門橋」から四国入りする場合にしか当てはまらないと思う。
なぜなら四国で誰もが行きたいと思うところは、西側の「松山」と「土佐」にあり、まずはそちらを優先するのが’常道”だ。
いっぽう四国の中で、もっとも万人受けする見どころが少なく、退屈しやすいのは❺❹の「室戸半島」だと思う。

たとえば「中岡慎太郎」って誰?
確かに(笑)。
「坂本龍馬の盟友」と云われても、若者には「ロッチ」のほうが有名に違いない。
ゆえにそこを最後にすると、途中で心が折れてしまうかもしれない(笑)。
「瀬戸大橋」からでも「しまなみ海道」からでも、反時計回りに高知市内まできたところで満足に達し、そこから「高知自動車道」で一気に瀬戸内海まで北上し、自宅を目指したくなる可能性はけして低くないと思う(笑)。
仕事でもないのに頑張る必要はなく、嫌になれば途中でやめて帰れるのも車中泊クルマ旅のいいところだ。
北海道をよく知る人なら、

『室戸岬は襟裳岬』と云えば、きっとご理解いただけると思う。
なので、あえてここでは番号通りのルート順で紹介しよう。
四国一周各ルートの留意点と見どころ

詳しくはそれぞれの個別ページにまとめているので、ここではざっくりと概要のみを紹介しよう。
❶大鳴門橋~瀬戸大橋区間

このルートの最大のポイントは、「淡路島」の扱いと、「鳴門」をいつ観るかだ。
それについては以下の記事に詳しくまとめているが、結論は京阪神在住以外の旅人は、「淡路島」は四国の観光と同時に周るほうがいいのと、「鳴門」は❺に組み込んだほうがいいということ。
もちろん「鳴門」を最初に持ってきてもいいが、思っているより時間がかかる。
いっぽう、香川県側の見どころは「屋島」と「高松城・栗林公園」になる。

ちなみに、晴れた日の「屋島」からの海の展望は素晴らしいし、意外なところが見えたりする(笑)。

なお時間に余裕があれば、「高松」から「小豆島」に渡るのも悪くない。
紅葉シーズンを除けば、「小豆島」は日帰りでも十分楽しめるし、車中泊スポットも充実している。
❷瀬戸大橋区間~しまなみ海道

「大鳴門橋」と違い、残念ながら「瀬戸大橋」には、四国側にお勧めしたい展望スポットは見当たらない。

あえて云うなら、瀬戸大橋途中の香川県側にある「与島PA」からの眺めがいい。
なお、

確かに「道の駅 瀬戸大橋記念公園」まで行けば、間近に橋を見ることは可能だし、架橋工事の歴史や瀬戸大橋の構造を学べる記念館も無料開放されている。
たださすがに老朽化は否めず、お勧めするのは気が引ける。
加えてこの道の駅は、週末の夜間は駐車場が閉鎖される。

ここでは、うどんも美味しい「琴平・三豊エリア」が最大の見どころになるだろう。
海沿いでは写真の「天空の鏡」で知られる「父母が浜」と、「銭形砂絵」がある「琴弾公園」、少し内陸に入れば「こんぴらさん」や「弘法大師」が生まれた「善通寺」もあり、市内にはメジャーな「さぬきうどん」の名店が軒を並べている。

ただし、愛媛県に入ると見どころは極端に限定されてくる。
もし「新居浜」に立ち寄るなら、「別子銅山跡」に作られた「道の駅マイントピア別子」はおもしろいと思う。
また瀬戸内海に面した「今治城」は、築城の名手で名高い「藤堂高虎」が編み出した、日本屈指の海城だ。
とはいえ、愛媛県におけるこのルートのお勧めは、「しまなみ海道」の中にある「大島」になるだろう。

特に「しまなみ海道」で四国に渡る人には、絶景を誇る展望所が2つある「大島」に、ぜひ立ち寄ってきていただきたい。
❸しまなみ海道~土佐清水

ここでは、今さら声を大にして云わずとも「道後温泉」を抱える「松山」が筆頭だ。
「松山」は他にも見どころが揃っており、四国車中泊の旅の「オアシス」と呼ぶに相応しい町だと思う。
「松山」から南下すると、次の見どころは城下町が残る「大洲」だ。

「大洲城」は、1331年(元弘元年)に「伊予宇都宮氏」によって築城されたといわれる古い城で、その後「藤堂高虎」等によって大規模な修築が行われたが、明治時代に解体された。
しかし四層四階の複連結式天守は、2004年(平成16年)に、古写真や「天守雛形」と呼ばれる江戸期の木組み模型など、豊富に残されていた資料をもとに、正確な当時の姿を復元しており、お城好きには有名だ。

また城下町には、 肱川(ひじかわ)流域随一の景勝地「臥龍淵(がりゅうぶち)」を臨む、三千坪の和風建築「臥龍山荘」があり、知名度はそう高くはないが、行って見るだけの価値は大いにあると感じた。

なお大洲の城下町は、古くはNHK朝ドラの「おはなはん」、もう少し最近ではドラマ「東京ラブストーリー」のロケ地としても知られている。
さて。

「大洲」からは、フェリーで「豊後水道」を超えて九州の大分県佐賀関に渡れる、「佐田岬」を目指せる。

しかし「佐田岬」は付け根の「八幡浜」からでも、往復すると2時間近くかかるため、そのフェリーに乗らないのなら、あえてそこまで行く必要はないかもしれない。
ちなみに、佐田岬はこんなところ。
続く見どころのある町は「宇和島」だが、ここにも「藤堂高虎」ゆかりの「宇和島城」がある。

ただ「宇和島城」には、「今治城」「大洲城」とはひと味違う”高虎マジック”が仕込まれているので新鮮だ。

また「道の駅 うわじまきさいや広場」には、本州では珍しい北海道のチョコレートメーカー「ロイズ(ROYCE’)」の直営店があるが、そのことにも「宇和島城」の歴史が深く関与している。
なお、このコースのゴールにお勧めなのは、晩秋から早春にかけての晴れた夕暮れに観られる「だるま夕陽」で有名な「道の駅すくも」だ。

ただRVパークを併設した、2023年5月の全面リニューアルオープン以降は、道の駅での車中泊を強く牽制する表示がなされており、評判はあまりよくない。
それが気になるようなら、「だるま夕陽」を観た後、もう約12キロ・15分ほど先に進んだところにある、「道の駅 大月」で車中泊をするといい。
ちなみに、この日に「土佐清水」まで進むのは、さすがにハードだと思う。
「土佐清水」の「竜串海岸」は日の高い日中に観るほうがきれいだ。
❹土佐清水~高知市内

というわけで、このルートでは土佐清水の観光からスタートしたい。
とりわけ竜串海岸から「見残し海岸」にかけては、四国のみならず日本を見渡してもトップクラスの海の美しさを誇っていると云えるだろう。
土佐清水から高知市内までは、まだ高速道路が全面開通しておらず、2025年3月現在は「四万十中央インター」までは、太平洋沿いに国道321号を走ることになる。

そのため、有名な『四万十川の沈下橋』を目にすることはできないのだが、この機会にどうしてもと思う人は、国道441号の交差点から少し内陸に入り、比較的「四万十川」の下流部にかかる、「佐田沈下橋」にだけなら立ち寄りやすい。
そして「四万十中央インター」からは、高速道路の「高知自動車道」で一気に高知市内を目指そう。この道は途中まで無料区間になっているので、ETCなしでも810円しかかからないし、あれば570円で行ける。

理由は、人気の「ひろめ市場」にある。
高知城の近くにある「ひろめ市場」は、観光客のみならず地元の高知市民からも絶大なる人気を誇っている”全天候型の巨大な屋台村”で、週末は5時前には入店しないと、まず満席の可能性が高い。
特にお酒を召し上がる方は、この日は「ひろめ市場」で旅の疲れを癒やし、「桂浜」は翌朝からの観光でいいと思う。
❺高知市内~室戸半島~鳴門

❹から来た人は、最後は桂浜で「坂本龍馬」に別れを告げて、一路「室戸岬」を目指すことになる。
しかし広大な「室戸半島」の沿岸部には、未だ高速道路は通っておらず、ひたすら国道55号を走り続けることになる。

その道中には、「坂本龍馬」にゆかりの深い「岩崎弥太郎」と「中岡慎太郎」の生家や、印象派を代表するフランスの画家「クロード・モネ」が描いた連作、「睡蓮」をモチーフにするフラワーガーデン「北川村モネの庭マルモッタン」もあるが、ちんたら走っていたら「室戸岬」の観光後に日が暮れる(笑)。
ちなみにモネに関して云うと、鳴門の「大塚国際美術館」に行けば、かぎりなく本物に近いその絵を、もっとゆっくり鑑賞することができる。
ゆえにこのルートでは、「室戸岬」にのみフォーカスし、あとは道の駅で適度に休憩をはさんで「鳴門」までワンデイで走りきってしまうほうがいいと思う。
それは逆回りでも同じで、その日のうちに高知市内に近い、「道の駅 やす」への到着を目指して頑張ろう。
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