大河ドラマ「風林火山」ゆかりの地 諏訪・小坂観音院

小阪観音院
歴史に精通する、車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、2007年放送の大河ドラマ「風林火山」に登場した「由布姫(諏訪御料人)ゆかりの地「諏訪・小坂観音院」に関するエピソードと情報です。

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巌流島

この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」がまとめた、「一度は訪ねてみたい日本の歴史舞台」を車中泊で旅するためのガイドです。

※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。

 

~ここから本編が始まります。~

大河ドラマ「風林火山」に登場する「小坂観音院」は、井上靖が脚色した”武田晴信(信玄)の側室「由布姫」が眠る墓所”があるとされた寺院

出典:NHK

小坂観音院 DATA

小坂観音院
〒394-0044
長野県岡谷市湊4-15-22
☎0266-23-4811

「小坂観音院」の筆者の歴訪記録

※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。

2013.09.23

※「小坂観音院」での現地調査は2013年9月が最終で、この記事は友人知人から得た情報及び、ネット上で確認できた情報を加筆し、2024年9月に更新しています。

小坂観音院【目次】

「小坂観音院の由布姫墓所」は、
「風林火山」ゆかりの地

由布姫(諏訪御料人)のプロフィール

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「小坂観音院の由布姫墓所」は、「風林火山」ゆかりの地

小阪観音院

筆者は兼ね兼ね、「大河ドラマと史実は必ずしも一致しない」という話を書いているが、これから紹介する大河ドラマ「風林火山」ゆかりの地の「小坂観音院の由布姫墓所」は、まさにその極みといえる例だ。

結論から云うと、「小坂観音院」に残る写真の墓所は、戦後に井上靖が記した小説「風林火山(大河ドラマ「風林火山」の原作)」で、「由布姫」こと「諏訪御料人」が側室となって以降、ここで過ごし、ここで死去したという脚色がもとで、現代になってから創られたものだ。

つまり「諏訪御料人」は実在人物だが、「小坂観音院」に残る墓所は架空のもので、本当の墓所は伊那市高遠町の「建福寺」にある。

それは云い換えると、「小坂観音院」は「武田信玄」ゆかりの地ではなく、『大河ドラマ「風林火山」ゆかりの地』であることを意味している。

川中島古戦場

大河ドラマをしっかり見ていた筆者は、山梨と長野に残る「風林火山」ゆかりの地」をあちこちめぐってきたのだが、よもや「小坂観音院」が架空の墓所だとは、夢にも思わなかった。

ただこれ以降「大河ドラマゆかりの地」めぐりに、「嘘と真を見極める」という新しい楽しみ方が増えたのは事実(笑)。

今の大河ドラマは、民放でヒットを飛ばした脚本家を登用することが多く、「龍馬伝」や「真田丸」にいたっては、まさに「ホームドラマ」に近い場面も多い。

ご年配の中には、それが気に入らない人も多いようだが、筆者はむしろそれを楽しむことに切り替えている。

マップをグーグルナビに切り替える方法
スマートフォンでご覧の方は、「拡大地図を表示」をタップし、画面が切り替わったら下の「ナビ開始」をタップするとナビゲーションが始まります。 高速道路か国道にするかを選びたい場合は、「ナビ開始」ボタンの左にある「経路」をタップすると表示されます。

 

由布姫(諏訪御料人)のプロフィール

 

この話は「諏訪湖 車中泊旅行ガイド」の一部と共通する。

由布姫の里である諏訪は、海に通じる北信濃の覇権を狙う武田家にとって、背後の安全を保つ重要な拠点だった。

海に通じる北信濃の覇権を狙う「武田家」にとって、「諏訪」は背後の安全を保つ重要な拠点だった。

当時の「諏訪」は「諏訪頼重」が支配していたが、「武田晴信(のちの信玄)」の父「信虎」は、「晴信」の妹を「頼重」に嫁がせて姻戚関係を結び、「諏訪氏」の力を借りて信濃経略を推し進めていた。

だが「晴信」には、「諏訪」を直接支配して信濃経略の拠点にしたい考えがあった。

この頃「信虎」と「晴信」は確執関係にあり、「晴信」は1541年に事実上の「無血クーデター」を画策し、「信虎」を駿河の今川義元の元にまんまと追放することに成功して「武田家」を掌握する。

ちょうどその頃、「諏訪氏」の家中で「頼重」と家臣の対立が勃発。

さらに一族の「高遠頼継」が、「諏訪氏」の惣領(そうりょう)の地位を奪おうと機をうかがっていた。

「諏訪氏」と同盟関係にあり、それを破棄するのに大義名分が必要だった「晴信」は、その仲介を理由に「諏訪」へと軍事介入し、反「頼重」勢力と結んで「諏訪氏」を滅ぼした。

その後「高遠頼継」も滅ぼし、「諏訪」を手中に収めた「晴信」は、「諏訪」の人々の懐柔策として、「諏訪氏」の血を引く「由布姫」を側室に迎え、生まれた男子を諏訪の領主にすることを約束する。

「甲陽軍鑑」(こうようぐんかん)によれば、「武田氏」が切腹に追い込んだ「諏訪氏」の娘を側室にするのは危険という理由から、当初は「武田晴信」と「諏訪御料人」の結婚に、「武田家」家臣達は難色を示していた。

しかし「晴信」の軍師「山本勘助」は、『諏訪の血を引く姫を側室にし、その側室に男児が生まれたら「諏訪」の領主にすることを約束すれば、「諏訪」の人達は「晴信」に心服する』と家臣達を説得。

その想いを受けた「由布姫」は、「晴信」の側室となって待望の男子「武田勝頼」を生む。だが10歳の「勝頼」を残し、病から25歳の短い生涯を終えた。

長篠

成長した「勝頼」は、「諏訪」どころか「信玄」亡き後の「武田家」当主となり、その領地を最大規模まで増やすのだが、無敵と恐れられてきた「武田の騎馬隊」が、「長篠」で「織田・徳川連合軍の鉄砲隊」に破れ、武田家最後の当主となる。

「晴信」の側室にして、その最愛の女性だったと伝えられている「由布姫」は、絶世の美女であったとも云われているが、「由布姫」に関する記述のある文献は少なく、実際には分からないことが多いようだ。

ただ、民の想いを受け止めて父を殺された仇敵に嫁ぎ、生まれた最愛の息子が、「信玄」亡き後凋落していく「武田家」を最後まで率いて果てるという、悲劇のヒロイン性が、「井上靖」の心に響いたのかもしれない。

 

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