車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、信州そばの違いが分かる解説です。
「クルマ旅のプロ」がお届けする、車中泊グルメガイド

「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、25年以上かけて味わってきた、全国各地のソウルフードの、素材・レシピ・老舗・行列店等を紹介しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
~ここから本編が始まります。~
信州のそばに惚れる。

おすすめは「ご当地そば」
名物を「食べ損なわない」ための事前知識

筆者は信州でこれまでに20件以上の「そば屋」の暖簾をくぐっているが、ポピュラーな手打ちの「盛りそば」は、どこもよく冷えた細切りで味に遜色はなく、どの店をうちの近所に持ってきても、すぐに行列店になれるような気がしている。
ゆえに信州に来て、”そばのおいしい店”を人に尋ねるというのは野暮な話だ。
そもそも
「信州そば」にはカテゴリーが確立されていて、各々においしい店が存在する。
つまり肝要なのは、最初にそのカテゴリーを知ることだが、旅では地域を無視することはできない。
そこで「ご当地そば」という観点から、代表的な信州のそばをピックアップし、店はそのカテゴリーの有名店をなるだけ掲載するようにした。
残念ながら凡人の筆者は、「食べログ」の投稿者のように、「通」を納得さられせるほど自信がある”グルメ”ではない(笑)。
だが観光客に、それなりの「満足感」をお届けできる自信はある。
旅人には「美味しさ」と同じくらい、わざわざその店を選ぶ「理由」が大事だ。

なお「蕎麦」と「そば」の使い分けについては、業界の慣習に明確な違いはないようだが、筆者は「蕎麦」は「蕎麦の花」「蕎麦の実」のように原料に対して使い、「そば」は「二八そば」「ざるそば」といった料理に対して使うようにしている。
つゆに特徴があるのは…
高遠そば

一般的な「そばつゆ」の違いは、醤油・砂糖・日本酒などで作る「かえし」と、昆布やカツオなどから取る「だし」の違いで生まれるが、信州には焼味噌をつゆに混ぜる独特の食べ方がある。

焼き味噌を好みの量だけつゆに溶かし、辛みの強い大根とネギを一緒に食べる「高遠そば」は、桜で有名な伊那の高遠に伝わる郷土料理だが、レシピ以上に面白いのは、高遠の歴史に絡むエピソードのほうかもしれない。

高遠そば ますや
〒396-0213
長野県伊那市高遠町東高遠1071
☎0265-94-5123
11時~14時半(ラストオーダー)
不定休
駐車場10台
筆者の他ベログはこちら。
盛りに特徴があるのは…
戸隠そば

同じ信州でも、他では「盛りそば」も「ざるそば」も器いっぱいに麺を広げて出されるが、戸隠では1枚のザルに二口分ぐらいの量の麺が5束並ぶ、「ぼっち盛り」で運ばれてくるのが基本だ。

そば打ちの伝統技術が花嫁道具とも云われる「戸隠そば」には、幾つかの明確な特徴がある。
特に顕著なのが前述の「ぼっち盛り」だが、それ以外にも実の甘皮を取らずに挽く「挽きぐるみ」の蕎麦粉を使用すること、一本の麺棒で丸くのばしてコシを生むそば打ち法などが挙げられる。

うずら家
〒381-4101
長野県長野市戸隠3229
☎026-254-2219
※電話予約不可
10時30分~16時(品切れ次第閉店)
繁忙期は10時開店になることもある。
水曜 定休
駐車場あり
食べ方に特徴があるのは…
とうじそば

野麦峠周辺の寒村に伝わるハレの日のご馳走が「とうじそば」だ。
元々は来客をもてなす際などに用意した料理で、つゆを注いだ鍋に山で採れたキノコや鳥獣の肉を入れてだしを加え、茹でたそばを柄の付いた竹ザルに入れてシャブシャブのように温めてから、具と一緒にお椀に移して食べる。
地元ではそばを鍋に投げ入れるように見えることから、「投汁そば」とも記す。

手打ちそば 福伝
〒390-1611
長野県松本市奈川古宿4233
☎0263-79-2003
11時~18時
(そば売り切れ次第閉店)
水曜定休
製法に特徴があるのは…
どうつきそば

そばの実を「挽く」のではなく「杵つき」にしてこねるため、「製粉工程を経ない製法」というほうがわかりやすい。
水でふやかした実を、棒で突いて潰してこねるというワイルドなそばだけに、見た目も荒々しく独創的だ。
麺は短く、すするというより噛みしめて食べるため、濃厚な風味が増幅される。
確かにそばが穀物であることを実感できる逸品だった。

そばのさと
〒391-0002
長野県茅野市塚原2-15-16
☎0266-73-0209
11時~20時20分(ラストオーダー)
木曜定休(夏休み期間は無
休)・月曜定休
形状に特徴があるのは…
はやそば

長野県の民族無形文化財に指定された「はやそば」は、山ノ内町須賀川に伝わる、ゆでた千切り大根に水溶きそば粉をからめた郷土食で、「そばがき」にも似ているが、大根が入ることで食感は異なる。
短時間で簡単に作れることからその名がついたが、現代では当たり前のそば切り(麺)は、かつてはどこでも「おもてなし料理」だったといわれている。

岩本そば屋
※ホームページなし
〒381-0405
長野県下高井郡山ノ内町夜間瀬7654
☎0269-33-6536
11時~15時
木曜定休
品種に特徴があるのは…
ダッタンそば

「韃靼(だったん)蕎麦」はそば茶によく用いられている品種で、ポリフェノールの一種であるルチンの含有量が、通常のそばの100倍ともいわれているが、苦味が強く長年食用には適さないとされてきた。
長和町ではその常識を覆し、苦くない「韃靼蕎麦」の栽培に成功し、「信濃霧山ダッタンそば」の名でブランド化している。
出てきたのは、まるでパスタのごとくつるつるで弾力性のあるそばだった。

レストラン緑の花そば館
〒386-0601
長野県小県郡長和町大門2464-2
☎0268-68-4232
11時~16時
(ラストオーダー15時30分)
木曜定休
つなぎに特徴があるのは…
富倉そば

「オオヤママボクチ」と呼ばれる山ゴボウの葉の繊維をつなぎにする「富蔵そば」は、食通が「幻」と口を揃えるほど完成度の高いそばで、光沢感があり見た目からして違っている。
富倉地区は山あいの集落で、特に「はしば食堂」は店までの道にも驚かされるが、麺はつるつるしていてほどよくコシがあり、まさに「評判に偽りなし」と感じさせる味わいだった。

はしば食堂
※2023年に経営者が高齢になり閉店。現在はこちらで「富倉そば」が食べられる。
かじか亭
〒389-2258
長野県飯山市富倉1769
☎0269-67-2500
11時〜15時
火曜定休
具材に特徴があるのは…
すんきそば

「すんき」は地元ですんき菜と呼ぶ、カブ菜を乳酸菌発酵させた木曽独特の伝統食で、いわば漬けものの一種だが、無塩乳酸発酵を行っているのが特徴で、山菜に似た食感と独特の酸っぱさがある。
「すんきそば」は、そのすんき漬けを、乾したしめじや煮干しなどで取るだしに入れて煮た後、茹でそばにかけて食べる冬季限定のメニューだ。

そば処まつば
※ホームページなし
〒397-0000
長野県木曽郡木曽町開田高原末川2819
☎0264-42-3100
11時~18時
(時期により変動)
月曜定休
信州のそばに惚れる

これまでに取材してきた信州の「ご当地そば」と「名店」のリストはこちらです。








































