【2023年3月更新】
車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、富山県のソウルフード「生ホタルイカのしゃぶしゃぶ」に関する情報です。
「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、20年以上かけて味わってきた全国のソウルフード&ドリンクを、そのレシピと老舗・行列店を交えてご紹介します。
生ホタルイカのしゃぶしゃぶは、生ワカメと一緒にいただくのが基本。
生ホタルイカ【目次】
ホタルイカのプロフィール
ホタルイカは日本海を中心に、日中は沖合の水深200~600mあたり、夜は水深の浅い30~100mあたりで生息し、わずか1年で寿命を終える小さなイカだ。
3月になると、産卵のために大群をなして接岸してくることから、昔から富山県では春の風物詩として親しまれてきた。
ホタルイカが真っ暗な海の中で青白く発光する姿は、なんとも妖艶で美しい。
そのため1952年には「ホタルイカ群遊海面」として、国の特別天然記念物にも指定されている。
もっとも…
天然記念物なのはホタルイカそのものではなく、海面にたくさんのホタルイカが浮上している様子のことで、獲ったり食べたりすることに問題はない。
富山湾のホタルイカは別格
実はホタルイカは日本近海に広く生息しており、富山県と兵庫県が主な産地になる。
筆者は大阪在住なので、春になると但馬と富山で水揚げされた、どちらのホタルイカも食べられるが、プリプリした食感が強く味わえるのは富山産だ。
富山県では、ホタルイカが産卵のために富山湾内に近づいくる頃に合わせて、毎年3月1日に定置網漁が解禁される。
栄養を蓄え、丸々と太ったホタルイカが多く漁獲されるのはそのためで、大半はオスよりもひとまわり大きなメスになる。
しかも漁場が近いため、鮮度も高い。
生ホタルイカは”地産地消”の希少品
さて。
とは云っても、ホタルイカといえば春先にスーパーなどの店頭に並ぶ、この茹でた酒の肴をイメージする人が多いと思う。
ホタルイカは生食するには傷みが早く、大阪でもまず流通していない。
しかも養殖はできず、生の姿を観るには春の富山湾に足を運ぶしかない。
ちなみに生のホタルイカは「道の駅 滑川」でも食べられるが、想像通り観光地価格。
だが近くのスーパーに行けば、こんな値段で手に入る。
生ホタルイカのしゃぶしゃぶ
生のホタルイカを「しゃぶしゃぶ」で食べるにあたり、最初に迷うのはワタを抜くべきか残すべきだろう。
生のホタルイカには「旋尾線虫」という寄生虫がいる場合があるので、スーパーで購入したものでも、そのまま生食するのは避けたほうが無難だ。
ただ熱を通せば大丈夫なので、「しゃぶしゃぶ」でも少し長めに湯をくぐらせれば、問題なく食べられる。
秘訣は箸から放し、「鍋の底にしばらく沈めて置く」こと。ゲソが丸まってふっくらしてくれば食べ頃だ。
続いて、沸騰後は火加減をできるだけ弱くし、ダシを煮立てないこと。
ホタルイカはどうしてもワタが漏れ出し、ダシが濁りやすい。
しかし元来、魚介の旨味はワタとかキモにあるわけで、それを抜くと味わいは極端なくらいタンパクになる。
ゆえに具材は、鍋を混ぜないで済むよう、生ワカメだけのほうがいい。
生ワカメは熱い昆布ダシに通すと鮮やかな緑色に変わり、そこそこ歯応えもあって、何より安い(笑)。この時期はスーパーに行けば簡単に手に入ると思う。
なおタレは、ポン酢と酢味噌の2種類用意すると、飽きずにたくさん食べられる。
いっぽう、ダシが濁るのが苦手な人はワタを抜いてからお湯にくぐらせるといい。
筆者もひとり旅の時は多すぎるので、半分は刺し身で食べられるようワタを抜く。
「旋尾線虫」はホタルイカの内蔵に寄生しており、ワタを抜けば生でも大丈夫だ。
最後に。
車中泊の場合、大事なのは食後だ。
残ったダシに味噌を溶かして〆る手もあるが、キャンピングカーとはいえ、汚れたダシ汁をグレータンクには入れたくない。
その場合はこうしてペットボトルに移し、廃棄できるところまで運ぶといい。