この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。

2019年に「石廊崎オーシャンパーク」がオープンしたことで、おもしろさが倍増!
石廊崎(いろうざき)【目次】
石廊崎のロケーション
まずマップの現在地になっている石廊崎の景勝地「ユウスゲ公園」は、「道の駅 下賀茂温泉 湯の花」から約10キロ・15分。
地図で見るより、実際はずいぶん近い感じがする。
ユウスゲ公園の頂上部分にある展望所。
「ユウスゲ公園」は夕陽の名所としても有名だが、この距離なら現地で無理に車中泊をしなくても、サンセットタイムを楽しんでからの移動で、十分道の駅まで戻ることができる。
またその帰り道で、道の駅から約3.4キロのところにある南伊豆町営の「弓ヶ浜温泉公衆浴場 みなと湯」に立ち寄れば、温泉代もひとり600円で収まる。
と、ここまでは都合のいい話だが(笑)
下賀茂温泉の河津桜が満開を迎える頃は、道の駅が夜間でも満車になることがある。
そのため「みなみの桜と菜の花まつり」の期間中に、サンセットを楽しみたいのなら、「ユウスゲ公園」のすぐ近くにある「奥石廊崎大根(おおね)展望台」、通称「あいあい岬」の無料駐車場か、弓ヶ浜の無料駐車場での車中泊がお勧めになる。
さて。
太平洋に突き出た石廊崎は、西側の駿河湾及び遠州灘と、東側の相模灘の境界に位置する岬だが、真鶴岬のように先端はひとつではなく、まるで獣が指を広げたような形状をしている。
それは航空写真でみると一目瞭然。

出典:伊豆半島ジオパーク
現在はこの火山活動によって生まれたユニークなかたちが、石廊崎の観光をおもしろくしているわけだが、昔は違った。
石廊崎港は近隣の妻良港や下田港とともに、かつては江戸と関西方面を結ぶ幹線航路の「風待港」として、多くの船で賑わっていた場所だ。
※風待港とは
強い季節風や暴風雨を避けつつ、航行しやすい順風が吹くのを待つための港
石廊崎の先端にある石室神社は、当時の航海の安全を願って建てられたものと云われているが、確かに風が強い日は、ここまで行くだけでも寿命が縮む思いがする(笑)。
石廊崎の楽しみ方は3つある
ひとつは奥石廊崎に通じる、風光明媚な県道16号のドライブだ。
ドライブルート沿いには前述した「奥石廊崎大根(おおね)展望台」、通称「あいあい岬」があり、そこから大小さまざまな岩と断崖が織りなす、奥石廊崎の絶景が眺望できる。
こちらが「あいあい岬」。
2019年の3月まで「南伊豆町ジオパークビジターセンター」として使われてきた売店には、今でもジオスポットの展示とパンフレットの陳列が残されており、そのほかに伊豆の大地をお菓子にした、オリジナルの土産品も置いてある。
そして駐車場からは、開放感に満ちた太平洋が一望できる。
なお「あいあい岬」からクルマなら1分、歩いても10分まではかからないところにあるのが、冒頭の夕日を撮影した「ユウスゲ公園」で、この写真はそこから見た「あいあい岬」になる。
石廊崎オーシャンパーク
ところで…
かつて、石廊崎には「ジャングルパーク」という熱帯植物園があったが、施設の老朽化や入場客の減少に伴い、2003年に閉園。
その後、閉鎖した施設は放置されたままとなり、石廊崎はいつしか「るるぶ」のような観光ガイドブックにも小さくしか掲載されない、「廃れた観光地」に落ちぶれてしまっていた。
筆者が初めて石廊崎を訪ねたのは、ちょうどその頃だった。
行政がよくやく重い腰をあげたのは、それから16年を経た2019年(平成31年)。
現在は敷地内の廃墟を解体したうえで、「石廊崎オーシャンパーク」としてリニューアルオープンを果たしている。
おかげで今は、灯台手前の駐車場までクルマで行くことができる。
こちらが「石廊崎オーシャンパーク」の有料駐車場で、料金は乗用車500円/1日、収容台数は約100台。
ただし営業時間外の入庫・出庫は不可で、入口にはゲートが設けられている。よって事実上、車中泊はできないに等しい。
「石廊崎オーシャンパーク」には物販と軽食のコーナーを備えたレストハウスが建ち、そこがジオパークのビジターセンターも兼ねている。
「石廊崎オーシャンパーク」の一等席はテラス席。海の景色は建物の窓に映り込んだもの。つまり前を見ても後を見ても、美しい海が広がっている(笑)。
また「石廊崎オーシャンパーク」には、伊豆半島の観光パンフも揃っている。
写真の東西南北に分けたドライブマップは、分かりやすくて重宝するのだが、他ではほとんど見かけない。
ビジターセンターからは、石廊崎の先端に通じる遊歩道が整備されている。
その途中に石廊埼灯台があり、その先の石室神社を超えて、道は最突端に鎮座する熊野神社の祠(ほこら)へと続いている。
ここが石廊崎の突端部分で、しめ縄のかかった岩の下に熊野神社の祠がある。
この日は、天気は最高だが、手すりから手を離せばじっとしていられないほどの強風が舞うジレンマのコンディション。
高所恐怖症の筆者は、何度もスマホを持っていかれそうになりながら、「まさに死ぬ思い」で最先端からシャッターを切った。
だが怖すぎて、こちらを背にして祠(ほこら)を撮ることができず、無念の退散(笑)。
2022年2月更新
年が明けて、再び石廊崎を訪れるチャンスに恵まれた。
今度は見事に無風の日を引き当て、念願の熊野神社の祠を撮影したが、ここは本当に風があるのとないのでは大違いの場所だ。
今でこそ立派な柵があるのだが、昔はこれなくして祠を建てているのだから、信じられない。
そしてさらに驚いたのは、この断崖絶壁の下に釣人がいる!
どうやって降りたんだ??
その答えは遊覧船に乗って分かった。
旅人が心配しなくても、ちゃんと渡船が運んでくれる(笑)。
この海域は根が荒いことから、メジナやイシダイなどの大型魚が居着いており、さらにマダイも狙えるらしく、比較的波が穏やかだったこの日は、多くの磯に釣人の姿があった。
伊豆クルーズ 石廊崎岬めぐり
最後は遊覧船で海から石廊崎の奇岩と断崖を見学する。
筆者が乗船したのは、オシドリをイメージしたカラフルなデザインの「マリンバード号」だったが、混雑時は五百石船「豆州丸」と2隻で運航することもあるようだ。
コースは以下の2つ
A:奥石廊崎コース
B:みのかけ岩コース
基本は透明度が高くて人気の「ヒリゾ浜」を通るAコースのようだが、天候によってBコースになる場合がある。
今回もそうだったが、冬ほど海は荒れやすく、河津桜の咲く時期はBコースになることが多いと云われた。
石廊崎岬めぐり遊覧船
大人1450円
所要時間:約30分
毎日運航・無休
出航時間:9時30分~16時30分
駐車場有り(有料1台500円)
なお駐車場券は「石廊崎オーシャンパーク」と共通。
それならば先に、「石廊崎オーシャンパーク」の恐怖を味わってから来るほうがいいと思う(笑)。
ちなみにこの景色は、A・Bどちらのコースでも見られるとのこと。
Bコースで一番の見どころは、その昔、役小角(えんのおずぬ)が飛行用の衰をこの岩に掛けたという伝説が残る「蓑掛(みのかけ)岩」だ。
役小角といえば、世界遺産の吉野山に建立したとされる「金峯山寺」で有名だが、実は平安時代にこの地に流刑となっている。
もし役小角に興味があれば、こちらのページもどうぞ。筆者は大阪在住なので、伊豆どころじゃない詳しいレポートが貴方を待っている(爆)。
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