この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
萩をじっくり観ようと思えば、終日かかる。
萩の車中泊事情&道の駅ガイド【目次】
萩の一番の魅力は「史跡めぐり」
ここでは最初に、そもそも萩は貴方にとって、わざわざ車中泊をしてまで見たい町なの? という話から始めよう。
なぜなら萩観光のキーワードは、「日本史」に尽きるからだ。
太閤秀吉の時代に西国最大の112万石を誇った大大名の毛利家は、関ヶ原の合戦後、徳川家康に「加担した盟約」をホゴにされた挙げ句、陸の孤島のような萩へと追いやられ、わずか29万8千石の弱小大名へと転落した。
その「積年の恨み」は約260年後に薩摩藩と手を組み、徳川幕府を打倒することで晴らされるのだが、その経緯を知らずして「本当の萩」は語れない。
江戸時代以降、萩の城下では正月の儀式として、家老が藩主に対し「(徳川に攻め入るのは)今年はいかがで…」と問い掛け、藩主が「時期尚早じゃ」と答える挨拶が行われていたという。
儀式が事実だったかどうかは分からないが、1866年の元旦に「時期尚早じゃ」が「時期は今じゃ!」に本当に変わるのだから、歴史はおもしろすぎる(笑)。
てなわけで、歴史フリークの筆者は、これまで7度にわたって萩の史跡を細かく見歩いてきた。
せっかくなので、その「マニアック」ぶりが分かる記事をご紹介(笑)。興味がなければ、無視して先に進んでいただいてかまわない。
日本の歴史に興味がない人にとって萩は、「夏みかんがたくさん植えられた、昔ながらの城下町が残る世界遺産」といったところだろう。
またこういう景色のほうが、心がトキメクのかもしれない。
なぜ分かるかって?
だって筆者は、そういう人と毎日暮らしている(爆)。
もちろんそれは悪いことでも、恥ずかしいことでもない。
修学旅行じゃないんだから、好きでもないことに時間を費やすほうがどうかしている(笑)。ただ、うちの嫁はアシスタントなので逃れられない。
しかし、萩城跡から城下町をひとしきり歩いて、「夏みかんソフト」で喉を潤し、お土産に萩焼きをひとつ買う程度で満足できるのなら、狭い萩の町は半日あれば事足りるし、残りの時間を秋吉台や長門にまわすほうが賢明だ。
ネームバリューに屈することなく、ぜひ「自分勝手」に萩の町を楽しんでいただきたい。
萩は高速道路で行けない「陸の孤島」
さて。
車中泊で旅する萩の問題点は、アクセスの悪さにある。
もっとも、江戸幕府がそういう場所を選んで左遷したのだから当たり前(笑)。
とはいえ、高速道路が通るまでにはまだまだ時間がかかるようで、前泊なしで辿り着くのは大変だ。
ゆえに「萩」を攻めるには、萩にある3つの道の駅よりもむしろ、その周辺の道の駅のことをよく調べたほうがいい。
以下の3つは、アプローチの際に使える道の駅になるはずだ。
島根県方面から萩を目指す場合
角島や北長門方面から萩を目指す場合
秋吉台方面から萩を目指す場合
「萩」がつく3つの道の駅の車中泊好適度チェック!
ここからの説明は、どちらかと云えばじっくり時間をかけて萩を周りたい人に向けての内容になる。
「道の駅 萩しーまーと」
萩市内にもっとも近い「道の駅 萩しーまーと」が、ここでもベスト車中泊スポットになると大半の人は思っているかもしれないが、プロの目は違う。
「道の駅 萩往還」
萩城下町から「道の駅 萩往還」までは約6キロ。
こちらも「道の駅 萩しーまーと」と変わらないほど近いところにあるのだが、県道32号はクルマの往来が多く、しかも道の駅は坂の途中にあるため、アクセルを吹かして通る車両が多く、車中泊に適しているとは思えない。
だが、ここには幕末ファンにはぜひ足を運んでいただきたい施設がある。
道の駅 萩・さんさん三見
「道の駅 萩・さんさん三見」は3つの道の駅の中で、もっとも中途半端だと思っているので、別ページは用意していない(笑)。
「道の駅 萩・さんさん三見」の登録日
登録回/第33回
登録日/2010年3月1日
筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2011.12.23
2022.04.24
「道の駅 萩・さんさん三見」は、国道191号萩・三隅道路(高規格幹線道路)の明石(あけいし)パーキングエリアを兼ねた施設で、萩城下町から8キロほど西にある。
いずれは山陰道のPAになることを見越して作られたのだろうが、現状を見る限りは物足りない。
このテーブルとイスとベンチなら、いっそ置かないほうがいいのかも(笑)。
雑然とした店内。しかも食堂は奥にある。
トイレもウォシュレットに改修されておらず、本腰を入れてやっているようには思えない(笑)。
とはいえ、萩城下町より西には他に道の駅がないため、観光後に長門方面に進みたい人には最近まで選択肢がなかった。
しかし2018年に萩城跡から約25キロ・クルマで40分ほど離れた北長門の仙崎に、「道の駅 センザキッチン」ができたことで事情は大きく変わっている。
「道の駅 萩・さんさん三見」からなら、プラス30分ほど走るだけなので、今は一気に長門温泉にも近い仙崎まで進んでしまうほうがいいと思う。
萩 車中泊旅行ガイド