「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、10年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価。車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる「各温泉地の魅力」を、主観を交えてご紹介します。

営業再開が待たれる、伝説の名湯「神の湯」
2014年6月14日(土)以降、「神の湯」は対岸法面崩壊のため、無期限の営業停止となっている。
以下はそれから5年が経過した、2021年10月に「平湯観光案内所」に電話で確認した内容になる。
現在も「神の湯」に通じる道路は、高山市による復旧工事の最中で、温泉再開は3年後になる見通し。幸い温泉施設に損傷はないようだが、長期休業による影響についても、現場に近づけない現時点では調査もできないままだという。
営業再開の目処が判明しだい、奥飛騨温泉郷観光協会から発表が行われるとのこと。
なお、平湯民俗館内にある立ち寄り入浴施設「平湯の湯」は通常通り営業しており、グリーンシーズンは同じ笹緑がかった濁り湯が楽しめる。
「神の湯」入湯レポート
活火山の焼岳と乗鞍岳を熱源とし、20数軒の旅館・民宿に40以上もの源泉がある
平湯温泉の総湧出量は、1日約1億2千万リットル、一般家庭の浴槽で使用する水の約130年分に相当するという。
そのうえ泉質も様々で、透明・茶褐色・緑褐色・白濁と、施設によって異なる源泉が楽しめる。
それが「奥飛騨温泉郷、随一の温泉地」と云われる所以だが、約450年前の戦国時代に発見された平湯温泉の、まさに「発祥の地」に湧く、露天の日帰り温泉施設が、これから紹介する「神の湯」だ。
未舗装の駐車場にクルマを置き、入口の受付小屋で料金を払う。小屋から少し登ると男湯、その上に昭和6年に村民の努力によって作られた不動明王が祀られ、一番奥に女湯の露天風呂がある。
開放感に満ちた露天風呂にかけ流されている温泉は、白い糸状の湯の花が舞う濁り湯で、ほのかに鉄分が匂う。
源泉は山の上にあって、70度以上と高温だが、 お湯が浴槽まで流れる間に自然放熱させ、そのまま掛け流しているらしい。
そのおかげで、熱くもなく温くもない絶妙の湯加減だった。
さらにお湯は、陽に当たると黄緑がかった色となり、「えもいえぬ」極楽気分に浸れるのだ。なんといっても、ここは晴れた日がお勧めだろう。
お風呂の脇には小さな洗い場があり、シャンプーとボディーソープも置いてある。
神の湯
〒506-1433岐阜県高山市奥飛騨温泉郷平湯
☎ 0578-89-2614
1. 営業期間:4月中旬~11月中旬(気候状況により異なる)
2. 営業時間:8時~18時(時間変更あり)
3. 定休日:不定休
4. 入浴料:大人500円・小人(3歳~小学生)300円
【施設概要】
●泉質 :ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉
●お湯:源泉かけ流し
●お風呂:露天風呂男女各1
●休憩スペース :あり(無料)
●飲食施設:なし
●駐車場 :あり(約20台・無料)
●シャンプー・石鹸等:あり(無料)
●ドライヤー:なし
「神の湯」へのアクセス
神の湯は国道158号を「あかんだな駐車場」方面に進み、手前の案内看板を見て細い道を右折し、安房峠道路の高架をくぐった突き当りにある。道路から建屋は見えないので注意しよう。
また、冬は除雪されないため休業となる。