「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、10年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価。車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる「各温泉地の魅力」を、主観を交えてご紹介します。

秘湯好きの女性が喜ぶ、美人・美肌の天然温泉。
大白川露天風呂は、国道156号沿いに建つ「道の駅飛騨白山」の手前で、県道白山公園線に入り、約11キロ走った終点の白水湖畔にある秘湯だ。
世界遺産の白川郷からクルマで1時間ほど行けば、湯船から白水湖の絶景が楽しめる温泉があると聞き、かねてから一度行ってみたいと思っていた。
ただし、道中は半端じゃなかった。
秘湯たる所以は「温泉の在り処」ではなく、そこに行き着くまでにある(笑)。
県道451号「白山公園線」は狭く曲がりくねった道で、いつ土砂崩れが起きてもおかしくはない。台風が大雨をもたらせば、それでジ・エンドとなることも十分にあり得るだろう。当然ハイエース以上の車両が通るのは難しい。
そのうえ冬季は通行止め。つまり災害がなくても、半年間しかこの温泉に行くチャンスはない。
途中にある白水の滝。「さすがに、ここにはもう来ることはなかろう」。と思って観瀑台まで行くことにした。たぶん多くの人がそうだと思う(笑)。
さて。こちらは大白川露天風呂のある「白水の森」の駐車場。広々としており、野外トイレもあるので車中泊もできそうだ。
秘湯というので、もっと「野湯」に近いものかと想像していたが、到着してみると、白山登山口にある「白水湖畔ロッジ」がきちんと管理しており、350円の料金以上の満足感が得られた。
白水湖畔ロッジ。
ここで入浴料を支払って先に進む。山小屋らしく、実に簡潔だ。
こちらが湖畔の茂みにポツンと建つ温泉の入口。
脱衣所にはロッカーもあるが鍵はない。
また洗面台にも備品類はなく、ガラス窓には石鹸類の使用禁止の貼り紙がある。ここは浸かるだけの「おゆば」だ。
湯口は脱衣所出入口の横にあり、お湯は岩を伝って浴槽に注ぎ込まれる。ただ源泉温度が高いため、白山の伏流水を2~3割加水し、掛け流しにしている。
お湯は無色透明で硫黄臭が感じられ、白くて細かな湯の花が舞っている。
液性はpH8.7のアルカリ性で、メタケイ酸の含有量も229.6ミリグラムと豊富なため、ヌルツル感も強い。
秘湯好きの女性には「もってこい」のところだろう。
大白川露天風呂(おおじらかわろてんぶろ)
所在地 :岐阜県大野郡白川村平瀬大白川
白水湖畔ロッジ 現地電話なし
営業時間 8:00~17:00(夏季18:00)
営業時期 6月上旬~10月下旬頃まで
料金 (清掃協力費として)大人:350円
泉質:含硫黄-ナトリウム-塩化物泉(低張性 弱アルカリ性 高温泉)
泉温…92.5度
P H 値…8.7