「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、20年以上かけて味わってきた全国のソウルフード&ドリンクを、そのレシピと老舗・行列店を交えてご紹介します。
「いろり」は荻町集落にある合掌造りの食事処で、白川郷観光時のランチにお勧めできる行列店
まず白川郷での食事だが、「せせらぎ駐車場」の営業時間が17時までということもあり、食べるなら「ランチ」がいい。
荻町集落界隈には、ある程度の数の食事処が集まっているので、「食事」そのもので困ることはない。
ただせっかくなので、ランチには「合掌造りの店」を選びたいと思う人は少なくあるまい。
筆者はよくグルメのページに書いているのだが、「高山ラーメンのおいしい店」と「高山のラーメンがおいしい店」は、必ずしも一致しない。
白川郷でもそれは同じで、同じ飛騨牛を食べるにしても、ここではたとえ評判がよくても、コロッケや串焼きの露天に並ぶのではなく、やはり白川郷の郷土料理とされる「朴葉味噌焼き」を基軸に、店選びをしたいものだ。
だが「合掌造り」の店構えで、「飛騨牛の朴葉味噌焼き」が、そこそ安くてこうまい店となると、さすがに数は絞られる。
「いろり」は、そういう条件から見つけ出した「納得のいく店」だった。もちろん予約はしていくほうがいい。
注文したのは、「飛騨牛 朴葉味噌焼定食」1900円(税込)。
若者には多少物足りない量かもしれないが、中高年には「川魚」に「豆腐」「そば」と、飛騨・高山地方の郷土料理がバランス良く散りばめられた、いいランチだと思う。
ちょっと残念だったのは、ニジマスの甘露煮。これがアマゴならもっとお得感が増すのだが、プライスを考えると、さすがにそれは贅沢かもしれない。
ちなみにフィッシャマンなら、魚の顔で魚種はわかる。アマゴはもっと口元が尖っていて、シャープで精悍な顔つきをしている(笑)。
メインディッシュの「朴葉味噌焼き」。
肉汁の多さからして部位はバラ肉だと思われたが、肉の甘味と柔らかさは間違いなく黒毛和牛。飛騨牛で間違いないだろう。
味噌は大阪在住の筆者には超「塩分高め」(笑)だが、このくらい味が濃くないと、肉の油脂に負けてしまう。
その塩梅がよく見極められた味付けは絶妙で、これで1900円はさすがに「看板メニュー」の名に恥じないものだと感心した。
幸いなことに、筆者が訪ねた2021年11月は、岐阜県でもGotoイートが再開されており、「いろり」ではそれを使うことができた。
ご承知の通り、このチケットは10,000円分購入すると12,500円分の食事ができるので、今回のケースでは一人前が無料になる計算だ。
ただし岐阜県のGotoイートの申請は少し面倒で、申し込んだ当日に発券できないので、行くなら少なくとも3日前にはネットで申請しておく必要がある。
なお「いろり」は幹線道路沿いに建っており、店の前にわずかだが駐車場があるのもありがたい。
とはいえ、さすがにキャンピングカーは停めづらかった(笑)。