車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、2023年8月現在の浦富海岸の見どころ及び、駐車場と車中泊事情に関する情報です。
この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の中のひとつです。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。

「浦富海岸」は、鳥取砂丘とセットで行くのがお勧め。
浦富海岸の筆者の歴訪記録
※記録が残る2007年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2008.08.08
2010.11.06
2011.02.26
2016.07.19
2018.12.02
2022.05.26
※「浦富海岸」での現地調査は2022年5月が最終で、この記事は友人知人から得た情報及び、ネット上で確認できた情報を加筆し、2023年8月に更新しています。
浦富海岸の見どころと駐車場&車中泊ガイド
浦富海岸のロケーションと概要

出典:岩美町観光協会
関西の人は、「浦富海岸」と云えば海水浴場を連想する人が多いかもしれない。
明治27年開設の「浦富海水浴場」は、100年以上の歴史を誇る鳥取県内随一の海水浴場で、「日本の白砂青松100選」「日本の渚百選」に選定されており、岩場での磯遊びも楽しめる夏の観光名所で有名だ。
ただ、中国自動車道・吹田インターから、無料で走れる「鳥取自動車道」を通って直行しても、約200キロ・3時間はかかる。
そのため、さすがに日帰りでは厳しいが、泊まりなら混雑する福井の小浜や若狭へ行くより、空いているのでお勧めだ。
だがそれは、若い人向けのお話(笑)。
海水浴を卒業した中高年世代には、違う「浦富海岸」の楽しみ方がある。
「浦富海岸」は、京都府の京丹半島から兵庫県の但馬海岸を経て、鳥取県の岩美町・鳥取市北部にまたがって広がる「山陰海岸国立公園」に属し、「鳥取砂丘」とともに「山陰海岸ユネスコ世界ジオパーク」の構成要素にもなっている。
ジオパークとは、美しい自然景観や学術的価値を持つ自然遺産のこと。
2023年8月現在、日本国内には46ヶ所設定されているが、そのうち世界ジオパークの認定を受けているのは10ヵ所しかない。
「山陰海岸ユネスコ世界ジオパーク」は、約2500万年前の日本海形成から現在にいたるまでの過程を知ることができる、貴重な地質と地形が残されたエリアで、それが世界ジオパーク登録の決め手となった。
その「山陰海岸ユネスコ世界ジオパーク」のハイライトとも呼べる「浦富海岸」で、一般の観光客が目にすることができるのは、海食や風食によってできた奇岩と洞門、そして断崖絶壁が約15キロにわたって連続する日本海屈指の絶景だ。
圧倒的な絶景は、理屈を知らなくても感動を呼び起こしてくれるが、大人にとって大事なのはその絶景の背景だと思う。
それを知らずに行けば、「わ~、キレイ!」以外に口から出せる言葉がないお気楽JKと、たぶん何も変わらない(笑)。
そして「浦富海岸」の西端にあたる「網代(あじろ)」から、「山陰海岸ユネスコ世界ジオパーク」のフィナーレを飾る「鳥取砂丘」まではわずか8キロ…
であれば両者を抱き合わせ、「ジオパーク」目線で周ってみてはいかがだろう。
その目線から書いた、筆者オリジナルの鳥取砂丘ガイドはこちら。
浦富海岸の見どころ
まず「浦富海岸」を観光するには、「鳥取県道155号網代港岩美停車場線」に出る必要があるが、ただドライブするだけでは、パンフレットや旅行本で見る”絶景”にはお目にかかれない。
ここでは、自分の足とクルマをうまく併用して観光する必要があるのだが、特に中高年には、自分たちの体力を想定して書かれた情報が必要だ。
すべてをじっくり見て回ろうと思えば、1泊2日を要するとも云われる「浦富海岸」だけに、若者が紹介する通りに行動すれば、カラダがパンクするのは当たり前… この「ぐるたび」のサイトがいい例だ(笑)。
その意味からすると、中高年にお勧めのスポットは、浦富海岸屈指の透明度を誇る海域で、豊かな海の生態系にも育まれた、以下のエリアになる。
まるで箱庭のような景観
鴨ヶ磯(かもがいそ)
「鴨ヶ磯」は「浦富海岸」を代表する景勝地で、昭和2年に文豪・島崎藤村が訪れた際に、その景観に心を奪われ、「神秘の幽境」と絶賛した逸話が残る。
この写真は、無料駐車場から50メートルほど遊歩道を下った「鴨ヶ磯展望台」から見える景観で、ここまではほとんど苦もなく行けると思う。
問題はそこから先…
当然帰りは、ここを登らないとクルマには戻れない(笑)。
それでも、あえてこの道を下るだけの値打ちが「鴨ヶ磯」にはある。
長い遊歩道を下った先にあるビーチは、大粒の石英砂(せきえいしゃ)が水晶のように輝き、タイミングが良ければ、複雑な入り江に浮かぶ小島の間を、縫うようにして進む観光船の様子が間近で見られる。
木道の入口には無料の「鴨ヶ磯展望駐車場」がある。
ただし路側帯に近い形状なので、クルマは5台程度しか停められない。
そのため満車時は、少し離れた同じく無料の「城原駐車場」を利用しよう。
その際は「城原海岸」を先に見てから、海沿いに遊歩道を900メートルほど歩けば、「鴨ヶ磯」に出ることができる。
山陰海岸ジオパークの縮図
城原(しらわら)海岸
「城原海岸」は菜種五島(なたねごとう)の南側一帯に広がる海岸で、波で侵食された奇岩と大粒の礫石が混ざる砂浜が広がっており、「鴨ヶ磯」とともに浦富海岸を代表する景勝地に挙げられている。
また「城原海岸」では、花こう岩に貫入した柱状節理をもつ石英斑岩の岩脈が見られ、「山陰海岸ジオパーク」ならではと云える地層や地形が凝縮されている点も、ジオの世界が分かってくると面白くなる。
ただしここにも、なかなか厳しい木の階段が待ち受けている(笑)。
駐車場は前述したように「鴨ヶ磯展望駐車場」に比べると、広くて圧倒的に停めやすく、トイレも近いので車中泊も可能だ。
ただし中は和式になる。
また近くには、菜種島をはじめミサゴ島・北門島・中門島・南門島の5つを見下ろす「城原展望駐車場」があり、そこからの眺望も観光ガイドによく使われている。
ただここからの眺望は、荒れた冬のほうが絵になるようだ。
浦富海岸の車中泊事情と車中泊スポット
ありがたいことに、現在は「浦富海岸」の東西両端に道の駅ができており、車中泊にはコト欠かない。
海水浴客が多い盛夏は、夜でも混雑していると思うが、その時期を外せば満車になるまでには至るまい。
京丹後市方面から、「城崎温泉」・「湯村温泉」を経由してくる人には、兵庫県との県境に近い「道の駅 山陰海岸ジオパークはまさかの郷」が、逆に「鳥取砂丘」方面から来る人と、中国道・鳥取道を走ってアクセスする人には、「道の駅 きなんせ岩美」がお勧めになる。
鳥取県 車中泊旅行ガイド


車中泊でクルマ旅 総合案内
クルマ旅を愉しむための車中泊入門

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